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逆鱗に触れるな!「リバイアサン、制御不能・・・」


海丸くんと、キューピーにとっては、あいも変わらず、先生の声は、優しい西風、ゼピュロスの囁きである.

この前の古文の授業、心を入れ変え、勉学の決意を新たにしたのでは?


それに海丸くん、あなたのことを、先生は一生懸命、中国の故事から話しているのですが・・・・・・


夫龍之爲蟲也、柔可狎而騎也

然其喉下有逆鱗徑尺

若人有嬰之者、則必殺人

人主亦有逆鱗

説者能無嬰人主之逆鱗、則幾矣


先生の訳を聞きのがしたので、家に帰ってから、AIに現代語訳してもらった.


龍という生き物、虫の一種として考えれば、性質はおとなしく、

人になついて近づくこともでき、乗ることさえできる.


しかし、その喉の下には

一尺ほどもある「逆鱗」が生えている.


もし人がそれに触れてしまえば、

龍は必ずその人を殺す.


君主にもまた、この「逆鱗」がある.


進言する者が、

君主の逆鱗に触れずに済むことができたなら、

それはほとんど成功したも同然である.


いつもの夕食前の別館のひと時?

しかし今日は何やら様子がおかしい.アテナに、ヘルメス、四天王、がみな廊下を行ったり来たりしている.ルシフェルのおじさんも珍しく出かけていないらしい.


おや、アポロンやらアルテミスも何やら弓やら矢を持ってどこかに行く支度である.珍しいことである.


あれ、デメテルのお母さんに、ヘスティアおばさんまで・・・・


「あんたたち、何そんなにのんびりしてんだい、急いで出かける支度だよ!」


あれ、ヘラ様まで鎧と兜を着ている・・・・


「海ぼう、あんたの父ちゃんの船、海賊船に襲われたってよ」

アテナがこの騒動の訳を教えてくれた.今にも飛び立ちそうな時である.


「え、あの、僕はどうすれば・・・・」近くにたまたまいたヘルメスに聞いたが、彼もそわそわしているだけで、どうすればいいかわからないみたいである.


「ううう、俺にもわかんねえ、とりあえず、海ぼう、変身しとくかね、飛んでるうちに何かわかるかもしれねえ!」

訳もわからないままに、ヘルメスは封印解除の呪文を3度唱える.

「リバイアサン、リバイアサン、リバイアサン!」


龍の姿に変わった、海丸くんは、皆と一緒に、日本海の方に向かった.理性的なリバイアサンの目の光は澄んだ青色である.


ポセイドンの漁船は、国籍不明の船にシージャックされたらしい.

その船には機関銃やら大砲が備え付けられているらしい.乗組員は皆武装している.


船の上で、上半身裸の大男が、三叉の鉾を振るって、敵と応戦中である.

海賊船からは、マシンガンの弾が打ち込まれる.父上は、野球のバットの如くに鉾を振り回して、銃弾をすべて、打ち返している.


「おや、ルシフェルのおじさんもきてたんか・・・」あれ、でもおじさん、遠くから見てるだけだな・・・


アテナと四天王、おや、海賊船の船長、もう捕まりそうな感じ?半分石にされて、もう縛られているか・・・・


しかし、空から銀色の龍が近づいてくるのを見た、海賊の一人が、パニックになり、龍に向かって機関銃を発砲した.


「バババババ・・・」人に対してはかなりの殺傷力だと思われるが、

銀の龍の皮膚を通すほどのものではない.蚊に 刺されたほどもない.


しかし、銃弾の一つが、喉元の逆さに生えた、鱗にかすった.


見ていた、神々、「え!」

「あ、触っちゃった?逆鱗・・・・」

「なんてことを・・・」


ポセイドンも、「え!」である.


それからは、海賊制圧どころではなくなった.


喉元の、逆さに生えた鱗のあたり、わずか1尺四方である.そこに、機関銃の弾が当たった、龍神の海丸くん、これまで、青く光っていた両眼が、左右交互に.赤と、青で点滅を始めた.


「海丸!」アテナと四天王が呼びかけるが返事がない.

「しまった、龍の逆鱗が!」それまで敵とは戦わないで、高みの見物を悠然としていた、ルシフェルも大きな声を上げた.


青と赤の点滅をしていた、両目の光は、怪しい赤一色になった.

龍神の海丸くんは、呼びかけても返事をしない.


そこからはリバイアサン、全く「制御不能」状態である.


空と海をのたうち回り、水の大砲をあたり構わず打ち始めた.

海の中と空を行ったり来たりで、冬の日本海をさらに荒立てる.

浮かんだ船は、波に翻弄される.

空と海面はこれでもかというほどの暴風である.

天の上にさらに高く舞い上がったと思ったら、再び急降下して、海面にいる、海賊と身内の神々、相手を選ばず、水の砲弾を撃ちかける.


「うひゃ、これは・・・大変だ!」

「ポセイドン、おめえ、なんとかしろ!」ルシフェルがいうが、

「しかし、あいつが逆鱗に触れられた時、俺がどやしつけたくらいではどうにもなんねえことくらい、兄者もわかってるよな」とポセイドン.


「12人皆集まらねえと・・・・」

「そうだな、臨時のオリンポス、神議り・・・」


「アテナ、今近くにいるのは誰だ!」ルシフェルが、アテナに尋ねる.


「親父とヘラ、私、アポロン、アルテミス、ヘルメスに、デメテル、ヘスティアのおばさん二人、ポセイドンの親父・・・・」

「じゃ、あと、アレスと、愛染の母ちゃん、ヘパの親方、すぐに呼んでこい!ヘルメス!」

「親父、合点だ!」

ヘルメスは、時空を飛び越え、残りの3人をすぐさま呼びに行く.


間も無く到着した、彼ら、


「うむ、これはひどい・・・」ヘパの親方は沈痛な面持ちである.しかし、どこか他人事のようにさらりという.

「ひゃー、また派手にやってるねー」とすごく楽しそうにいうのはもちろんアレスである.

「・・・・・」息子の親友で普段よく知っている海丸くんの変わり果てた姿に

アフロディーテは気を失いそうになった.顔色が少し蒼い.

それに、この愛と美の女神には、暴風雨は似合わない.穏やかな地中海を、優しい、西風・ゼピュロスに吹かれて、貝に乗ってキプロス島に流れ着くという、あくびが出そうな、風景がやはり彼女には似合っている.


天空に神議りの円卓が急遽設けられて、それぞれ所定の席に12神が集合した


真北の方角に、ゼウス

左手にヘラ、

右手にアテナ、

アポロン、

アフロディーテ、

アレス、

アルテミス、

デメテル、

ヘパイストス、

ヘルメス、

ポセイドン、

ヘスティアの

12神が勢揃いである.

皆が、正装をしている.つまり、大天使の格好をしている.

「議題は?」など間抜けなことを聞くものはいない.

下を見れば、何が問題かは一目瞭然である.


「皆のもの良いか!」最高神の一声で、

神々は皆黙って頷く.


12神それぞれが、身体中の「気」を喉元に集める.

声を合わせて、力の限り、叫んだ


「クオ・・ラー!!」


神々の気を受けたのは海賊ではない、逆鱗を触れられた、荒ぶる、リバイアサンである.


一瞬で、その動きが止まった.

赤一色に怪しく輝いていた、リバイアサンの両眼が、再び、赤と青の点滅を始め、やがて、青色になり、龍の輪郭は薄くなり、海丸の姿に戻った.


リバイアサンから元の姿に戻った海丸くんがゆっくり空から降りてきた.

気を失って、だらりとしている.

父である、ポセイドンが優しく、受け止めた.


逆鱗に触れるとはこういうことなのだ、と現れる敵ごとに伝えることは難しいから、

今回のような臨時の神議りが招集できるようにはなっていたのだが、

 「こんなこと、何万年もなかったことだがな・・・」

とボソリと最高神はつぶやいた.


今回は、海丸くんは何も悪くなかったので、父上に説教されることはなかった.もちろん、海丸くんの封印を解いた、ヘルメスにもなんらお咎めはない.





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