表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖怪のいぶき  作者: 槐妖
14/16

第十二夜 「雪うさぎ」

兎は寂しいと死んでしまうと言われている。


なら私も兎と一緒寂しさのあまり死んでしまう。




小さな頃から疎まれ蔑まれ…それでも生きて来た。

同種の人間に虐めにあいながらも…



けれど、冬の修学旅行で一変してしまう。






私は旅先の岩手で独り森へと続く古びた橋を渡っていた。

いつの間にか雪が降り始め辺りを白く染めあげる。




耳鳴りがする程静寂につつまれた頃、森の奥の木々が軋みはじめた。

構わず先に進むと耳鳴りが酷くなり意識が遠退く…軽い目眩に襲われた時。

眼前に立派な門構えの屋敷が現れた。




観光地なのだから不思議に思う事なく中へ入った私が目にしたのは庭に咲き乱れる色とりどりの華…

冬なのに。




理解出来ないまま、屋敷内に足を踏み入れると囲炉裏には沸いたばかりのお湯。

キッチンと思われる場所には豪華な食器類。



此処はいったい…




けれど、凄く落ち着く。心から楽になれた。




どれぐらいそこに居たのか解らなくなった頃。

元の橋に佇む私が居た。




雪も大分積もったようだ…

ふと、辺りの雪を集め雪兎を造ってみた。

目となる南天の実があれば完成なのにと思っていると彼女が現れた。




私を虐めているリーダーの彼女…含み笑いをする彼女。嫌いな彼女。

目が合った瞬間、右手に何か冷たくて重い物の感触。

それを私はなぜか強く握りしめた。




グシャ




冷たくなった彼女。




ふふふっ雪兎には綺麗な目ができた。




私はあの屋敷に何か忘れてきたようだ。

だって今の私は…笑っている。






今回の妖怪:マヨイガ、迷い人が辿り着く山奥深くにある屋敷の妖怪。

しかし、迷い込んだ人に幸福を与えるともされる。

今回の彼女に起きた出来事は幸福な事なのか否か…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ