魁!不良塾「神の子も時にはぐれたい・・・」
「海丸君、今日もお手伝いありがと!でも、たまにはサボったりしてもいいかもよ」
「え?」海丸君は意味がよく分からなかった.
書斎で数学の勉強をしていたら、ルシフェルのおじさんが「おう、海丸、今日も勉強か、たまには漫画読んだらどうだ」
父親のポセイドンまでが、「おめえ、ちょっとは息抜きしたらどうだ」という
彼には息抜き、というのがどういう意味かよく分からない.
ずっと、思い詰めたように、立派な神様になることだけをも目標に色々と努力をしてきたつもりである.
「サボる?」
「勉強しないで、漫画を読む?」
一晩中考えて、彼は一つの決心をした.
次の日の夕方、はるなが、長い廊下を走って、皆が集まっている、居間に入ってきた
「大変、大変、すごく大変」と言いながら声は嬉しそうである.
「なんだなんだ」と住人たちが集まってくる.
「なんと、海丸君が不良になるそうよ!そして、彼は、家出をしました!」
「おお!」皆が拍手をして喜ぶ.
「ほお、めでたいじゃないか、今日は、赤飯でも炊くかい」
おや、ヘスティアおばさんいらしてたんですか.後はめでたい時の日本は鯛の塩焼きだったね.ポセイドンが持ってきてくれたいいのがあったよ.
「みんな読んで読んで、海丸君の書き置き・・」
「ほお、どれどれ・・」
はるなにおじさん、それに別館の皆さんへ
みなさん、突然のことでご心配かけて申し訳ございません.
僕は、今までの自分からさようならをするために旅に出ます.
まずは、優等生の殻を脱ぎ去って、不良になってみようと思います.
きっと立派な不良になって戻ってきますので、どうぞ探さないで
不良になるためなら、命も惜しくないです.だから僕が、死んでも
泣かないでください.
海丸
「あの、うちの子も一緒にいなくなったみたいなんですけど」
ちょっと心配そうな、愛染の母ちゃん.キューピー君も書き置きを置いて、いなくなったらしい
母ちゃん、アンテロス、別館のみんな
みなさん、急なことで心配かけてすみません.
海丸君が、自分探しのために不良になると突然言い出したので、僕も一緒に行きます.彼と一緒なら、死ぬことはないかと思います.心配はないかと思いますが、
なんかあったら、すぐに助けに来てね
キューピー
愛染の母ちゃんが誰かに電話をしている.
「なんか久しぶりだね、頼んだよ、あの子に教えてやって欲しいのさ、そう、うん、・・・じゃ頼んだよ」
ルシフェルは、ヘルメスを呼んだ.何か耳打ちされた後、ヘルメスは、ハーデスの兜を被ってその場で消えてしまった.
ヘスティアおばさんは、アテナと、四天王に何か話している.彼らも、散り散りになってどこかにいなくなってしまった.
家を出てきたのが、午後6時頃なので、もうかなり暗くなってきた.
家にあった、学ランを着て、サングラスをかけてきたから、まずはスタイルからは不良に見えると思う.まず不良になるために行かねばならぬ場所、
それは、「ゲーセン」だとどこかで読んだことがある.ゲーセン、とはゲームセンターのことである.古来、不良が屯する場所と決まっている.
そこで、不良そうな人を見つけて喧嘩をする、ということも書いてあった.
お、あそこ、どうだ、18歳未満、午後8時以降入店禁止!
「おーし、あの店だ」
怖そうなお兄さんに絡まれるかと思ったが、彼らを見て、いわゆる不良そうな人たちがなぜか皆避けて通って、こちらから追いかけると逃げていってしまう.
海丸と、キューピー強そうには見えないのになんでか?腕力以外に何か
恐ろしいものを、本場の不良はこの二人の神の子に感じたのかもしれない.
「ここは失敗か」
よし、次は公園でタバコを吸ってる高校生くらいの不良を探そう
公園に行ってみたが、今時夜の公園で遊んでいる高校生なんていない.
あ、一人いた.使用禁止の張り紙がしてあったはずのブランコに学生服にリーゼントの高校生らしい男の子が一人で座っていた.
「おう、おう、おめえ」
不良言葉で話しかける.
「なんだお前たちは・・」
「ぼく、ジャなくて俺たちは不良だ、君、じゃなくておめえと喧嘩するよ、じゃなくて、喧嘩するぜ!」海丸君はどうしても話し方が優しそうになりがちだから、苦労する.
「そうだそうだ、逃げるのなら今のうちだぞ・・」キューピーが海丸くんの真似をして精一杯不良らしく話をするが今一つ迫力に欠ける.
「逃げねえよ、それにしてもお前ら、弱そうだな・・・」
「何を!」
見た目は完璧に決めてきたつもりが、そうか僕たちは弱そうにしか見えないのか・・・・
「ところで、お前ら、不良になりたいのか?教えてやってもいいぜ、不良のなり方」
「え、本当ですか、不良の近道あるんですか」安易に二人は食いついた.
「おお、あるとも」
「あの、ぜひ教えてください」
「よーし、それじゃ俺についてこい」
二人の子供神様は、知らない人について行く、これは不良には必須のことだろう.悪い道に引き込まれる感じぷんぷんである.
まずな、不良がやってはいけないことを教える
「まず、不良たるもの、いつ敵に襲われてもすぐに反撃できるように、或いは走って逃げないとダメなとき、長距離を走らないとダメだろ、だから不良はタバコを吸ってはいけない.心肺機能が低下するからだ.不良は健康第一を心がけねえとダメだ」
ほお、なるほど、二人はなんとなく納得である.
「おー、タバコは不良の第一歩だと思ったが」
どおりでこの頃の高校生タバコを吸ってるやついないもんね、納得である.
昔は不良にタバコはセットだった.中学生の不良はタバコを吸っていた.
まずはトイレで吸うことから初めて上級の不良は、登校中に、歩きながら吸っていた.
価値観が変遷していると言うことなのだろう
「うんうん、タバコはダメなんですね、初めて知りました」
二つ目は、「酒は飲むべからず!」
「へーそれも意外ですね.不良は酒を飲んで、うい、と威張るのだとばかり思っていました」
酒を飲むと、精神が濁るから戦闘態勢を取れない、と言うのが先生の意見である.
それに足もふらつく.
「そこでだ、おい、お前、そっちのほっぺたのムチムチの方」
不良の先生は、海丸君を指名した
「おめえ、ネクタル買ってこい」
ギリシャの昔から、不良の飲み物はノンカロリー、ノンアルコールのネクタルと決まっている.不良になるためにはネクタルを買ってくることから始めなければならない、ということらしい.
海丸君もギリシャ出身だから、ネクタルを知らないわけではないが、自動販売機で売ってるのはみたことがない.やっぱり酒屋さん?あ、あそこのリカーショップ、あそこでお酒を売っている、聞いてみよう.海丸は兄貴のパシリとなって酒屋に行く.
「あの、ネクタルください」
「え、ネクタル、ネクターじゃなくて?ネクターならあるよ.」
不二家ネクターか・・・これでいいのかな?と思いながら
「じゃ、10本ください」店の人が、一箱、12本入りの方がお得だよ、というからそっちにした.
二人のまつ、公園に、ネクターの入った箱を抱えて戻った.
「おう、ご苦労だったな」
じゃ、早速ここで、酒盛りをする.
皆で缶を開けるプシュ、おお、いい音だ.大人への第一歩、不良の入り口に入る時の音だ.
「おい、お前、これ、ネクタルじゃねえぞ」
「え、でも店の人、これしかないって・・・」
缶をよく見ると、不二家ネクター ピーチとある
「なんだおめえ、これ、桃のネクターってジュースじゃないか、でもまあいいか、そこそこうまいな、どろっとしているところがいいかもな」
皆がそれぞれ、2本飲んで、残りは持って帰ることにした.
いっぺんに3本は飲めるジュースではないと思う.
よーし、次に不良になるための課題を発表する.夜に、子供だけで、マクドナルドに行く、それは不良の条件であり、特権だ!これからマックに行くぜ!
近くにあるマクドナルドに入る.結構この頃高いから、安いのにしろよ、チーズバーガーと、Sのポテトを、二つずつ、それを3人で分ける.不良は仲間の絆が大事で、食べ物は皆で分け合うものだ、と言う理論である.
「おい、おめえら、食事の時には、手を洗う!それから、サングラスは外す、これは不良の基本だぜ、ちゃんとやってくれよ」
「へい、兄貴」
いつの間にか不良のインストラクターは「兄貴」になっている
「後な不良たるもの、敵に背中を見せてはいけない.背中を見せる時、それは大事なものを守る時だけだ」
「へい」これはなんとなく本質的なことのように二人は感じた.
「次、これができたら、おめえはもう立派な不良だ、でもこれはちょっとむづかしいぜ・・」
最終課題は、漫喫だ.ここの個室で、何日か泊まることができたら、おめえは立派な、不良だ、ということで、ビルの中にある漫喫に行くことにした.
もう少しで、目的の漫喫の入ったビルというところで、怪しげな数人の男たちに絡まれた.誘拐が目的のならず者のようだ.
「おう、お前ら、あのでっかいうちの子供だよな!」
「お前らを人質にして、身代金をがっぽりいただくぜ!」
「おっと、その子達に、手出しはさせないぜ」
おめえは誰だ、「俺の名前は、郡司荒巣!」
キューピーが、小さい頃に別れた、父のことを思い出した、先生の背中は父ちゃんの背中に似ている.声もこんな声だった気がする
郡司荒巣?「ぐんしアレス?」軍神アレス!!
なんかわかりやすい謎解きですみません
「父ちゃん!」キューピーが叫んだ.
なんと軍神アレスが、海丸君と、キューピーに特別に、不良の道を教えに来てくれていたのだった!
暴漢がまとまって襲ってきた、
「危ない!」と海丸君とキューピーを逃した後、荒巣は道の脇に蹲って何かを庇うような格好を取った.そこに暴漢が襲いかかり、彼の背中を殴る、蹴る、の乱暴を加えた.
「ちょっと、あんたたち、何やっているのさ」
アテナと四天王である.なんとヘルメスもいる.
暴漢たちは散り散りに逃げ出した.
「なあ、あんた、大丈夫かい?」
荒巣は、道端の花を庇って、背中を向けたのだった.
「え、あんた、アレス?アレスじゃない、どうして」
「ふん、アフロディーテに、こいつら、ぐれて、不良志望だっていうから、不良のなり方教えてやってくれってんでな、昔の女の言うこと、ちょっと聞いてみたくなっただけさ」
「とおちゃーん」キューピーが抱きついた.
オリンポス一の不良少年の、アレスの指導で立派な不良になった二人は、別館に戻ったのでした.
アレスも一緒に別館に来た.彼がここに来るのは初めてである.
「おや、ヘスティアおばさんの家の匂いがする・・・・」
「おやおや、不良のおかえりかい」
なんとヘスティアおばさんが出てきた、
「ほれ、さっさと、服着替えてきな.みんな、今日の晩御飯は鯛の塩焼きと、赤飯だよ」
赤飯と鯛?なんかのお祝い?
「何言ってんだ、子供達が不良の仲間入りしたお祝いだよ、後、元不良は、これで完全に卒業だよ.」
子供達が家を出てから戻るまで、わずかに数時間だったとのです.
こうして、アレスも別館にちょくちょく出入りすることになった.




