聞いたことない、珍しい病気② Prader-Willi症候群
この前の勉強会で、身長が高くなる病気、低くなる病気を議論した.
まとめると、
エストロゲンの合成に関与、アロマターゼ欠損症は、エストロゲンの減少で骨端軟骨の閉鎖が遅れて、身長が高くなる.
Turner症候群は、女性ホルモンの低下から第二次性徴が見られないが、それと身長が低めなのは別の機序による事.
視床下部の下垂体刺激ホルモンの発生異常から性腺刺激ホルモン/Gn-RH(下垂体から出る、LH-RHとか、FSH)の分泌低下により、エストロゲンは、減少することで成人した時の身長が高めになる、Kallmann症候群、この病気は嗅細胞や、嗅神経の形成以上から、嗅覚障害もきたしうる、さらに、多くの遺伝子異常により起こる.
それじゃ視床下部の異常と思われる病気である、Prader-Willi症候群の患者の身長は低めである病体生理学的な理由は何か、という問題が宿題として残された.
それが前回の勉強会の内容である.
ドクトルは、学生の時、臨床実習のときに、floppy- Infantの患者を割り当てられた.鑑別診断で、Prader -Willi症候群という病気が、教科書に書かれていた.この病気について知っているのは、ここまでである.
改めて、最近買った内科の教科書をいくつか調べてみた.
(朝倉書店の内科学、第11版)
新生児期の筋力低下、(やっぱり、floppy infantの原因になりうるのか!)
性腺発育障害(おお、これは前の勉強会でも少し触れた)
知能障害
低身長(!) 記載があるからその病態生理は?続きを読むが何も書いていない.
乳幼児期に肥満、食欲異常、耐糖能異常などを合併する.
インプリンティングの異常により起こる病気であるということについても数行書かれているが、よくわからない.
AIに聞いてみた.
「genomic imprinting = 親由来に応じたエピジェネティック・タグにより、片親由来のコピーだけが発現するように制御された遺伝子発現システムで、配偶子形成でリセットされ、その個体の性に応じて再設定され、発生中に維持される.異常が起きるとPrader-Willi症候群やアンジェル症候群などのインプリンティング疾患を引き起こす.」
(アンジェルマン症候群なんて、初めて出てきたな、まあいいか、後で勉強しよう・・・)
AIの説明は続く.
「ヒトの遺伝子は約20,000個ありますが、刷り込み遺伝子は約100〜200遺伝子程度 とされています(約1%).
しかも、それらは染色体の特定の“クラスター”(15q11-q13、11p15など)に偏って存在する.
互いにICR(imprinting control region)によって「まとめて」制御される
つまり、インプリンティングは “全ゲノムの普遍的な現象ではなく、ごく狭い範囲でだけ使われる特殊な制御方式”です.」とのことだった.
「そのため、刷り込み異常で起こる疾患も自然と限られています.
代表的な疾患として、
15q11-q13:PWS / AS
11p15:ベックウィズ・ヴィーデマン症候群 / シルバー・ラッセル症候群
6q24:一過性新生児糖尿病
7番染色体:SRSの一部
など、バリエーションはありますが数は多くありません.」
(ハリソンの教科書、最近買ったのをちゃんと読んでおこう)
ドクトルは、最近買った新しいハリソンの教科書で、索引から、該当ページを片っ端から読んでいった.
(なになに、PWSの子供は、脂肪が増えるが、筋肉とか、少なくて、成長ホルモンの少ない子供と同じような体格になる、そして成長ホルモンの補充を行うと、脂肪が減って、lean massとか、筋肉の量が増える・・・・)
(lean mass というのは結局のところなんのことだ?ちょっと、AI聞くか・・・)
なになに・・脂肪以外の体の成分全て、要するに、筋肉、臓器、骨、水分の全部?
(は?なんのこっちゃ・・・)
(p.3791は、結局、プラーダー・ウィリー症候群と、アンジェルマン症候群が、遺伝子の刷り込みの異常で起こる病気であるということか・・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
約束の勉強会の日.知識の整理しきれないまま、別館の書斎にやってきたドクトルが、ちょっと驚いた.
なんとそこには、
ルシフェル、アポロンの、魔界診療所の先生たちに加えて、
ヘラ様,
アルテミス,
アテナ、
ヘルメス,
ヘスティア、
アフロディーテ,
と、なんとオリンポスの最高会議のメンバーのなんと過半数の、神々が御列席である.オリンポスの会議は全員参加が、原則だから、最高会議ほどではないのだが、これは錚々たるメンバーが顔を揃えていると言っていい.
その他には、若い神様、海丸君、キューピー、
人間の代表として、はるなに、静香、それに愛ちゃん・健ちゃんのママまでいる.
皆が、丸いテーブルを囲んで、ドクトルの話を今か今かと待ち構えている状態である.
「なんの騒ぎですか?これは、噂に聞く、神議り(かむはかり)の儀式でも始まるのですか?」
最高神の、 ゼウスが口を開いた.
「して、その方の学問で何がわかったか」
神のお告げ?でもないか、勉強したのはこっちの方だから、こっちが神様に教える立場なのか?よくわからない.信託を授ける立場の人たちを前にして知識をひけらかすのは、なんかバチが当たったりしないかとちょっと心配だった.
それにしても、ルシフェルでない時の彼は、いつものおちゃらけた感じが少なくなり、なんとなく厳かだ.しかし見た目は全然違わないし、きている服もいつもと同じか・・・
「はい、神々に申し上げます・・・」
結局 Prader-Willi症候群の患者の身長が低めなのは、lean body mass ,つまり、脂肪以外の体の成分が成長しなくて、脂肪が成長することによって起こるもので、成長ホルモン・GHが不足して起こる、下垂体性の成長障害と似たような病態だそうです.
「そうか・・・」ゼウスに成り済ましたルシフェルがいう.厳かな感じはそのままで.
「それにしても神様たち、皆さん、私の話、今言ったことが今日話したい全てなんですけど、それ聞くためにわざわざ、集まったのですか?他にすることたくさんあるでしょうに・・・」
(ちゃんちゃん)




