完成
「あ、あの私なんかでいいんですか?」
「マリア…、この子はコテナに縁も何も無いぞ…。」
「いいのよ!調度困っていたところだから!それとも他に適任者がいる?」
そう言われるとギルド長が黙る。
「そういえば名前聞いてなかったわね。名前は?」
「シルヴィアです…。」
半ば諦め気味に答える。
「よし!じゃあ今日からシルヴィア女王ね!大体決まってるから後よろしくね!」
「えっ!?」
「か、帰るのか!?」
「だって、国づくりなんて私よりシルヴィア女王の方が詳しいでしょ?お願いねー。」
実際は、幼少期からマリアも王の目線から国を見て、こうしたいああしたいと考えていた時期があり詳しかったのだが、二人はそれを知らない。
「むう、だったら自警団の育成をお願いしたいんだが。」
「えっ?私、気に入った相手しか弟子とらないんだけど?」
「弟子にしろとまでは言っていない…。指導でいいから。」
「ああー、帰りたい…。」
シルヴィアは、全てを押し付けられそうになっていたのが、一部解消されたことに少し安堵した。
さらに約三ヶ月後
(弟子より強くなると困るから難易度下げたんだけどね。弟子より根性がなかったわね。まあ、最初に比べるとマシだけど。)
「マリア、もういいぞ。大体どんなメニューにすればいいかわかったからな。かなり厳しいがな…。」
「やっと終わったわー。」
結果半年で国づくりも終わり、精鋭部隊も出来あがった。
「師匠、どこに連れていく気ですか?」
「とある小国よ。」
「…私行きたくない。ハーフだし。」
「あー、俺も行きたくないな。」
「私も…。」
「大丈夫!見てなさい!」
コテナに着く。三種族が仲良く会話したり、商人が他種族に商品を売買したり、別の種族が協力して畑作りしたりの光景に五人は驚く。
「…何…これ。」
「あら?この子ハーフ?」
「ひっ!」
「可愛いー!」
「えっ?」
獣族の女性がクリスの頭を撫でる。
「気持ち悪くないんですか?」
「へっ?何が?」
「私、ハーフですよ?」
「あはは、変な事を気にしてるのね。ここは、どんな人も受け入れる国コテナよ。ようこそ!偏見のない国へ!」
「う、うわああん!」
クリスが泣き出し、獣族の女性に抱きつく。
「うぇ!?辛い思いをしたのね。」
「ちなみに、この子が鹿十匹を運べる怪力の持ち主で、この子は不死身なのよ。」
「へぇー、面白い人ばっかりねー。」
その言葉には、信じていないという印象はなく、それでいて気味悪がったり、人外を見る目になったりすることはなかった。その様子を見てエリシアもランドも警戒を解いた。
こうして五人はコテナの住人になった。