ポセイドンの恋④「海丸くんの母の日」
「母の日、皆、どうしましょうか?」
カーネーション、渡すのを皆海丸くんの見ていないところでこそこそするか?
あるいはいっそのこと、自粛するか?という話になってきた.
「いやーそんなことはやめてくれ、変な、気回して、あいつの心の中に踏み込んだりするのは、優しさじゃない、海坊に対する侮辱でしかない」父親のポセイドンの反論である.
「普段のあいつ見てればわかるよな、あいつ、そんなことで寂しがったり、へそ曲げたりするやつじゃない、人の気持ちは見守り、そして、決してそれを自分に置き換えて、羨んだり、妬んだりしないやつだ、それはおれには良くわかる」ルシフェルは普段の彼を間近に見ているから言える.
「では、カーネーションの贈呈は、あえて自粛はしないが、皆それぞれ、節度を持って行うということで・・」
はるながいう.
静香も頷いた.
五月の第二日曜日、母の日である.
朝から海丸くんは書斎にこもって何かメモを書いているらしい.
時々、ペルセポネとひそひそ話をしている.
ペルセポネが、大量のカーネーションをデメテルに贈り、
キューピーが愛染の母ちゃんに、洒落た花束を贈る
アポロとアルテミスはお母さんに花束を渡した後、また別館に戻ってきたらしい
皆で昼ごはんはご馳走を食べましょうということで、ヘスティアおばさんがきている.
愛ちゃんも遊びに来るということで、ヘラ様もいる.
はるなたちが食事の支度をしているとき、
海丸くんが、手を後ろに回して、はるなのところにやってきた.
「あの、いつも、ありがとう、僕にとって、はるなや、静香、皆さんは、大事なお母さんです」
カーネーションを一本、それに手紙が添えられていた.
手紙には、子どもの字でこう書かれていた。
「ぼくのお母さんは一人じゃなくて、たくさんいます。みんながいてくれるから、ぼくは寂しくありません.」
カーネーションは、「お母さんの数だけ」、ペルセポネに分けてもらった.
はるな、静香、愛染の母ちゃん、ペルセポネ、デメテル、ヘスティアおばさん、ヘラや、アルテミス、愛ちゃん健ちゃんのママ、アテナと別館に出入りする、全ての女性に一本のカーネーションと手紙を渡して回った、あった順に.
「ぶ、ぶ、ぶウェー」と静香が大号泣である.
普段は硬い顔のアルテミスが、少し顔を赤らめて「お母さんってなんかいい気分だな・・・」
「こちらこそよろしくー」と愛ちゃんと健ちゃんのママがハグしてきた.
「ママ、だめ、うみたん、あいたんの!」なんと愛ちゃんがママに嫉妬である.
「おっと、私も海坊にハグしそうになったよ、愛ちゃん怖い怖い」とアテナがいうと皆が、どっと笑う.
「こらー、敵わないは!」とキューピーくんである.
「な、言っただろ、これが、みんなの海丸くんさ・・・」なぜかルシフェルとポセイドンが誇らしげだった.
「あんたたち、言っとくけど、海丸は、あの子自身が頑張っていい子になったんだからね、あんたたちはあくまでも、反面教師なんだからそのこと忘れないように!」
またヘスティア姉さんはには厳しいことを言われた.
「ところで、私もお母さんと呼ばれたくなったんだけど、誰か私のこと嫁にもらってくれないかね?ねえ、海坊、どお?」
「え、それだけは勘弁してくださいよー」と海丸くんはいう.
怖い顔してやってきた、愛ちゃんがヘスティアに向かって
「おばちゃん、ダメダメ、だめ、め!」といつもはヘスティアおばさんがすることの真似をした.
その年の冬、別館の皆で、新潟にスキーに行く、その時に海丸くんのお母さんに挨拶をしようということになった.
海丸くんの母の住む、越後国の雪が待ち遠しい、別館の面々であった.




