溝
マリアが食料調達をしている頃。
ワアーーー!!
「うるさい!何なの!もう!」
マリアが様子を見る。どうやら戦争、いや人間による他種族の虐殺が行われているようだ。
「ハハハ!!死ね、獣族も魔族も!」
「そいつらを庇う奴等も同罪だ!皆殺しにしろ!」
人間達の目に狂気が宿っている。マリアの目には、人間が悪にしか見えなかった。
(…こ・い・つ・ら・はー!!)
マリアは『衝撃爆弾』を一発放つ。
「へへへ、まだまだ殺し足り…、な、何だあれは!」
魔力の玉を見て、虐殺している人間達が驚く。魔力の玉が降り、爆発する。
「「「ぐわー!!」」」
「ありがとうございます。助かりました。」
「いいのよ。衛生上あれは良くない。」
(吐き気がするわ!)
襲われていた人達は人族、獣族、魔族と三種族揃っていた。
「どうして襲われて…、いや何となくわかるけど。」
「はい、私は国のギルドマスターをしてたんですが、獣族も魔族も人族と同様に接したことで襲われました。他の者達も同じような感じでして。」
「ああー、大体予想通りね。それじゃあね。」
「あ、あのお名前を教えていただけませんか?恩人の名前を覚えておきたくて。」
「…マリアよ。でも、恩人なんて大それたこと言わないで。助けたいより、ムカつく…だったし。」
「マリアさんですか…。」
どうやら『最強』を知らないらしい。
「貴方の方が年上でしょ?マリアでいいわ。」
そう言って今度こそ帰ろうとするが、一人の魔族が恥ずかしそうにお願いをし始めた。
「あの~、すみません。恥ずかしい話、私達住む所に困っていまして。力を貸していただけませんか?」
「おい!助けてもらっておいて、それはないだろ!」
元ギルドマスターがたしなめる。
(あっ、調度失敗作がある。)
人数も見た感じ、50人弱だった。
「じゃあ、案内してあげる。」
「「「えっ?」」」
「あの、いいんですか?」
「ええ、好きに使いなさい。せっかく造ったのに勿体もの。」
「すみません、ありがとうございます。よし、皆!ここが俺達の新しい居場所だ!」
(えっ!?住むの!?メドがたったら出ていくと思ってたんだけど。あー、静かに暮らせると思ったのにー!はあ、放置も気分悪いし妥協しましょう…。まあ、多少離れてるけどね。…シオン達には秘密ね。)
そんなことを考えていた。