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魔水晶女王(俺)は魔王の一人である  作者: ちゅーに病魔
2章 薔薇(ヘンタイ)と魔水晶(俺)
25/30

心と体

感想どうも、やっと薔薇編は終了。






時間は少し前に遡る。




「よし、帰る」


棘の塔が立っていた場所は戦闘の余波で更地から既に盆地に変わり、空は既に黄昏色に染まっていた。


そこで突然、交戦を止めた俺はそう言い放った。


「えぇ…?」


混沌妖薔薇は物凄く不満そうな顔をしながら手と足を止めた。


「埒が空かん」


それが夕方まで激突し続けた結果のだった。


というか、割れる→戻る。取れる→くっ付く。をお互い永遠と繰り返し続けるだけで全く決着が着かないのだ。


というかお互精々高くても10%ぐらいしか本気で戦っていない。


理由は簡単だ。


魔王が本気なんて出したら下手すればここからポラリスを全壊させるぐらいの被害が出かねないからだ。クロノスローズもある程度は弁えているようで今のところそんなことはしていない。


頭が冷えてきて思ったが、そもそもそれを考えていなければリリウムちゃんを拉致なんて回りくどい真似はしないでさっさとポラリスでおっ始めれば済んだ話だろう。


コイツは一体何がしたいんだろうか?


「えぇー、止めちゃうのぉ?」


「勝負が着かん。それに俺がいなきゃ誰が夕飯を作るというのだ」


「夕飯ですってぇ?そういえばあなたメイドやっていたわねぇ」


「メイドじゃねえ家庭教師だ」


メイド服を着ながら家事全般とリリウムちゃん(とたまにリリアナちゃんも)の魔法教育をしているだけだ。全然メイドではない。


「ふふふ……そうなのねぇ…」


さっさと飛んで帰ろうかと思ったところクロノスローズは不敵な笑みを浮かべていた。


「ならお邪魔しちゃうわぁ」


「………………」


「………………」


「帰宅!」


「追跡ぃ!」


「来んな変態!」


「ああぁん、ローゼって呼んでぇ~」



















「あらぁ、美味しいわねぇ」


結局、クロノスローズもといローゼリアもといローゼは飛ぶ俺を地面を跳ねるように走って追跡してきたせいで追い付かれた。身体値ェ…。


下手に暴れられても困るので仕方なく家に入れた。


本当、普通に入れてくれたヴィッセルさんには頭が上がらない。


「……黙って食え」


「あらぁ?照れちゃって可愛いわねぇ」


そしてテーブルを3人と3体で囲み大皿に山ほど盛られたミートボールスパゲッティを突っつきながら今に至る。


………………料理を褒められて嬉しくないやつはいない。


「ローゼさんはとってもゲームがよわいんですよー」


「…別に弱い訳じゃ無いんだけどぉ ……」


というか拉致されたハズのリリウムちゃんとローゼはなぜ妙に仲が良いんだ?


まさか……リリウムちゃん…拉致られたこと気付いてないなんてことは無いよな?


「なあリリウムちゃん?」


「はい?」


「ローゼとなんでそんなに仲が良いんだ?」


「だって師匠の友達らしいじゃないですか?」


ローゼに目を向けるとニヤニヤしながら答えやがった。


魔王友(マオダチ)よ」


このアマァ…。


「リリウムちゃん…勝手に人についてっちゃダメだぞ?魔王(ああいうの)はどうにもならんが普通の不審者は人の知り合いを装って近付いて来るんだから」


自分で言うのもあれだが母か俺は。


まあ、リリウムちゃんは勝手について行ったりはしていないのだがな。


「はーい!」


リリウムちゃんは元気に返事をした。その笑顔は疲れた人の心に優しいな………。




















皆が寝静まった頃、昼ネメシスがぶち抜いたリビングの壁をネメシスに修理させながら俺とローゼは机を挟んで向かい合っていた。


「あれ?何で私が直してるんでございましょうか?壊したのってスドー様では…」


「ほう…何か言ったか穀潰し?」


「………………横暴でございます…」


直接的にぶち抜いたのお前だろうが。


ネメシスが黙ったのを確認すると俺は口を開いた。


「で?お前はどうしたいんだ?」


「そうねぇ、最初はあなたにしか興味無かったけどぉ、あのリリウムって娘見てたら久しぶりに人の生活をしてみるのも悪くないと思うわぁ」


そう言うとローゼはニヤニヤしながらお茶請けの俺作のクッキーを摘まんだ。


「あらぁ、美味しいわぁ」


べ、別に嬉しくなんか無いんだからな!


「つまり何が言いたい…」


「私ぃ、暫くここに住むわぁ」


「テメ…」


正直俺はどうなろうとそこまで問題はない。だが、この家の者を巻き込むのは我慢ならない。


「ちなみにヴィッセルだったしらぁ?からの了解は取っているわよぉ?」


「は?まさか脅し…」


「あなたの恋人なのぉって言ったら簡単に了承してくれたわぁ」


「コノアマァァ!!!?」


ローゼは性懲りもなく頬に両手を当てて熱のこもった目で見つめてきた。


「あらあらぁ…良いじゃない知らない仲じゃ無いんだからぁ…ア・ナ・タぁ♪」


「そこになおれぇぇぇ!!!!」


「そ・れ・にぃ」


俺が飛びかかる前に椅子からローゼが消え、衝撃を感じると床に押し倒されていた。


ローゼの顔がアップになり胸や腿が直に身体に押し付けられた。


更に抱き締めるよいに抱き着いてきてローゼの大きな胸と俺の胸がぶつかり形を歪めた。


「ば、バカ!止めろ!?」


鼻孔をアロマのような優しいにおいがくすぐった。


「ふーん…やっぱりねぇあなたドキドキしてるわねぇ。うふふ………あなた……男の子でしょう?」


「なっ!?」


俺は状況が付いていけず口をパクパク開くばかりだった。男の子?なんでコイツ前世の俺を…。


「勿論肉体的にはあなたは女性よぉ?」


ローゼは急に母のような優しい顔をした。


「だがな…」


喋り方がいつもの語尾を伸ばす人を嘲笑うような喋りから切れのある張り詰めた声に変わっていた。


「あなたの精神は紛れもなく男の子だな」


「くっ…」


俺は顔を背けた。身体が押さえられているので顔だけしか動かせないのだ。


「あらぁ、やっぱりねぇ」


ローゼは再び喋り方を戻したようだ。


「な・らぁ♪」


ローゼは顔を両手で俺の頬に手を添えて………、


「ん……」


「!?」


キスしてきた。それも普通のではない、舌を入れて俺の舌に絡めてきた。


もがこうとするがホールドされている上、力が抜けてほとんど抵抗出来なかった。





「ぷはぁ」


暫くそうしているとローゼが舌を抜いて顔を上げた。抜かれて一瞬だけ口と口を透明の糸が結んだ。


更にローゼは俺を上半身を抱き上げ抱きしめながら呟くように言った。


「私は女として女性が好きで身体は女。あなたは男として女性が好きで身体は女。生まれ持ったモノは仕方ないわぁ…だ・か・らぁ」


そう言うとローゼは立ち上がり、俺ににっこりと笑いかけた。


「私はいつでも一緒になってあげるわよぉ?」


そう言うとリビングから出ていった。


その場には茫然としている俺だけが残された。









「わ、私は空気でございすね……」


訂正、ネメシスもいた。






~第3.5回人外魔境~



『俺は男俺は男俺は男俺は男…(ぶつぶつぶつ)』


『………………』


『………………』


『ど、どうしましょうローゼ様…スドー様が物置の隅の戸棚の中で膝を抱えたまま眼に光が無いままうわ言を呟きっぱなしなんでございますが…』


『あらぁ、簡単な話よ男の精神ではイク感覚に耐えきれなかったのよぉ。大丈夫ぅ、直ぐなれるわぁ』


『え…?スドー様ってソッチの人だったんでございますか?』


『そうよぉ、コッチの人よぉ。うふふ…天然物なんて素敵ねぇ』


『どうしましょうか?スドー様がこんな状態では人外魔境が始まりませんでございますよ』


『なら今回は良いんじゃないかしらぁ?1つぐらいしか無かったものねぇ』


『それもそうでございますね』


『(ガチャ)あれ?皆さんこんなところでどうしたんですか?』


『あ、マスターでございますね』


『あらぁ?リリウムちゃんどうしたのかしらぁ?』


『あ!師匠に聞きたいことがあるんですよ!って師匠!?どうしたんですか!?』


『俺は…俺は……リ、リリウムちゃん……』


『し、師匠!?大丈夫ですか!?師匠!!』


『うぅぅ…俺にはリリウムちゃんしかいない……リリウムちゃん!結婚してくれ!もうやだ死にたい!あ…光が…妹が見える!』


『師匠!?気を確かに!師匠ー!』


『………ちょっとやり過ぎたかしらねぇ』


『………大丈夫でございますよ…多分』



『………………………………2人とも…』



『(ビクッ!?)』


『…ど、どういうこと……この私が…怯えて』



『師匠をイジめちゃ………ダメじゃないですか?』









~リリウムちゃん怒りのすーぱーもーどにつき放送停止~










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