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アルゴーの冒険①「金羊毛皮の伝説」


昔、テッサリアの国に、アタマスとネペレと呼ばれる、王と王妃がいた.二人は仲睦まじく、二人の子供がいた.男の子はブリクソス、女の子はヘレと名付けれらた.


しかし、王は王妃に対して冷淡になり、離縁してしまった.そして王は新しい妻を娶った.二人の子供の母は、継母の新しい王妃の嫌がらせを恐れて、子供たちを、遠くに逃すべく、ヘルメスにすがった.


アタマスの新しい妻というのは、カドモスとハルモニの娘で、かつて母のセメレが亡くなった後のディオニソスをヘラの追求から守ったということがある.アタマスは、イーノーの行為を黙認したということで、のちにヘラの怒りを買ったらしい.その子供たちとイーノーの悲劇となるが、それについてはここでは触れない.


最初の奥さん、ブルクソスたちの母親の、ネペレは風の女神で、ヘラ様の親派と言っていい.アタマスの寵愛を失って、里下りをした、ということになっているが、陰で子供達を見守っていた.


一方後妻に入った、イーノーは、妹のセメレが、ディオニソスを産んだ後、なくなり、母のないディオニソスを育てたという経緯がある.それにより、ヘラ様の恨みを買うことになったらしい.


イーノーにしてみれば、敵対勢力といっていい、ネペレの子供達が可愛いはずがない.火で炙った麦の種籾を、植えて飢饉になった原因をブリクソスのせいにした.ブリクソスをゼウスに犠牲にして捧げなければ、来年も飢饉になってしまうという信託により、アタマスは泣く泣く、ブリクソスを、犠牲にすることを決断した.


犠牲を捧げられる方の、ゼウス自身がこれには驚いた.


「なんぼなんでもそりゃ酷すぎるはな・・・」ということで、息子で秘書室長で、諜報本部長と言っていい、ヘルメスを呼び寄せた.


事情を聞いた、ヘルメスも「そりゃ、ひでえ、話ですね.親父、それじゃ、あっしあ、一走り行って、そのブリクソスって子を助けてくりゃいいすね」

「頼む.お前はいつもこういう時に役に立つな、感謝してるよ」と最高神が言ったかどうかはわからないが、人情に熱いこの親子なら、きっとこういう会話がされたのではないかと思う.

「頼りにしてるぞ、お前は自慢の息子だ」

「親父、よしてくれよ、いまさら・・・」

この会話は、想像ついでである.


 犠牲の儀式の場所、雲の神である、ネペレが霞で覆った.その隙にブリクソスを救い出したヘルメスは、ネペレと、その娘のヘレのまつ、海の見える高台に急いだ.黄金に輝く牡羊を連れている.


「ネペレ、さあ、この羊に子供達を乗せて」

「ありがとう、ヘルメス、さあ、羊の背中にお乗り」


ヘルメスとネペレは、金色の羊の背に乗せた、子供たちを送り出した.


「子供たちをおねがい!災いの及ばないところまで、どうか、連れて行っておくれ・・・」

母の願いである.金色の毛皮の牡羊は空高く舞い上がり、東の国に向かって飛んでいった.


 途中、マルマラ海に差し掛かるところで、牡羊は、女の子、ヘレをおっことしてしまった.あまりの高さで、目眩がしたらしい.ふらっとしてそのまま、牡羊の背中から手を離してしまったらしい.


 ブリクソスは、どのような反応を示したか、わからない.物語の多くにはその記載がないから.多分嘆き悲しんだのだろう.女の子が落ちたあたりの海峡は、ヘレスポントスと名付けられた.現在のダーダネルス海峡のあたりである.


「ヘレー!」ブリクソスは叫んで手をのばしたが、へレーは海に落ちていく.


空を飛ぶ黄金の毛皮の牡羊を用意できるほどの、オリンポスの神々である、落ちる女の子をそのままにしておくはずがない(というのは後世の神話読者の願い、である.自分達の受け入れやすいように、話を進め、タイのである.アメリカ人が、アニメのハッピーエンドを望むように.)


海から見ていたのはポセイドンである.


「おや、人の子供が空から落ちてくるぞ・・・」


空の上には金色に輝く、羊が東の空に向かって飛んでいく.その背中の上では男の子が何やら叫んでいる.


「まあ、放っておくわけにもいくまい・・」ポセイドンは、リバイアサンを呼んだ.


「リバイアサン!」素早く、空をかける銀の龍は、海に落下する直前の女の子を背中に乗せて、ポセイドンの前に連れてきた.


「なあ、お嬢ちゃん、訳を聞かせてはくれまいか・・・」


空から落ちてきた、少女の語る物語.この話は、オリンポスで、ヘルメスや、ヘラから聞いたことがある話だ.イオニア人とアイオリス人の、生活様式や、宗教観に関する問題が複雑に絡んでいる.


「テッサリアのゴタゴタが原因か.問題の根が深そうだ・・・」


ポセイドンは思案した.海から助け出した妹のヘレを宮殿で、引き取ることにした.


海の宮殿でヘレは大切に育てられた.

ネレウス、トリトン、プロテウスには、世界のことを色々と教わった.ポセイドンの家族の人たちは皆、親切だった.王妃のアンピトリテも優しくしてくれた.


オリオンや、リバイアサンは、ヘレの遊び友達である.海の底の探検はオリオンに連れて行ってもらったし、リバイアサンには、空中の散歩・・・と言いたいが、

ヘレは、兄とコルキスに向かい、空を逃げる時に、転落したことが心的外傷体験と成って、リバイアサンと空の散歩はずっと断ってきたらしい.

 

 また、この話題については話をする機会はあるだろうから、今はヘレの話はやめる.


 無事にコルキスについたブリスクスは、その国の王のアイエステには暖かく迎えられた.ブリクソスは、お礼に金の毛皮の牡羊を、ゼウスの犠牲に捧げ、その毛皮をアイエステに送った.


 少年の感謝の気持ちを受け取った、アイエステは、その金の毛皮を聖なる木に掛け、眠らない、龍に番をさせて国の宝とした.


 時は流れ、再び、テッサリア、アタマスの国の近隣、イーオルコスは、アイソンという王が治める国であった.年老いた王である.いい加減、国の統治をするという仕事に疲れた.王は後継のイアソンがまだ若いうちに、位を弟のペリアスに譲った.イアソンが王たるに相応しい男になるまでの繋ぎのつもり譲位である.


 イアソンが立派な青年に育って、そろそろ王位をイアソンに、という時になって、ペリアス王は譲位を渋って、こういった.


「イアソンよ、そなたの父上のこの国、そろそろそなたに返そうと思う.その前に、一つ、名誉な仕事をそなたに任せたいが、良いか.その昔、隣国のアタマスの国から、黄金の毛皮を持った牡羊に乗った、子供が二人、東の果て、コルキスに飛びたった.その毛皮は、コルキスの宝となっているという.元はと言えば、その黄金の毛皮、我ら、テッサリアのもの.そのほうが、コルキスに行き、もわい受けてきてはくれまいか」


これは、ペリアスの巧妙な策略である.テッサリアの宝を貰い受けにと、都合の良い使いのように見せかけて、イアソンを遠く東の果ての国に追いやろうとした、その魂胆は見え見えなのだが、当の、イアソンは、喜び、勇んだ.

「一族の宝、名誉なことです.きっと私が、貰い受けて参りましょう!」と.

 

ただし、一人で行くのは、難しそうである.それと、長い航海に耐える頑丈な船、

イアソンは早速仲間を募り、船は有名な船大工のアルゴスに依頼した.このアルゴスは、ブリクソスの息子である.百目のアルゴスとは別である.ブリクソスが亡くなった後も、コルキスにとどまり、大事にされたのだが、望郷の念やみがたく、というか父祖の地に対する憧れから、テッサリアに戻り船大工となった.イアソンが頑丈な船を作れる優秀な船大工を探しているという話を聞いて、名乗りを上げた.


アルゴスの建造した、長距離航行船「アルゴー」の乗組員.


錚々たるメンバーである.

どれをとっても、ギリシャの名だたる英雄である.

名前を列記してみる.



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