ネメシスちゃん
感想どうも投稿です。投稿ったら投稿です。
「美味しいでございますね」
「そうでしょ!師匠はとっても料理が得意なんです!」
「チィチィの翼もふもふなので~す」
「カー」
リリアナちゃんの肩にクリスタリア・レッサークロウが乗っている。
首輪についたネームプレートには"がらす"と書いてかる。
なんでもリリアナちゃんに蟲の森に落ちていた珍しいお土産としてクリスタリア・レッサークロウを渡したら突然、目を開いて、感想欄の声が聞こえたのです!と、言いながらそんな名前を付けていた。
………一体何の電波を拾ったのだろうか?天の声とは一体?
「まさか変身できる魔物だとはな」
「ヴィッセルさんお代わりどうですか?」
「ああ、貰おうか」
え?何してるかって?夕食だよ。
今日はカレーだ。
帰りがけに寄った市場でカレールーが売っているとはさすがに驚いた。
どうやらこの世界は食文化も相当発達しているようだ。魔法って素晴らしい!
え?違う?昼の黄昏決闘はどうしたのかって?
ハーピーの変異種って事で何とか誤魔化したよ。
変異種ならステータスが高くてもなんとかなるからな。
後は魔水晶の力をちょっと無駄遣いし、チィちゃんの人から見えるステータスの値を0を1つ減らしてスキルを消したり書き換えたりしたら偽造工作の完成だ。
ふふふ、魔王に不可能は無いのだ!
「師匠ー!お代わり下さい!」
あいよー。
「さて師匠、そろそろ本題に入りましょう…」
リビングにはリリウムちゃんとチィちゃんと俺の3人(?)だけが席についていた。
「そうでございますね」
やはりアレか…アレについてなのか…。
「そうか……」
「師匠そろそろ………………………」
リリウムちゃんは長い間を開けてからゆっくりと優しく語りかけた。
「お風呂に入りましょう?」
「ごめん被る」
イヤだ。
この体で風呂になど入ってたまるか!
そもそも魔王は体が汚れる前にその汚れが勝手に消滅するから風呂など入らんでも全く問題ないのだ!
「師匠!往生際が悪いです!観念してください!」
イヤだ!なにがなんでもそれだけは譲れん!
「そうでございます!マスターの成長途中のお体も素晴らしいでございますが、あなた様のその完成したお体も堪能…げふん…拝見したいのでございますよ!」
てめぇはまず、煩悩を隠してその鼻血を拭きやがれ。
大体、風呂場で自分の裸体なんか見たら自分が女だと痛感するだろうが!
「え……あ………師匠…そうでしたねすいません」
そう言うとリリウムちゃんはとてとてと歩いて部屋から出ていき、暫くすると何か布を持ってきた。
「師匠、これをどうぞ」
「ん?」
持ち上げてみると………………大人物の黒のビキニ水着だった。
「これなら大丈夫ですね!」
「そうでございますね」
「なにが?」
「体が汚れないなら毎回水着に着替えて入ればいいんですよ!」
「え?いや、それ以前に入る必要ないし…」
「レッツゴー!」
「でございます」
ちょっ……リリウムちゃん引っ張らないでそこはダメだメイド服脱げる!脱げるって!だから………あ………アーーー。
「汚された…」
主に心が………。
俺はメイド服でリビングのソファーに崩れ落ちていた。
俺の膝の上にはリリウムちゃんが座っており横にはチィちゃんが座っている。
「師匠の水着可愛かったですねー」
「そうでございますねー、少し胸を揉んだぐらいであんなにいい声で鳴かれるとは思いませんでございました」
コイツ………あのまま森に捨て置くべきだった。
「ふふふ、チィちゃんは悪戯が大好きですねー」
リリウムちゃん…君は気づいていないけどチィのアレは悪戯なんかじゃない……あの目は…あの手つきは…明らかに性欲を満たしているだけだ!
「しかしこんな水着どこにあったんだ?ピッタリだし」
まさかリリウムちゃ…無いな、全然足りないもん。
先行投資なら…かなり無謀だな。
「師匠…チィちゃん……ものすごく失礼なこと考えませんでしたか…?」
ニコッ…。
「ナ、ナンノコトデショウカ?」
「い、いえ滅相もございません!」
ブルータス… お前もか……。
「お母様のモノです」
「母親の?」
「はい、私のお母様です」
リリウムちゃんはどこか悲しそうに遠い目をしながら言った。
「…死んだのか」
「はい…10ほど年前に」
「そうか……」
俺の母親は先に俺が死んでどう思ってるだろうか?
妹は元気だろうか?
二人共どうしてるだろうか?
俺はそれ以上は聞かずリリウムちゃんが寝息を立て始めるまで頭を撫でていた。
「さてと……」
リリウムちゃんをベッドに運ぶとリビングに戻りソファーに座っていた"ネメシス"の隣に座った。
「聞きたいことがあるのでございましょう?」
「当たり前だ」
俺はネメシスを見た。
頭にちょこんと乗った帽子、ミニスカにスーツを足したような服。
金の翼を持つ黄色いバスガイドにしか見えない服装だ。
「お前はなんの為にあの森にいた?」
「勿論、SSSランクの魔王のあなたを殺し、私がSSSランクに上がるためでございましょう?」
ネメシスは悪びれる様子もなくニッコリと笑いながら言った。
「だろうな」
他に理由がない。
ネメシスは元からSSSの俺と違い、ただの魔物から魔王になった魔王だからだろう。
魔王には二種類いる。
最初からSSSの魔王と魔物から叩き上げの魔王だ。
圧倒的に最初からSSSの魔王の方が多いが最初から持つ大元の能力値は変わることがない。
逆に魔物から魔王になった魔王は強いがごく少数だ。
なぜらな魔物が魔王になるためには同じSランクの魔物を数千数万という途方もない数を補食しなければならないからだ。
SランクからSSランクへ直ぐに上がれる裏技もあるが俺には関係ないことだ。
その代わりSSランクで平均的な最初からSSSの魔王と同じぐらいの能力値を持ち、SSSランクの魔王を補食し、SSSランクに成れれば逸脱した能力を持てる。
まあ、最初からやたらに高い俺のような例外もいるがな。
「それで?俺を殺すか?」
「いいえ、最初はそのつもりでしたが森に入ってから今の私ではではまず勝てないと痛感したしだいでございます」
まあ、森に魔力ちゅーちゅー吸われてのびてたからな。
今の私では……ね。
「それにマスターが悲しんでしまわれます」
「なんでお前はリリウムちゃんに尽くすんだ?命を救われたと言っても魔王にそこまでの義理は無いだろ」
俺は例外だが魔王は基本的にとてつもなく自己チューだ。
自分がイラッとしたから国を滅ぼすなんて日常茶飯事らしい。
「それは勿論…」
「もちろん?」
「マスターが私好みの美少女だからでございますわ~」
ネメシスのは体を抱き締めてくねくねし始めた。
心なしかネメシスの回りにハートが飛んでいるように見える………いや魔法で飛ばしている。
………やはり自己チューの極みか。
「ぐへへへ………まずは日頃のスキンシップからでございます……じゅるり」
コイツ…外堀から埋める気か。
「はぁ………もうわかった……」
「ではでは私はこれで、マスターとソフトな添い寝でございます♪」
そう言うとチィはスキップしながら部屋から出ていった。
「………………………………………強く生きろリリウムちゃん………」
俺は窓越しに夜空に浮かぶ月を見ながら呟いた。




