色々規格外な魔法
シャナちゃんは灼眼でした。スイマセン。一話を長くすると週一投稿になりそうですが頑張って長くします。
強い光を浴びてとっさに目を瞑っていたので開けてみると辺りがとんでもないことになっていた。
「なんだよこれ……」
まず最初に目に写ったのは赤々とした焦土だ。所々に赤熱した岩や石が転がっている。
更に、地表はまるで隕石の衝突の如く500m級の巨大なクレーターが出来ている。ん?中央に溜まった赤い所って溶岩じゃないか?
爆心地にいたのに何故か俺の立つ半径1m程の地面にだけさっきと変わらぬ緑があり俺が無傷なのは魔力吸収能力のせいだろうか?
あれだけの数のスティンガーはたった一撃の火球で地表面もろとも融解したということだろう。
あれ?火球って小太陽を造る呪文だっけ?……ってそんなわけねぇだろ!?
「これはヤバい…とりあえず暫く形態変化はお蔵入りだな…女王形態」
髪の色が紅から白に戻って行った。一様このアルビノ形態がデフォルトである。
それはそうとこんなん人里で使った日にゃあ即人類の敵決定だな。いや…そもそも魔王が元から人類の敵という設定だったらヲワタけどな。
それを抜きにしてもこの威力は某メラがメラゾーマ級の威力の大魔王を遥かに越えている。というか究極魔法撃ったらどうなるんだろう?………間違いなく国1つは滅ぶな…。
「仕方ない、暫くは形態移行を封印して魔水晶魔法を中心に使うか」
魔水晶魔法とは前にダンダリアンの言っていたように魔水晶族固有の魔法だ。とは言ってもあの世界に俺以外の魔法が使えそうな生物がいなかったから魔水晶女王(俺)の固有魔法に近いけどな。
まあ、どういう魔法かと言うとこういう魔法だ。
「魔水晶の剣」
そう言いながら手を空にかざすと俺は魔力を放出した。
魔水晶魔法は思ったモノを魔水晶で創造し操作出来る能力だ。
俺が考えた通りに全てのありとあらゆるモノを魔水晶で創造できる。
例えば物質から生物、更には世界に至るまで万物の全てが創造できると言うことだ。
しかも魔水晶は他の魔法を吸収する特性がある為、魔法では逆に増幅しダイアモンドを遥かに越える硬度を誇る物質だという。
俺の手から出た魔力がダイアモンドダストのようにキラキラと結晶が手に集まりだし2秒程で象を結び"100m"程の巨大で淡く白い光を放つ両刃の剣が現れた。
…………………いかん失敗した。1mぐらいにしようと思ったのにな、まだまだ練習が足りんな。
うむぅ…余りにも魔力が膨大過ぎて例えるならドラム缶に入った水をティースプーンに注ぐような作業だからな、加減が異常に難しい。
更にはまだ造り出すモノのイメージが俺の中に定着していないので今は出すモノを声に出さなければ成功しない。
まだまだこの身体を3%も扱えている気がしないな。
それはそうとこんなもの造ったからにはもちろん理由がある。
俺の目の前の地面が不自然に突起しているからだ。
次の瞬間そこから黒い何かが飛び出した。
「ジュアァァァァァ!!!!」
ああ…来た来た。
下部を殺られ過ぎてキレたカマキリの女王様が地中から文字通り飛び出てきたな。
今度のは一匹だがこれまでのと比べても異様にデカイ、ほぼ山だ。50mぐらいの体躯に普通のスティンガーより遥かに強靭そうな巨大な鎌と黒光りする装甲のような甲殻が目を引く。
だが、一番の特徴は女王様はその巨体からは考えられないスピードで現在進行形で空を飛んでいる事だろう、少なくともヘリよりは早そうに見える。たぶん普通の人が見たらトラウマになりそうな光景だ。
「はぁ…」
皆さんもそろそろ思っている頃だろう…………くどいわテメぇら!いい加減にしねぇと話が進まねぇんだよ!!
俺は無駄にデカイ魔水晶の剣を羽虫に向かって飛ばした。
いや、飛ばしたとは言うが俺は今の瞬間も一番も剣に触っていない。
つまり某ガ〇ダムのファ〇ネルよろしくで大半の小中高校の校庭の斜めの長さより長い剣を飛ばしたのだ。
規格外過ぎてアクビが出るわ。
「死ねゴラァァァ!!」
剣は軽く女王様の飛ぶ3倍程の速度を出しながら飛んで行った。
俺は"黒い地面"に寝そべって青空を眺めていた。
そう言えばいつの間にか太陽が赤い太陽に戻っていた。
ひょっとしてクリスタルワールドの中だけ限定なのかも知れないな。
それはそうと"コイツ"便利だな。
「ほれ、飛べ飛べ~」
「キ、キシャァ……」
ふむ、快適快適。ん?何してるのかって?さっきいた女王様をO・HA・NA・SHI(調教)して足につかってるだけだ。
え?絶対魔水晶使ってお前がとんだ方が速いって?
またまたご冗談を~。自分で車運転するよりタクシー乗った方が楽だろ?しかもコイツは飛べるし乗車賃無しだ。最高だね。
まあ、ちょっと運転が荒っぽいし今寝そべってる頭の上にはシートベルトも命綱も無いが些細な事だ。うんうん。
そうそう、剣は消し方が解らなかったので突き刺して置いてきた。誰かが見つけたら驚くだろうなぁ。
「よっと…」
立ち上がって地上を覗くと平原ではなく森が広がっていた。
地上500mぐらいを飛んでいるようだ。
人のいる方へ行けと命令しているので直に村にでも着くだろう。
こんな所に立てるのは異常な身体能力とそれのお陰で落ちても絶対に死なないという保証があるからだろう。たぶん手から落ちても突き指すらしないと思う。
「ん?」
よく見ると森の中で白のワンピースを着た十代半ば程の女の子が走っていた。
チートぼでぃのお陰で表情まで良く解るが何か焦っているようだ。
ふと彼女の後ろを見ると10m程の巨大な毛虫のような気色悪い魔物が彼女を追いかけていた。
「うぇぇ…気持ちワル……」
あんなもんに追いかけられるなんて夢に出たら暫くうなされそうだ。
「でも夢じゃなくて実際に追いかけられてるもんな、御愁傷様……じゃない!命令だあの少女を助けろクロロ!」
ちなみにクロロとはコイツの名前である。さっき付けた。
「キシャァァァ!!」
クロロは元気良く雄叫びを上げると下に直滑降した。
ちょっ…まっ…落ち…アー…。