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覚悟

宿主「はい、では、お部屋は二つでよろしいですか?」

男女別々の部屋を取る、、、まぁ妥当だろう

海「はい、問題ないです」

、、、ん?俺はどっちの部屋に入ればいいんだろうか


ライ「んじゃ、こっからは各自自由行動で」

俺の疑問など知らず、

クロとティア、ライと海がそれぞれ東と西の部屋に入って行った

、、、東の部屋だな、うん


宿の部屋

ティア「ふぅ、、、疲れたぁ、、、」

部屋に入ると、ティアとクロがそれぞれベッドに腰掛けていた

「お疲れさま、ちゃんと闘えてたよ」

そうティアの方のベッドに座り、頭を撫でてやると、犬の様に気持ち良さそうに目を瞑り、やられるがままになった

、、、ベッド二つしかないな、、、どうしよ

と考えつつ撫でていると、クロが此方をジッと見ていることに気がついた


ポンポン、と自分の左隣を叩き、クロに此方に来る様に伝えると、意図を察したのか、表情を崩さずに隣に座った

自分よりも身長の高いクロの頭をなんとか撫でる

クロ「ん、、、」

そしてあろうことか、自分の膝を枕にして、仰向けに寝始めてしまった

ティア「ずる〜い、、、」

それを見たティアが頬を膨らませ、俺の肩に頭を乗せた

「はは、、、何処か遊びに行って来る?」

ティア「、、、フィアお姉ちゃんと一緒に行きたい」

、、、果たしてその言葉の意味は、自分と一緒に行きたい、ということなのか、一人じゃつまらないから一緒に来い、ということなのか、、、


「解った解った、、、よっと」

クロをお姫様抱っこし、もう一つのベッドに寝かせた

、、、一応確認すると、本気で眠っていた

「んじゃ、行こうか、、、ん?」

クロを下ろして立ち上がろうとすると、、、服をクロに引っ張られた

、、、まさか、あの一瞬で、寝て起きたのか?

クロ「、、、主が離れたらすぐ解る」

考えを読んだのか、クロがそう呟き、目を眠そうに擦り、起き上がる

「、、、そっか、んじゃ、三人で適当にぶらぶらするか」

寝たふりを疑うレベルの速さで起きたが、本気で眠っていた

、、、恐ろしく思うが、少し嬉しかったりする

ティアに引っ張られながら二人は部屋を出た


宿屋を出て、さて何をしようかと悩んでいると

老人「お嬢さん達、冒険者かい?」

長いナマズの様な髭が特徴的な、優しそうなドワーフの老人が、そう尋ねて来た

「そうですけど、、、何か用ですか?」

老人「おっと失礼、私、この村の村長のドリュー、と申します、以後、お見知り置きを」

老人、ドリューが頭を下げ、習う様にティアも頭を下げた

ドリュー「用といっても、対した物ではございません、、、何の目的でここへ来たのかは知りませんが、此処から北の黄の森に近づくのはお勧めしません」

「黄の森?」

東京、、、イースタルへの道を直進していくと森の中を進むことになるのだが、、、その森の名前だろうか

ドリュー「此処からイースタルへ行くのに一番近い方法が森を越えることですから、、、要らぬ警告なら良いのですが、、、あの森には盗賊が居座っております故、何が起こるか解りませぬ、、、小さな子もいるようですし」

、、、俺たちがイースタルへ向かうと考えて、わざわざ警告しに来てくれたのか

「解りました、、、警告、感謝いたします」

さて、どうしたものか、、、まぁ、ライ達と話し合って決めるべきか


ティア「ねぇねぇ!村長さん!」

立ち去ろうとしていた所で、ティアが村長に話し掛けた

ドリュー「どうかしたかい?」

ティア「この村の面白いところってどこ?」

ちょ、ちょっと失礼だな、と思いつつ、掛ける言葉が見当たらず、考える振りをとった

ドリュー「そうだねぇ、、、私は暇な時なんかはあそこの川で釣りをしているよ」

ドリューが指差す先には、どこまでも続いていそうな、綺麗な長い川があった

ティア「解った!ありがと!」

駆け出したティアについていき、釣りをするティアを、のんびりと横から眺めることにした


釣り中

ティア「そういえば、二人はいつも何してるの?」

魚が掛からなくて暇なのか、欠伸をしながらティアが話し掛けてきた

「ん?ん〜、、、そういえばクロは何やってたんだ?」

クロ「、、、本、、、か、料理」

今もまた、表紙の無い本を読んでいた

「そういえばその本なんて本?」

クロが読んでいた本に栞を挟み、俺に渡してくれた


ページをめくり、一ページだけ読むことにする

ティア「あ、来た!」

私は何故生きているのだろう、そう考えたことはありませんか?この本はそんな人に贈る、人生の指南書です。

※注意

鵜呑みにしすぎないで下さい

第一章

死ぬということ


、、、取り敢えず本を閉じて、クロに返した

「成る程、参考になったよ、ありがと」

ティア「見て見てフィアお姉ちゃん!」

ティアが地面に打ち上げられた魚を指差し、褒めて褒めて、と目をキラキラさせる

「お、おおお、すごいね!」

頭を撫でてやろう、、、と、手を上げようとしたが、止めた

ティアはスラスラと針を抜き、村の人の元へ駆けていった

撫でてやりたかったが、、、どうなんだろうか、撫でられるのに慣れてしまうと、その内何も思わなくなってしまうのではないか、、、

何度も繰り返していくと、それが当然になる、、、それはいいことなのか、悪いことなのか

むむむ、、、いや、多分大丈夫、飽きさせるんじゃない、酔わせればいい、、、、、いやいや、待って、今のなし


ティア「売ってきた!」

悩んでいると、ティアが戻ってきた

ティア「フィアお姉ちゃんの趣味は〜?」

悩んでいる様子に気づいたのか、様子を伺うように顔を下から覗き込んできた

「ん〜、、、ゲーム、、、って言っても解らないか、そうだなぁ、、、哲学、、、そのクロの本に書いてあるようなことを考えたり、議論したりするのが好きだったかな」

高校ではそんなことを語れる人に会えなかったから最近ご無沙汰だったが

ティア「哲学?って何?」

「ん〜、、、何をするために生きてるんだろう、とか、幸せってなんだろう、とか、考えるってなんだろう、みたいなことかな」

ティアは???と疑問符を沢山浮かべていた

クロ「、、、この本、哲学?」

「最初のページを見た感じはそうだね、、、そうだなぁ、クロ、死ぬってなんだ?」

試しに、第一章に書いてあったことをそのまま尋ねてみた

クロ「、、、本には、その人が考えるのをやめること、って書いてあった」

、、、ふむ、、、そういう意見もありだな

「成る程、、、でも、本にはそう書いてあった、ってだけでしょ?哲学に正解はない、そういう本を読んで、クロは死ぬってどういうことだと思った?そういう本を読むのは、答えを探す参考にするために読むといいと思うよ」


本の通りの考えになってもいい、、、、けど、本を読んだ結果、新たな考えを出してもいい、哲学の面白いところだと思う

クロは手を顎に付け、考える

クロ「、、、心臓が止まること?」

「それも一つの答えだよ、、、そういうのを暇な時は考えてたりしてたかな」

ティア「ふぅん、、、じゃあ、フィアお姉ちゃんにとって、、、死ぬってなに?」

やっと理解出来たのか、ティアが尋ねてきた

「、、、ただの、生きる、の反対かな」


飯、風呂を済ませ、そろそろ寝よう、という所で

ティア「フィアお姉ちゃん!一緒に寝よ?」

トイレから戻って来ると、枕を抱きしめたティアが、ベッドに座っていた

クロ「、、、主、クロと、、、」

、、、どうするべきだ

• ティアと寝る

• クロと寝る

• 逃げる


、、、こんなもんか、、、床で寝る、は無しの方向で

ベッドを持ち上げられるか試してみると、割と重くなかった

、、、ならば

「こ、このベッド割と軽いし、くっつけて三人で寝よっか」

ベッドをクロと共に移動させ、間に自分が入る形で川の字になって三人で寝た



翌日

ライ「んで、どうするんだ」

村から出て森の前まで来た所で立ち止まる

海「調べてみたけど、ここを越える、以外の行き方だと、着くのは明明後日ぐらいになるかも」

海は、月曜は学校があるため、明後日には着かなきゃならない

、、、やっぱ学校あると面倒だよなぁ、、、行かなくて正解だな、うん

「、、、別に盗賊が来たら返り討ちにしたらいいと思うけど、、、人を、、、、、殺せる?」

それぞれを見回す

ライ「別に、問題ないだろ、罪になるわけじゃねぇんだし、俺は出来る」

ライはまぁ、、、そう言うだろうとは思っていた

海「、、、どうだろ、、、あんま殺したくないけど、襲われたら、、、やれる」

海はそういうの出来ないだろ、、、と言いたかったが、やれる、というんだ、信じよう

、、、戦わないことが一番だがな

クロ「、、、大丈夫」

「ん、、、、そっか」

まぁクロは、、、多分一切躊躇しないだろう

いつも以上に目が虚ろなように感じたが、、、多分気のせいだろう

「、、、ティア、、、出来る、、、?」

正直、子供にそんなことやらせたくない、、、けど、一緒に冒険する以上、、、多少の覚悟はしておいて欲しいと思う

ティア「、、、フィアお姉ちゃんは、、、出来る、の、、、?」

ティアは怯えた表情で此方を見上げてくる

、、、

「、、、出来るよ、迷うことなく」

その言葉を聞いて、何を感じたのだろうか、、、何を想像したのだろうか、、、ティアは一筋涙を流して

ティア「、、、ごめんなさい、、、、、出来ない、と思う、、、」

そう小さく、出来ない、と言った


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