紅茶の飲み方
一通り食べ終わると、そろそろと執事が紅茶を運んできてくれた。
「スリランカから取り寄せたブレンドです。どうぞご賞味ください」
侯爵が私にそう告げた。
「ほう」
スリランカからの紅茶と言えば、3つの産地が心当たる。
ウバ茶、ヌワラエリア、そしてディンブラである。
はたしてこれはどれに当たるのであろうか。
片手に収まるほどの小さなティーカップの取っ手を、私はつまみ、まずは香りを楽しむ。
「ふむ」
まろやかな香りがする。
それでにて、ピリッとくるようなアクセントがきいている。
「ディンブラにわずかにウバを混ぜましたかね」
「さすがです。その通りです」
執事が代わりに答える。
飲むまでもない。
とはいえ、飲まなければ失礼にあたる。
私はそう思い、一口すすった。
芳醇な香りは、まるでブランディーのような深いものを思わせてくれる。
これは舞踏会だ。
老紳士と、まさに社交デビューしたての少女が踊っている。
それは、初めて出会ったはずなのに、古くからの親友のようである。
「……ブランディーも少々、かな」
「お見事です」
侯爵が拍手をして、嬉しがっている。
どうやら、このことは侯爵も知っていたようだ。
「では、我が家で採れた胡瓜を使いました、キューカンバーサンドイッチを持ってこさせましょう」
そう執事に言い、侯爵は、紅茶が7分目ほど入ったティーカップの取っ手に指をかけ、ゆっくりと飲みだした。




