ルナの悪戯心
堕天使や魔物の襲来から二日後のこと
マリアとルナは月夜を背にお酒を飲んでいた。
「よかったわね。大事な弟子たちが無事で。」
「ええ、そうね。」
正直ラヴァから知らされたときには、襲来から二時間が経過していたため、誰か一人亡くなっているかもしれないと覚悟していた。
「ルナ先輩?呼びました?」
ラヴァが困惑気味に現れた。
「ん!隣に座って。一緒に飲みましょう。」
「いえ、私お酒本当に…というより知ってますよね?」
「何?付き合わないとでも…?」
渋々隣に座る。
「さあ、どんどん飲んでね。弟子を助けてくれたお礼に私の奢りよ。まあ、無理しなくてもいいから。」
ドボッ!
ルナはラヴァのコップに溢れるほどギリギリまで入れた。
「あの…」
「飲みなさい。」
ルナが笑顔だが、どこか恐怖を与えるものだった。
(月を破壊したのをまだ怒っているのかしら?)
少しずつ飲もうとゆっくりコップを傾けるが、
ガッ!
ルナがコップの角度を急にして無理矢理飲ませた。
「えっ!?何やってるの!?」
「月を破壊した罰よ。この子酔うと本音を語り出すのよね。楽しみだわ。」
マリアが心配そうにラヴァを見る。すると急にラヴァが掴みかかってきた。
「マリア~さん~」
ラヴァが以前のようにマリアをさん付けで呼んだ。
「な、なに?」
ラヴァがトロンとした顔で語りだした。
「酷いじゃないですか~。神になってから~、マリアさん達を探して~、見つけたと思ったら~シオンもフィオナもいなくて~、驚いたんですよ~。」
ラヴァがマリアを発見したのは、バランが崩壊した後のことだ。その時には、弟子たちの元から姿を消している。
「…ごめんなさい。私はもう…」
「私の~最後のお願いをすっぽかしておいて~言い訳は許しません~。」
「うっ!」
その言葉はマリアの胸に深く刺さった。
「だから~罰ゲームで~す。」
ラヴァが口にお酒を大量に含みマリアを抱き締め、
「ちょっ、ちょっと!?」
口移しで飲ませようとした。
「る、ルナ!たすけ…」
「行け~ラヴァ~。マリアの初めてを奪っちゃえ!」
ルナが悪ノリを始めた。
「おのれ、ルナ!もう一度月を破壊してやるんだからー!むぐっ!」
「物騒なことを言うのね。」
ラヴァの唇とマリアの唇が重なりマリアの口の中にお酒が流れ込む。
(この量を一度にはまずい!)
飲まないように堪えながら暴れるが振りほどけない。最終的には片手でマリアを抱き締めたまま、もう片方の手でマリアの鼻を摘まんだ。
ゴクゴクッ!
息が出来ずに飲んでしまう。
「あ、頭が…クラクラしゅる~。」
「じゃあ~、もう一度♡」
このあと五回も繰り返され、マリアはのびてしまった。
(あー、面白かった。ラヴァを呼んでよかった!)
ルナは心からそう思った。