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アンドロイド


「、、、そういえばさ」

海とクロ、ティアと狩りへと出かけている最中、ふと思ったことを口に出す

「ここの森って、盗賊が出るって前言われたでしょ?、、、結局会ったことないよね」

四人は最近はここ、黄の森にて狩りをしている

そこそこ強い魔物がこの森には徘徊している為、レベル上げ、換金用の素材などから、狩りにうってつけの場所のためだ

海「まぁ、盗賊が場所を変えたか、誰かがもう倒したか、だろうけど」


この日も順調に狩りを行うことができ、レベルアップもした為、一番奥まで行ってみようということになり、未だ未踏の森の奥へと進んで行った


巨大な樹の隙間を縫うように、人が踏み歩いた形跡を辿り、森の中心部へと歩みを進めていくと、前方を覆っていた木の葉の群れが無くなり、日の光が差し込んで来た

「ん、、、?ああ、真ん中は広場みたいな感じになってるのかな?」

そんな予想を抱きつつ、森の広場へと四人は足を踏みこんだ


広場へと足を踏み入れた四人は、優に20mはあるであろう巨大な樹を目撃する

その、どこか神聖な気を帯びている樹をのんびりと眺めることも叶わず、四人は別の物も目撃してしまった


逆に、それに先に気づくのが普通なのだろうが、、、

地面に、赤黒い池が出来ていた

いつぞやの学校の件を思い出させる様な光景に唖然とする海

話にあった盗賊と思わしき男達であろう、15人程の死体の、恨めしそうな、悲痛な瞳と目があってしまったティアが、フィアに反射的に抱きついた

、、、フィアとクロは相変わらず冷静で、取り乱すことはなかったのだが

「ティア、海、大丈夫?」

ティアの頭をゆっくりと優しく撫でながら、2人にそう尋ねる

海はただ、無言で頷き、意を決して死体へと歩み寄っていった

ティア「、、、どうして、こんな、、、」

顔を押し付けられているため、フィアにティアの表情は解らないが、ショックを受けているのは明白だろう

「、、、そうだね、それを調べてくるから、クロと一緒に居て」

その言葉に小さく頷き、ティアはクロの袖を掴んだ

「まだ残党が残ってるかもしれないから、クロは警戒してて」

頷き、ティアの頭に手を置くと、感覚を研ぎ澄ます為かクロは、ゆっくりと目を瞑った


死体は、服装的にも盗賊で間違いなさそうだった

傷を調べてみると、銃で撃たれた様な跡に、激しい殴打の後、ぐちゃぐちゃにされていた中身等から、複数の武器を扱う者による殺害だということぐらいしか、2人には解らなかった


「、、、これは損傷が少ないね」

海と共に、血溜まりとは少し離れた、巨大な樹に寄り掛かっている女のアンドロイドを見つけた

アンドロイドとは、単純に言えば、人間に限りなく近いロボット

レベルアップの概念は無く、体を構成するパーツにより強化されていく、という一風変わった特徴の種族だ

金さえあれば、最初から途轍もない程強くなれる、逆もまた然り


そのアンドロイドに、フィアが何気無く触れようとした瞬間、アンドロイドの目が突如、思いっきり開かれた

不意に起きたその反応に驚き、すぐさまフィアは後退したが、アンドロイドはその速さの先を行く

しかし、フィアは背後に回り込まれたのを、最早ただの勘で感じ取り、跳んでる最中に左足で、横へと強引に向きを変えた

バランスを崩しそうになるのを右足のみでクルリと一回転し、なんとか避ける

敵、つまり先程のアンドロイドを確認する為、周囲を瞬時に確認する

前方、先程までいた位置には、右手を小型のドリルへと、どうやってか変換させたアンドロイドがいた

「ちっ、、、まじかよ」

正直、今避けることが出来たのは奇跡に近いな、と溜息混じりにそう思った

溜息をついている暇は無い、と多少の冷や汗をかきながらも自分に活を入れ、剣を抜刀した

「援護して!聞きたいことがあるから、なるべく殺さないように!」

そう叫び、感情を示さない彼の敵の元へ駆け出した


右手の三位一刀を頭部に振るう

先程の彼女の速さから、十中八九避けられるだろう、と判断した上での、次の一手を考えながらの頭部への攻撃

避けるかと思いきや、彼女は左手で、いとも容易く三味一刀を掴んだ

「なっ、、、ちっ」

白刃取り、とはとても言えない

確かに手に当たった感覚はあったのだが、、、手のパーツが尋常ではない強度を誇っていたため、簡単に掴まれてしまったのだ

膠着状態、になれれば良かったのだが、彼女はドリルでフィアの身体を捉え、一直線に突きを放った

が、海による物だろう圧縮された豪炎の存在をどうやってか察知し、それを防ぐ為に、彼女はドリルの矛先を変え、高速で回転するドリルによって炎は掻き消された

その隙を突き、左手のスターシーカーに風の魔力を込め、彼女の右手に向けて渾身の一撃を振るう

その一撃を避ける間は無く、確かに鋭い斬撃が、彼女に浴びせられた

痛みによってか、彼女の左手の力が僅かに弱まったのを察知し、三味一刀を引き抜き、再度後方へと跳んだ

「硬いどころじゃない!倒すのきつくない!?」

海「つったって、逃げれるかよ!?」

かの化け物アンドロイドは、傷を付けられた右手の調子を確認するかのように、右手を開いたり閉じたりしていた


「機体損傷度27%ドリル機能破損、拳機能異常なし、胴体損傷度問題なし、任務を続行します」

そう小さく呟いていたのを、ファイは聴覚強化で聞き取っていた

右手を拳に変え、此方の動きを探る様に、彼女も構えをとった

「、、、盗賊達も、アレにやられたんだろう、、、20%程度しか傷付けられなかったみたいだけど」

考えている暇はないな、と再び二刀を構えると、隣でクロがダガーナイフを取り出し、力を入れずぶら下げるような構えをとった

クロ「、、、クロも」

チラリとこちらを見たクロに頷き、風の魔力を足に込める

それと同時に、クロがアンドロイドへと突っ込んだ

大きな動作をするわけでも無く、最低限の動作でナイフを横に振るう

無論、強固な手で掴まれるが、クロは闇の魔力を全開にし、ナイフに纏わせた

それにすぐさま気づき、彼女は瞬時に掴んだナイフを離した

が、その手には既に、闇の霧が纏わり付いていた

闇の魔法は剣などに纏わせることで、切れ味を上昇させる

魔法として放つことで強烈な痛みと衝撃が襲う

闇魔法による攻撃を受けると

Damage over Time 通称DOT、

つまり継続ダメージを受ける

戦闘面において、最強の魔法と言えるだろう

続け様に浴びせられる攻撃をなんとか避け続ける彼女だったが、素早く後ろに回り込んでいたフィアによる足払いを受けて転倒した

一気にトドメを、とクロが倒れた彼女に向けてナイフを振り下ろす

が、ナイフが彼女に刺さるよりも速く、彼女は左手をクロに向けた

そして突如、彼女の五本の指の関節が綺麗に折れ、空洞が姿を現す

、、、何か、来る

そう本能で判断したクロが後方に跳ぼうとするが、彼女の方が一歩速い

短い銃声と共に彼女の指の中から銃弾が、クロの眉間目掛けて斉射された


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