石化
シオン&フィオナ側
「ホーネット…なんですか。あれは。」
「ランクはDのはず…でも。」
二人が絶句しているのには理由がある。ホーネットは言ってみれば大きな蜂で、針に毒がある。その毒が体にまわるのは時間がかかり、その間に解毒剤を飲めば治る…、はずだった。しかし、刺されて数十秒で毒がまわり、解毒剤も気休め程度にしか効果がなかった。幸いなのは、麻痺毒であったことで誰も死に至っていない。
だが、相手はホーネットだけではない。スライムだ。麻痺している人を襲おうとしている。しかも、普通のスライムに比べて強い。そのせいで、針が刺さった人をすぐに撤退させなければならない。気が気ではなかった。
遠距離で戦うべく、シオンは双銃、フィオナは双弓だ。
「無限火炎弾!」
弱点である火属性で撃ちまくる。しかし、
(おかしい!ほとんど当たらない!)
ホーネットが器用に避ける。確かに回避に長けているが、シオンの攻撃をホーネット程度でかわせるはずがなかった。
「イフリート!」
「姫!」
「「我が呼び声に応えよ。全てを焼き尽くす灼熱の剣!『煉獄剣』!」」
フィオナが手元に現れた炎の大剣で凪ぎ払う。ホーネットがかわすが、下を通過しただけで燃えた。スライムもまとめてだ。
シオンがもう魔物がいないことを確認する。
「よし!もういませんね!じゃあ姉さんがエリシアの…!」
シオンは考えをまとめるために空を見上げたとき、魔物の存在に気づいた。
((あれは…、バジリスク!))
(シオン!交代よ!姉様と巨大な合成魔法を使うから!)
(…わかった!)
((チェンジ!))
シオンの体がシーナに変わる。
「姉様!上にバジリスクが!氷が弱点ですから、飛びっきりの氷の魔法をお願いします!私が合わせて巨大な魔法にしますから!」
「上?…!わかったわ!シヴァ!」
「はい!」
(共鳴はしない!姉様にはまだ許してもらってないもの!何の魔法かはわかる!)
「「我が呼び声に応えよ。全てを凍らせる氷の魔界!『氷魔界』!」」
バジリスクが山ほどの大きさの氷の中で氷付けになる。しかし、まだ生きている。
「『氷結』!」
巨大な氷柱がバジリスクを貫く。
「「「全てを終わらせる、氷の鉄槌!『氷終』!」」」
巨大な氷の隕石でバジリスクが潰れる。
「今度こそ…、…!姉様危ない!」
顔を上げると、バジリスクがもう一体いたことに気付いた。すでにバジリスクは爪でフィオナを攻撃しようとしていた。あの爪には石化の効果がある。
ドンッ!
シーナは、フィオナを突き飛ばす。そして、爪が皮膚を掠め、
パキパキパキ
「いたた…、だいじょ…シー…ナ?」
シーナは、石化した。