黒幕の名
ラヴァの前に青筋を浮かべたルナがいた。
「何か言うことは?」
「ごめんなさい、ルナ先輩。ついうっかり月を壊してしまいました。」
「…本音は?」
「月は壊すためにあるんです。」
「死ねー!!」
ブオン!!
「かわすなー!!月を二回も壊しておいてー!!」
「かわさないと真っ二つになってしまいます!それに二回目は知りません!」
キンッ!カンッ!
「師匠止めなくていいんですか?」
「流石に私もあの中には入れないわ。それにじゃれあってるだけよ、あれ。」
「…あれでですか?」
ちなみにマリア以外二人の動きは見えていない。音が聞こえるだけだ。マリアも見えているといってもいくつか残像だが。
一時間後
「やっと落ち着いたわね。本題に入るわよ。」
「今回の事ですね?」
シーナの質問にマリアが頷く。
「あれ?シオンは?」
「それはですね…、」
シオンとシーナの関係を説明中。
「うわー、複雑ねー。貴方だと違和感あるんだけど。シオンに変わってくれない?」
「姉様が前にいる間は出ないそうです。」
「あれ?喧嘩でもした?」
「…秘密です。」
フィオナがラヴァを睨む。ラヴァが笑顔で手を振る。
「まあいいわ。昨日の夜、黒い雨が降ったの知ってる?」
「雨が降ったのは知ってますが、黒ですか?見てなかったので知りませんでした。」
「俺は見たぞ。自然現象かと思ったけど。」
「あれは、自然現象なんかじゃないわ。故意に降らせたのよ。そして、あの雨を浴びた魔物は凶暴になる。」
五人は、(だからか。)と納得する。
「エリシアとクリスから聞いたけど、堕天使までいたのはどうして?」
「あの方って言ってたわよ?」
「アイツの差し金か。」
「アイツ?」
「今回の黒幕よ。名はソラリス、破壊神よ。」
それを聞いて三人以外驚く。
「破壊神…。」
「アイツは平和が嫌いでね。堕天使を集め、おまけに創造神様にも喧嘩売ってるのよ。だから、愛の神は代にわたってアイツの情報を集めているのよ。」
(なるほど、だから今回の事を予測できたんですか。)
「今回は、創造神様に特例で許可をもらって助けることができたのよ。時間かかったわよ。」
「彼はまた何かを仕掛けてくる。直接手を出せないようにはしてるんだけどね。」
「…というわけでしばらく私は師匠に復帰!覚悟しなさい!」
シーナを除く五人は嬉しさ半分、恐怖半分の器用な表情を浮かべた。