暗殺ギルド
「こちらが、新緑紅葉です。」
「ほお、これは見事な。」
魔王の護衛も感嘆の声をあげる。しかし、ランドはどこかつまらなさそうだった。
(俺にはこういう自然の美しさに疎くてどこが良いのかわからない。)
「この紅葉を入れたお守りを相手に渡すと、永遠の絆が結ばれると言われています。」
(そうだったのか。そういえば、まだ6、7歳のころシオンが俺にくれたな。どこいったっけ?)
こうして順調に案内していく。
「ところで、3日間滞在するとのことでしたが、宿に泊まるのか…、ですか?」
「ふふ、無理して敬語で話さなくても良いぞ。」
「いえ、客人ですので。」
(気をつかわせちまったー!俺のバカ野郎!シオンのいう通りになってしまってるじゃねえか!)
「そうだな、迷惑でなければ君達の家に泊めてもらえないだろうか?」
(いけそうではあるな。結構部屋も広さもあるし。)
「大丈夫ですよ。」
シオン即答かよ!とランドは思っているとシオンが肘で突いてくる。なんだ?
(こういうこともあるかもしれないから、事前に決めてたでしょう。)
(俺が忘れてただけか。いや、聞いてなかったのかな?)
(…頼みますよ、ランド。)
順調に今日の案内が終わり、
「此処が私達の家です。」
「大きいな。」
(貴方は、城に住んでるけどな。)
ランドには、皮肉にしか聞こえなかった。
「こちらが、僕の姉のフィオナです。そして、あちらがクリス。」
「初めまして、シオンの姉のフィオナです。」
「同じギルドのクリスです。」
「初めまして、魔王のリオだ。魔王ではなく、リオと呼んでほしい。」
こうして今日のところは、終わった。
(フィ…、姉さん何かわかりましたか?)
(ええ、魔王を狙っているのは、人間ばかりね。)
(人間?戦争主義派の魔族じゃなくて?何故魔王が訪問していることを知っているのでしょう?)
(その理由は、わかったわよ。人間に情報を流したのは、人間だけで構成されている暗殺ギルド『闇夜の影』よ。)