頑張るシーナ
フィオナが夜遅くに帰ってきた頃。
「ありがとう、フィリス。私の代わりに料理を作ってくれて。」
「いえ、これが私の仕事です。三番目のご主人様。」
フィリスが料理を作り始めてから、フィオナが夜まで出掛けるようになった。今までは料理担当だったため、比較的皆と依頼を受けることが少ない、もしくは途中で帰るのだがフィリスのおかげで自由になった。
(…。)
(シーナ?)
シーナはフィリスが褒められているのを見て嫉妬していた。
(私だって、何かできるんだから!シオン!明日からしばらく私と交代よ!)
ちなみに、人格を交代すると体も入れ替わる。とはいっても、変わるのは性別くらいだが。
普段は、シーナと変わることは滅多にない。以前の騒動のためだ。しかし、シオンはある程度シーナを許しているのもあり、
(は、はい。)
シーナのプレッシャーにしぶしぶ交代を許した。
「…というわけで、しばらく私です!」
「え、ええーー!!」
フィオナがシーナから距離をとる。洗脳発言がまだ響いているようだ。
「なので姉様、何か手伝えること、もしくは覚えてほしいものってありますか?」
「そ、そうね。裁縫とか?」
「わかりました!裁縫ですね!」
内心動揺していた。料理を手伝ってほしいと答えるかと思ったら裁縫なのだ。料理ならシオン経由で経験があり、素人よりスタートが早いと考えていたのだ。裁縫なんてわからない。
「やり方なら以前師匠が持っていた本があるからそれを使いなさい。」
意外なことにクリスが助け船を出してきた。
(クリス、ありがとう。)
心で感謝し、やり始めた。
結果は失敗。何度やっても上達しない。
「ううーー!」
洗濯、掃除、他にもチャレンジしたが、できるようにどころか上達もしなかった(他の皆はある程度できる)。
(私、才能ないのかな…。)
その時閃いた。
(そうよ!魔法よ!魔法なら教えられる!適正だってわかる!)
そして、全員を集め魔法を教え始めた。
「ありがとう、シーナ。とても勉強になったわ。」
フィオナとの距離が縮まりシーナは、
(えへへへ。)
とても満足だった。
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フィオナ
魔法
『灼熱爆炎』new !『水絶景』new !
クリス
魔法
『氷結晶』new !