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東屋
数分で準備ができたと執事がやってきた。
何の準備かは聞いていないが、だいたい想像はつく。
「お待たせいたしました、少々つまむものがございますので、こちらへ参られたいとの、侯爵からのご要望でございます」
「ああ、すぐに行くよ」
準備はできている。今回はラフな格好で、前座のようなところへと向かった。
「さきほどぶりですね」
侯爵が待っていたのは、庭の東屋だ。周囲に遮るものがないため、風が通り抜けてくる。ただ、木陰になるように、いちいの大木が植わっている。東屋をすっぽりと覆うほどの大きさだ。
「本日はお招きいただき……」
一応の礼儀としてではあるが、ここで礼を言う。
「あらためなくても、問題はないですよ。さあ、私のところのシェフが腕によりをかけて、作りました。お一ついかがですか?」
それはうさぎパイのようだ。18センチほどの直径だから、これぐらいといわれたら、これぐらいの感じではある。いまのところ、おかしい素振りや雰囲気はない。




