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英雄ヘラクレスの選択「俺は苦難の道をゆく!」


別館の書斎である.


健ちゃんと愛ちゃんは本を読んでいる.健ちゃんは、かなり文字の多い本を読んでいるようだ.「イエス・キリスト」らしい.愛ちゃんはまだ字が読めないから、絵本である.「ヤマトタケルノミコト」を読んでいるところである.床には、これから読むつもりなのか、「ヘラクレス」の物語が置いてある.


子供達が、歌を歌っている.ドクトルはおやっ?と思った


「遠い、遠い、昔の話・・・・」

「いく千、万里の海の向こう、そのまた向こうの西はて・・・・」

「ギリシャの国のことぞかし・・・」

「ゼウスの国のことぞかし・・・・」

「悪知恵たけたクロノスは、そのアマダスの鎌持って・・・」

「天地の絆を断ち切った・・・」

「天の流す、血の涙・・・」

「それを受けし、大地より・・・」


 この前、ドクトルが雪割の精霊たちから必死で聞き出した、ギガンスの歌である.

それを小学校唱歌のように、この子供たちは歌っている.雪たちに教えてもらったのだろうか?


「愛ちゃんと、健ちゃん、その歌どこで習ったの?」  ドクトルがおそるおそる聞いてみた.

「え、雪たちがいつも歌ってるよ、ねえ、愛ちゃん」

「うん、ゆきたち毎日歌ってる」


そうだったのか・・・


 お茶の湯呑みを持って、ルシフェルと、はるなが書斎に入ってきた.


「親父さん.そろそろ、ヘラクレスの物語、書いてみたいのでが・・・」

ルシフェルは遠い目をした.ヘラクレスは彼にとっては、最も頼りにした、息子である.人間との間に生まれた、歴史的なヒーローである.


「ヘラクレス、神の血を引き、神の摂理と運命に奴ほど抗い(あらがい)続け、しかも従順であったやつはいない・・・」父が語る、ヘラクレスの本質?

「そして、やつは、神々の不条理、人間の無力を自ら苦難の道を選ぶことで、克服しようとした、英雄の中の英雄、ということなんだろうな」


「神々の不条理?」ドクトルは聞く

「天と地が切り離されることによって起こった、大地の復讐?自然の猛威、ということなのだろうな.ヘラクレスは一人で、それと、真正面から正々堂々と戦った・・・」


ヘラクレス誕生の物語.


 ヘラクレスの母親のアルクメネは、勇者ペルセウスの孫である.ミュケーナイ王のペルセウスの息子の、エレクトリュオンの娘である.アムピュトリュオンに嫁ぐことが決まっていた.

 彼女にゼウスが横恋慕した.ゼウスは言いよるが、アルクメネは靡かない.あろうことが、最高神は、アムピュトリュオンが戦で不在の時、彼に変身して、アルクメネと一夜を共にした.夜の時間を三倍に延長して.考えただけでもげっそりしてしまいそうなのは自分だけだろうか.

 次の夜には、アムピュトリュオーンが帰ってきた.土産話の戦の話、彼女は一向に驚かない.「あなた、その話は昨日されたではありませんか」と.アムピュトリュオーンは、激怒したのか、「はあ、そうだっけ」と、うけながしたか定かではない.激怒したとしたら、アルクメネの産んだ、双子の子供の運命はさらに過酷なものになっていたのではないだろうか.

 アルクメネは最初の夜に、ゼウスの子供、ヘラクレスを身篭り、次の夜には、イクピレスを孕った.


 アルクメネが産気づいた時、ゼウスが、今日この土地で初めに生まれた、ペルセウスの子孫をもって、アルゴスの王とすると宣言した.ヘラは、妨害する.お産の女神のエイレイテュイアに命じて、アルクメネの出産を遅らせた上で、他のペルセウスの子孫である、7か月のエウリュステウスを先に世に出した.彼が、ミュケーナイの王に決まった.


 ある時、乳幼児の、ヘラクレスに、眠っているヘラの乳を吸わせるようにと、ゼウスが命じた.不死身の体を得るためである.あまりに強く吸うので、痛がった、ヘラが、赤ん坊を押しのけた.その時、飛び散った、乳汁から、天の川ができたという.

 

 また他の言い伝えでは、ヘラの嫌がらせを恐れたアルクメネが、ヘラクレスを野に捨てた.ゼウスの意を汲んだ、アテナが、子供のところに、ヘラを伴ってゆき、言った.

「この子は哀れな孤児みなしごです、女王様のお情けで、お乳を与えくださいまし.不死身の力を得れば、この子はこの後も逞しく生きていけるでしょうから」と.

孤児を不憫に思った、ヘラはその子に乳を与えた.

 この女神の不思議は、自分の産んだ子供や、ゼウスがよその女とこさえた子供に対しては、残酷極まりない仕打ちをする一方でそれ以外の赤子に対して彼女の発揮する「母性」は無限の優しさを持つ.この人も神話になるくらいだから、ちょっとやそっとのことでは理解できる女性ではないということなのだろう.


 ヘラクレスに聖母の眼差しで、お乳を与えた.ヘラがその場をさったのち、アテナが、アルクメネを呼び寄せて、この子はヘラ様のお乳を飲むことで、不死身になった故、大事に育てればひとかどのものになろうと言い、母にヘラクレスを返したという.


 事情を知った、ヘラにより、その後もヘラクレスに対する嫌がらせは続く.

二匹の蛇を二人の双子の赤ん坊が寝ている部屋に忍び込ませた.

起き出したヘラクレス、蛇をぐいと掴んで殺してしまった.まだ赤ん坊である.


ヘラクレスの先生はそうそうたる顔ぶれである.ゼウスの意向で戦闘エリートに育て上げるためだ.


母の夫つまり、義父であるアムピトリュオーンから戦車の扱いを、

アウトリュコスはヘルメスの息子で、泥棒の神様である.彼からレスリングを、

エウリュトスもヘルメスの息子である.彼から弓術、

カストール(双子座の不死でない方で、のちに死んでしまった)から武器の扱いを、

双子のもう一人、ポリュデウケースはボクシングを習ったということは記載がないが、おそらく習ったのだろう.

リノスから竪琴の扱いを学んだ。しかしリノスに殴られた際ヘーラクレースは激怒し、リノスを竪琴で殴り殺してしまう.


ケンタウロス族の賢者、ケイロンには乗馬や、弓矢など武術全般を教わり、剛勇無双となった.


 ヘラクレスは義父アムピトリュオーンの国、テーバイを助けてオルコメノスの軍と戦い、これを倒した.クレオーン王は娘メガラーを妻としてヘラクレスに与え、二人の間には3人の子供が生まれた.

 しかし、ヘラがヘラクレスに狂気を吹き込み、彼は我が子と弟のイピクレスの子を炎に投げ込んで殺してしまった.ヘラクレスの心に狂気を吹き込んだのは、これもまた、ヘラの嫌がらせの一環である.

 

 正気に戻ったヘラクレスは、罪を償うためにデルポイに赴き、アポローンの神託を伺った.

 神託は「ミュケーナイ王エウリュステウスに仕え、10の勤めを果たせ」という.


 ヘーラクレースはこれに従い、本来なら自分がなっているはずのミュケーナイ王に仕えることになった.


 皆はいう.

「何も、ミュケーナイの王に仕えずともよいのでは・・・あの国の王には本来貴方様がなるべきであったのですから.」と

 

 しかし、ヘラクレスは胸を張っていう.


「俺は、あえて苦難の道をゆく!」と.

これが、のちの人々に語り継がれる、「ヘラクレスの選択」である.


 10の勤めを成すように言われたが、そのうち二つについては、エウリュステウスが色々と難癖をつけて興行の中にカウントしないと言うことになった.

だから、ヘラクレスの実際に行った功業は12と言われる.


1.ネメアーの獅子退治.

2.レルネーの沼に住み、9つの頭を持った水蛇ヒュドラーの退治.この仕事は双子の弟イピクレスの息子で見習いであり助手のイオラーオスに助けられたということで、功業にはにはカウントされないことになった.

3.ケリュネイアの鹿は、メスのシカでツノがあるから、これはトナカイのことではないかと言われている.

4.エリュマントスの猪.このエピソードの時に、ケンタウロスと喧嘩になり、大事な師匠のケイロンをヒュドラの毒矢で打って死なせてしまった.

5.アウゲイアスの家畜小屋.二つの川の流れを堰き止めて、汚れた、家畜小屋の掃除を1日で終えたという話である.しかし、功業に報酬を求めたということで、カウントされなかった.しかも川の流れを変えることで、その後氾濫が頻回に怒るようになった.


6.ステュムパロスの鳥.パチンコで鳥を撃ち落としたのか、ヒュドラの毒矢で撃ち落としたのかよくわからない.子供用の絵本には、パチンコを打つヘラクレスが載っている.

7.クレテ島の王ミノスを罰するためにポセイドンの送り込んだクレテの牡牛を生け捕りにした.

8.ディオメデスの人喰い馬.アレスの孫の支配するトラキアでの話である.

9.アマゾンの女王の腰帯

10.ゲリュオンの飼う紅い牛

れた山脈の両辺をヘラクレスの柱としたとも言われる.

11.ヘスペリデスの黄金のリンゴ.

12.ケルベロスはオルトロスの兄であり、3つの頭を持つ犬の化け物.ヘラクレスは冥界に入ってハーデスから「傷つけたり殺したりしない」という条件で許可をもらい、ケルベロスを生け捕りにした.


 イアソン船長のアルゴーの仲間と冒険に出かけたり、冥界からテセウスを救出したり、アルケステスを迎えに来た死神を、捉えて、彼女を助けたりと、武勇談には事欠かない.


 ところで、ヘラクレスが、なぜにこれほどに苦難の人生を歩まなければならなかったか?


 神々の意思、つまり宿命?

 最高神ゼウスが彼をこの世に送り出した意図について、次に語りたい.


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