拡張
一週間後
マリアは、助けた人達の様子を見ていた。
(もうすっかり小さな村ね…。)
野菜を耕している者、商品を売買している者ともう村として成立していた。
「マリア、おはよう。」
「あ、うん。おはよう。」
元ギルドマスターが挨拶してくる。
「貴方は何してるの?」
「私ですか?私はやっぱりギルドマスターをなってほしいと皆の希望で結局この村のギルドマスターですよ。」
「へぇー、この村の名前は?」
「適当ですが、コテナです。」
さらに一週間後
突然、新ギルドマスターが押し掛けてきた。
「大変だ!マリア!」
新ギルドマスターは、ため口になっていた。
「何?ギルド長。」
「そこまで老けてない!」
「いや、だからそういう意味じゃないだけど…。」
(名前が長いからだから!)
「そんなことはどうでもいい!大変なんだ!たくさんの人がコテナに集まってきたんだ!」
「は?」
ギルド長の話によると、少し前に森で迷子になっていた家族を住人の一人が助け、コテナに案内したらしい。実はその家族は偏見を持たない人達で、三種族が仲良く暮らしている光景を見て、ここに暮らしたくなったそうだ。そして、そのコテナの噂を聞いた人達が押し寄せたとのこと。
「っで、私にどうしろと?」
「家を造るのを手伝ってほしい。」
「あのねぇ、私を大工か何…」
と言いかけたところでやめる。
(待って…。村を拡張すれば、それだけクリスやエリシア、ランドに偏見を持たない人が増えるってことね。皆、私に依存している節があるし、他の居場所を作るのに良い機会かも。)
「わかった、やるわ。どれぐらい、いるの?」
「えー、重大なお知らせがあります。私は、約一年ここを留守にすることにしました。」
(ああー、もう!家造りに、土地づくり、面倒ね!)
「え?じゃあ、僕達はどうしていたら良いんですか?」
「大丈夫よ。貴方達はもう、そこら辺の魔物も動物も狩れるわよ。」
「いえ、そうではなくて修行です!修行!」
(あっ、忘れてた。私がいない間に剣の型が壊れると困るし、だったら…)
「…そうねぇ。ちょうど良いわ。もう一種類の武器を扱えるようになりなさい。私がいない間の課題よ。」
「それは、何でも良いんですか?」
(剣ばっかりもねー。私が教えたのと我流っていうのも面白いけど…)
「剣系統以外なら何でも良いわよー!ちなみに、私が帰ってきたときに貴方達が弱くなっていたり、変わってなかったりした場合…。」
(私が居ないからって、怠けないように…)
「(ゴク!)場合は?」
「今までのがどれだけ優しかったか思い知らせてあげる!」
(二十四時間休憩なしよ!寝そうになっても悪夢で起こす!)
そして翌日、村の拡張のために出掛けた。