一振り
親友チーム側
「アアアーーー!」
ランドとクレイに向かって、巨大な拳が振り下ろされる。
「ちっ!」
「おっと!」
即座にかわす。
「いつも通りですよ!」
「ああ!『守護者』!」
クレイが距離をとり、大弓に持ち変える。
「『射手』!」
魔力を帯びた矢が放たれる。しかし、
カンッ!
何かに当たり落とされる。
(黒い結界で守られてやがる…!)
「何度か当てると消えるかも知れません!『無限光弾』!」
光にしたのは負の感情には光が有効だと考えたからだが、結果は全て弾かれた。何度当てても壊れない、消えない。
(厄介ですね!だったら!)
「『スピリッツⅣ』!」
今回は一か八かではなく、マリアとの修業で精度が上がり、より確実になっている。
「混沌よ、理よ、全てを呑み込む破滅の力。その力を今解き放て!『混沌大砲』!」
極太の黒い魔力を放った。
パキッ!
「よし!ようやくヒビが…。何!」
しかし、やっとの思いでヒビをいれたのにその傷はすぐに直った。
「おいおい、シオンの切り札だぞ…。それでやっとヒビをいれたのに…!シオン!もう一発撃てるか?」
「ポーションを飲ませて…。(ゴクッ)うん、後一発ですかね。」
「だったら、ヒビをいれた瞬間に『聖剣』を叩き込む!」
「僕もいくよ!」
「「『スピリッツⅣ』!」」
クレイの髪が長髪になる。まるで女性のようだ。ランドはクレイが『スピリッツⅣ』になったことに驚いたが、すぐに冷静になる。
「いきますよ!混沌よ、理よ、全てを呑み込む破滅の力。その力を今解き放て!『混沌大砲』!」
パキッ!
もう一度ヒビがはいる。
「今だ!白き閃光よ、我が剣に纏い敵を切り裂け!『聖剣』!」
「無数の星々よ。その光を剣に宿り、力となれ!『黄星剣』!」
白と黄色の巨大な斬撃が放たれる。そこでクレイは何かに気づいた。
パリン!
結界が割れる。しかし、
パキッ!
「なっ!二重だと!?しかも一枚目より頑丈だ!」
「はあはあ。」
シオンの『スピリッツⅣ』が解ける。黒い人型はもういいか?といった感じで迫ってくる。
「まずい!どうすればいいんだ!」
「…ランド、シオン、耳を貸せ。作戦がある。」
クレイがランドとシオンに作戦を話す。
「できるのか、そんなこと!?」
「わからない…、そう感じただけだからな。だが何もしないよりマシだ。シオンやれるか?」
「つ、辛いけど、やります!」
シオンが相手に向かっていった。時間稼ぎだ。
「はあ!」
剣を振るうがやはり弾かれる。相手がその隙に黒い剣で斬り裂こうとする。
「くっ!」
すぐに回避する。が、
ドス!
拳が胸にきまる。
「ぐは!」
シオンがうずくまる。ランドとクレイが何か企んでいるのに気づいたのか、そちらに行こうとする。そこにシオンの『火炎弾』が飛ぶ。
「ど、どうしました?こっちの獲物の方が弱ってますよ?」
シオンが胸を押さえながら立ち上がる。それが気に食わなかったのか、シオンに襲いかかる。
「準備できたぞ!ランド!右手で『聖剣』を放つんだぞ!」
「こっちもできた!クレイも左手で『黄星剣』を放てよ!」
「いくぞ!シオン離れろよ!無数の星々よ。その光を剣に宿り、力となれ!『黄星剣』!」
「白き閃光よ、我が剣に纏い敵を切り裂け!『聖剣』!」
シオンは、即座にバックステップで距離をとる。敵に当たるが、やはり二枚目の結界に阻まれる。だが、これで終わりではなかった。
「「勝負を決めろ!これが全てを決する最後の一振り!『終決剣』!」」
二人の剣が交わりに巨大な光の剣に変わった。クレイの言う作戦とは、スピリッツ技の合成だった。クレイとランドが一緒に剣を振るう。今度は、いとも容易く結界ごと敵を斬り裂いた。