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「キリスト教の国教化」、のその後 

この頃、ルシフェルも、アテナも、アフロディーテ親子、アポロンにアルテミスの兄弟も、ヘルメスも、デメテル、ポセイドン、どうかするとヘスティアまで、現代のしかも、日本を拠点に活動するようになってしまった.

 冥界の王である、ハーデスや、ペルセポネまで、何かと口実をつけては、持ち場を離れて現代の日本にきて、そして不法に滞在しようとする.


「なんでみなさん、本拠地のギリシャにいるより、日本にいることの方が多くなってきたんですか?」ドクトルが、オリンポスの御本尊のゼウス=ルシフェルに聞いてみた.

「そにゃ、おめえ、こっちの方が、色々と気使わなくていいし、何より、暮らす人たちが俺たちのことじゃけんにしねえから、じゃねえのかなあ・・・」


と、言いますと?

「考えてもみな、ギリシャからずっと北、西、北東の方は黒海を超えて、ウクライナから、ロシア、南に降りてきて、アフリカの北から、エジプトを通ってパレスチナ、シリア、アラブトルコ、さらに東にイランを通ってアフガニスタン、パキスタン、俺たち、多神教の神々は皆、悪魔ってことになってるからね」

(しかしなんで北に向かうときは’北上’で南に向かうときは’南下’なんだ?)


確かに、ヨーロッパは全域がほぼキリスト教だし、南から東の方は、イスラム教だし.名だたる一神教宗教にギリシャがぐるりと囲まれているし、さらにギリシャそのものもキリスト教の一派である、正教会に支配されているし.


「その点、この国、つまり日本の奴らは、俺らのこと、悪魔、みたいな呼び方とか扱いをしないからな、それはほんとに俺らにしてみたらありがたいことだし、ここに住んでいるとなんか落ち着くっつううか、安心してられるっつううか、俺ら本来の力を自由に発揮できるっつうか・・・」


とにかく一神教が支配する、ヨーロッパや西アジアには住みにくいというのが理由らしい.


「あと、昔、天界との戦いで一緒に戦った仲間もたくさんいるしな.そういったこと考えると、北欧とか、インドでもいいような気もするんだが、北欧つうとなんかちょっと寒いしな、俺ら、もともと薄着だからな.インドは暑いし、湿っぽいし、食い物の掟がやたらうるせいからな.俺ら、牛の肉とか羊の肉大好きだから、そんな豪華な肉を生贄に捧げたら、そいつ、結構ポイント高いよ、つう感じで・・・」


中国は?

「マルクス主義は神はいないって立場だからな、そもそも神は一人も存在すらしてはいけない・・・そんな国には住めませんて・・・」


アメリカは?

「アメリカ・・・あそこは一体何が神なのだろうかね?金と力が神、って国だろ、あんま近寄らないことにしてるがよ、力と力、ぶつかったら、疲れちまうわな・・・・それに俺ら、揃いも揃って、金銭感覚って、ねえんだよなこれが・・・兄弟姉妹、息子や娘には、あまりそういう無駄な戦いをしてほしくねいってとこかね.アテナみたいな意欲的な若者にはいいかもしれないがな」


「3世紀の終わりから4世紀、帝政ローマが変なことになってきてからというもの、それにとどめの、テオドシウスって皇帝の、392年、キリスト教の国教化?

・・・・・・・・・・・・・

そのローマで何が起こったか知ってるか?神々の像は、皆ドブに捨てられたんだぜ、それも手足をもぎ取って、顔は、トンカチで叩いて潰して・・・芸術の意味が再評価されて、ドブだったところから拾い集めてきた像を復元なんてことはするが・・・考えてもみな、自分とその子供、孫の神々、綺麗な像に作ってもらって、朝夕、皆お供物してたわけだ、それがある時、こいつら悪霊だ、つて、皆ドブに捨てられて、・・・」

ルシフェルの愚痴は遠まるところを知らない.とうとうと、その持論を続ける.


「顔の写真にナイフで、切れ込み入れたら、それはもう喧嘩売ってんのと同じだはな、神に似せた像の手足をもぎ取って、顔を潰してしまうなんてのは、宣戦布告くらいの敵意の表れと捉えられてもしょうがあるめえ、

こんな扱い、するような奴らに、ご利益もたらすほど、俺らも懐が深くはないってことなんだろうな.」


まあ日本では逆みたいなことが明治に起こったみたいだがな.廃仏毀釈で、神様を大事にして、仏像を壊してて寺を破壊するって運動が国家神道の勢力によって行われた.日本の場合は、土着の神様大切にして、インド中国経由で入ってきた舶来の神様をいっとき、いらね、っていたようなもんだからな.


一番問題は、キリスト教の勢い、あまりに強すぎて、民衆、誰も俺たちのこと信じなくなったってことで、さらに一神教側のネガティブキャンペインで、俺たち、地獄の堕天使ってことにされて、さらに信じる奴らを減らして、デルフォイでアポロンがやってた、神託事業も破綻するし、つまり、誰も神々のお告げ、なんか聞きゃしない.お供物のステーキがなくあるから途端に食うのに困って・・・

まあ、ここまでくると、戦、仕掛けて勢力挽回ってわけには行かなくなるはな」


「しのぎがなくなって、行ってみりゃ、落ち目のヤクザと同じさね・・・」


「いえいえ、ヤクザとは違うでしょう・・・」とってつけたような慰めも、ルシフェルには意味がない.


「結局、日本が一番落ち着く.おめえらと話してると楽しいしな.だから俺らの一家、皆、日本の、そしてこの別館に入り浸っているのはそういうわけさ.」


ルシフェルはしみじみいう.

「なあ、ドクトル、いつも、俺たちの愚痴聞いてくれて、ありがとな・・・・」


ドクトルは、なぜだか、涙が流れてきた.理由は色々あるのだろう.今ここではその涙の理由の分析はしないことにした.










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