認知症学会① 「秋、新潟へ」
11月の半ばすぎ、神経の病気を扱う医者にとっては結構重要な学会である、「認知症学会」が行われる.学会員ではないが、ドクトルは、可能なときにはなるべく出席するようにしている.しかし、2019年に東京の京王プラザであってから、翌年から数年間はコロナの騒動で、ライブとかオンデマンドで聞いていた.ここ数年はあまり現地に参加はしなかったし、どこであったかもよくわからないのだが.
今年は、なんと新潟で学会である.「朱鷺メッセ」が会場である.
次の冬は、皆で新潟にスキーに行き、海丸君のお母さんに挨拶する予定だったから、あえて別館の皆に知らせずに一人で学会に行くつもりだった.それに当直明けで、病院から直接駅に出て、新幹線に乗ってしまおうと考えていた.昨日の朝のうちに普段は着ない背広を着て出てきたし、数日分の着替えも持って出てきていたのだ.
新幹線のホームに行くと、なんと鬼丸のじいさんと、はるなと、アテナと、静香と海丸君と、なんと、デメテル母さんまでがいた.
「え、みなさんどうして・・・・」
「下見だ、下見.今度の冬に新潟にスキーに行く時に迷子にならないようにっていうか・・」
少しやましいことがある時のルシフェルのくせで、最後まで言わないで口ごもる.
「いや何ね、新潟の街の中、ちょっと懐かしいから、みんなで行こうかなって話になってね」と静香がいう.あなたは上越だから、別に新潟の街、懐かしくないでしょう.
「そうそう、あの、ほら、朱鷺メッセ、ジェットフォイル見えるっていうし、あの、すごく早いんでしょ・・・」(今回、佐渡汽船には乗りません!佐渡島にも行きません!)
はるなまでモゴモゴいう.やましい気持ちがあるらしい.これはルシフェルの喋り方の癖が確実に移っている.
「いえ、みなさん、私は遊びに行くのじゃないのですけど・・・ジェットフォイルは佐渡に行く船ですよ.今回は乗りませんから.」
「ドクトル、わかってる、わかってる、皆、ドクトルが一人で新潟行くのがちょっと心配になってね」それらしいことをデメテルの母さんはいうのだが.
「皆、早く新潟行きたい気持ちはわかるのですけど、泊まりがけですよ.宿とかどうするのですか?私、こう見えても新潟にあなた方を泊めてめてくれるような、友達とかいませんから.それに、学会結構人が集まりますからホテルなんか取れませんよ.」
「まあいいからいいから・・・泊まるとこくらいなんとかなるだろう」鬼丸のじいさんはあくまでも楽天的である.で、新潟についてから、泊まるところはなんとかなったから不思議なのだが.
「駅弁、えっきベン、ふんふんふん、るんるんるん・・・」楽しそうな、アテナ・スキップで、売店の方に行く.彼女はやはり、は駅弁が目的らしい.
「要するに皆、新潟が気に入ってしまったと、そういうわけ、でしょうかね」
ーその通り!
実は皆は、この前、静香が雪割草たちと仲直りをするときに初めて新潟に行き、その印象が鮮烈で、新潟行きの上越新幹線と、新潟の景色が大好きになってしまったようである.
「まあ、なんか新潟のこと、よく思ってくれるのは、私もなんか嬉しいですけど・・・」ドクトルは、学生時代とその後の数年を過ごした新潟は、いわば第二の故郷なので、悪い気がしないではない.
発車の前に、今回は高崎のだるま弁当以外にしましょうということで、東京駅の駅弁をいろいろ買って乗り込んだ.一番後ろの自由席車両である.
東京駅、結構いろんな弁当がある.改札の前にも弁当屋があるし、改札を入ってからホームを上がる前にもあるし、ホームに上がってからも中央あたりに駅弁屋がある.
皆が買ってきた弁当、
「ねえねえ、ドクトル、これ何?牛タン弁当、なんか紐引っ張ると、あったかくなるんだって、すごいね、買ったことある?」
「ありますけど、冷めても美味しいのが、駅弁だと私は思っているから、そういうのは邪道ではないかと思うのですが」、とドクトルが自分の意見を言うと、
「あ、そうか、じゃこれはやめておこう」アテナも素直に、従う.
「あ、これ、なんとじゃじゃ園の焼き肉弁当!」あ、でも焼肉は、冷たいのどうでしょうかね.「あ、そうか」またアテナは納得である.
「ねえねえ、これどうかな、ブキ陽軒のシューマイ弁当」
「お、いいかもしれませんね、私も結構買いますよ」流石にお目が高い.
「あと、とんかつも美味しそうだし、あ、この秋の彩り弁当みたいなのも・・・」
結局アテナは、弁当を三つ買った.行きの新幹線で全部食べてしまった.
「海丸君はどうする?」
「うー、僕、秋の彩り弁当、かな」
じゃ、私もそうしようかな、とはるなと、静香、デメテルのおばさんもそうした.ドクトルと、鬼丸のじいさんは、ブキ陽軒のシューマイ弁当にした.
皆それぞれ好みの弁当を買った.自動販売機でお茶を買った.人数分プラスアルファ.スイカがあると便利である.あ、そうかこの頃は携帯かざしても買えるのか.ドクトルはまだ携帯電話で買い物、という境地にまでは達していない.
皆かたまって座ることができた.東京から新潟まで、2時間ちょっとである.




