学ぶことは多い、しかし苦痛ではない③「2025年ノーベル生理学・医学賞」
10月の初め、「別館」.
午後6時過ぎ.皆が居間で夕ご飯を食べたり、勉強、読書をしたり、新聞を読んだり、談笑したりする.多くの精霊、神々、そして神々や、精霊と話のできる人たちが、集まる場所である.はるなの家は、そういったものたちの、サロンであるという話は既にした.
その家の主人である、はるなは、「居候」たちの食事の支度で大童である.
今までも、海丸くんにキューピーは必ずお手伝いをする.彼らには、はるなの家事の手伝いは、日々のdutyである.
毎日ではないが、忙しそうな時は愛ちゃんと健ちゃんのママ、が手伝ってくれる.春から、夏、秋にかけて、冬になるまでの期間は、冥界に戻るまではペルセポネもここにいることが多い.台所のこととか、皆の食事の準備を手伝ってくれる.デメテル母さんは、米の俵の管理とか、小麦粉を製粉したり、色々忙しいから台所のことは、はるなの他、皆に任せていることが多い.デメテル母さんの生活と活動の拠点は、ほとんど現代・日本にシフトしている.世界をまたに活動する豊穣の神ではあるのだが.
最近では新たに仲間に加わった、静香も、これまで借りていたアパートを引き払って、別館の住人となっている.もちろん夕ご飯の手伝いもしてくれる.
ルシフェルは、本当は、オリンポスという、ギリシャの神々の総本山の御本尊?本社の社長?だから、忙しいはずなのだが、なぜかこの頃は、だいたい毎日ここで夕ご飯を食べているようだ.彼らは場所と時間を自由自在に移動し、スケジュールの調節も思いままなのだ.だから、毎日いても不思議ではない、ということかもしれない.
愛染親子の、3人、つまり、アフロディーテに、キューピーに、まだ小さい、アンテロスも、結婚相談所の事務所をはるなの家に間借りして、居住スペースも、その一室を借りている.ご飯は、やはり、ここで食べる.キューピーとアンテロスは、皿洗いとか、買い物を、友達の海丸くんと一緒にお手づだいする.
おや、なんとアフロディーテも、おかずを皿に取り分けたり、居候たちのところに運んでやったり、小鉢の準備とか、しているではないか.流石に、皆が働いているところで、ごろごろとテレビ見ているというのは、気がひけるのだろう.今になって彼女も成長したということなのだろうか?
海丸くんは、下宿人だから、学校が終わったら別館に帰ってきて、図書室で勉強したり、居間で友達やら大人たちと皆で話をしたり、友達とあそんだり、学校の宿題をしたり、読書をして過ごした後、お手伝いの買い物に行ったり、この頃はお米を研いだり鍋の火の見張りをしたりと積極的に手伝っている.包丁を使うようなお手伝いはまだ、させてもらえない.食事が終わった、食器を洗うのも彼の重要な仕事である.
おや、キュキュットがない.「はるなさん、食器洗いの洗剤がもうないのですが・・」
「あ、ごめん、海丸くん、ちょっと裏のウェルシア行って買ってきてくれないかな・・」
「はーい」ウェルシアに行く時は、サンダルで行く.ほんの50mくらいのところだから、あ、でもお屋敷の庭の外に行くのに、10分以上かかるのだった.思い出した彼は運動靴に履き替えて外出する.
今日は、ドクトル、もいる.今、食事を食べているところである.
昔はこういう、賄い付きの下宿がほとんどだったが、今は大学近くの下宿屋さんでも、こういうところは少ない.ほとんど皆無、らしい.皆、外部と交流のない、バストイレ付きのアパートがほとんどである.昔の賄い月の下宿でも、皆が一室に集まって、会話をするということはあまりなかった.40年ほど前の話であるが.最近はシェアハウスと言って、気のあった若い男女が共同生活をするという試みもされているようだが、特殊な事情であることが多いらしい.
おや?アテナと四天王は、それにヘパの親方やらヘスティアおばさんは?
彼らの生活と活動の拠点は古代ギリシャ、オリンポスである.別館にしょっちゅう来ているようで、そういうわけにもいかない神々なのだ.
今日はヘルメスもきている.世界をまたに、時には冥界にまで足を運んで、情報の伝達、時には仮想敵国に対する諜報活動、機密文書の収集(つまりは大事な資料を盗んでくる)といった、スパイの仕事までを自ら行う彼は、主要な神々が集まる別館には数日ごとにやってくる.ルシフェルと何やら話した後、さっさと、食事を済ませて、出かける準備を始めようかな、というところである.ごちそうさま、と食べた後の食器を、海丸くんに渡して、玄関の方に行こうとする時.
6時半頃、NHKの地方ニュースの画面が突然変わった.東京のアナウンサーが出てきた.臨時のニュースらしい.
画面には、「坂口志文さん、ノーベル医学生理学賞」とある.
皆がテレビの前に集まってくる.
「やった、日本人、ノーベル医学賞!ドクトル、見てみて」と海丸くんが、ドクトルに伝える.
「ほお、どれどれ、あ、本当ですね、大阪大学、坂口志文先生、過剰な免疫反応をおおさえる?調節する、制御性T細胞の発見ですか.後のアメリカの先生、二人は、抑制性T細胞の分化に関係する、FOXT3遺伝子の発見ですか.」
「自己免疫疾患や、癌、移植医療の発展に重要とのことである.なんだって」、少し興奮気味の海丸くんがいう.
カロリンスカ研究所の発表の画面も出てきた.英語でこのように伝えていた.もちろん聞き取ったわけでななくて後からネットから引っ張ってきた文章である.
Press release: The Nobel Prize in Physiology or Medicine 20256 October 2025
The Nobel Assembly at Karolinska Institutet has decided to award the 2025 Nobel Prize in Physiology or Medicine to:
Mary E. Brunkow
Institute for Systems Biology, Seattle, USA
Fred Ramsdell
Sonoma Biotherapeutics, San Francisco, USA
Shimon Sakaguchi
They discovered how the immune system is kept in check
The body’s powerful immune system must be regulated, or it may attack our own organs. Mary E. Brunkow, Fred Ramsdell and Shimon Sakaguchi are awarded the Nobel Prize in Physiology or Medicine 2025 for their groundbreaking discoveries concerning peripheral immune tolerance that prevents the immune system from harming the body.
Every day, our immune system protects us from thousands of different microbes trying to invade our bodies. These all have different appearances, and many have developed similarities with human cells as a form of camouflage. So how does the immune system determine what it should attack and what it should defend?
Mary Brunkow, Fred Ramsdell and Shimon Sakaguchi are awarded the Nobel Prize in Physiology or Medicine 2025 for their fundamental discoveries relating to peripheral immune tolerance. The laureates identified the immune system’s security guards, regulatory T cells, which prevent immune cells from attacking our own body.
“Their discoveries have been decisive for our understanding of how the immune system functions and why we do not all develop serious autoimmune diseases,” says Olle Kämpe, chair of the Nobel Committee.
Shimon Sakaguchi was swimming against the tide in 1995, when he made the first key discovery. At the time, many researchers were convinced that immune tolerance only developed due to potentially harmful immune cells being eliminated in the thymus, through a process called central tolerance. Sakaguchi showed that the immune system is more complex and discovered a previously unknown class of immune cells, which protect the body from autoimmune diseases.
Mary Brunkow and Fred Ramsdell made the other key discovery in 2001, when they presented the explanation for why a specific mouse strain was particularly vulnerable to autoimmune diseases. They had discovered that the mice have a mutation in a gene that they named Foxp3. They also showed that mutations in the human equivalent of this gene cause a serious autoimmune disease, IPEX.
大筋は、以下の通りである.
スウェーデンのカロリンスカ研究所は6日、2025年のノーベル生理学・医学賞を大阪大学の坂口志文特任教授(74)、米システム生物学研究所のメアリー・ブランコウ氏(64)、米ソノマ・バイオセラピューティクスのフレッド・ラムズデル氏(64)に授与すると発表した.
授賞理由は「免疫の抑制に関する発見」。坂口氏が発見した制御性T細胞は免疫細胞の活動を制御する役割を担う。免疫はウイルスや細菌など外敵と、自分の体をつくる細胞を区別し、外敵だけを排除する仕組みだ.しかし、自分の細胞と外敵をうまく区別できなくなると、自分自身を攻撃して傷つける自己免疫疾患になってしまう.制御性T細胞は異常な免疫反応を抑える.
米国の2氏は自己免疫疾患に関わるFoxp3という遺伝子を発見した.後に坂口氏らはFoxp3が制御性T細胞の成長や働きに欠かせないことを突き止めた.」とのことである.
日本出身者の自然科学分野のノーベル賞受賞は21年に物理学賞を受賞した米プリンストン大学の真鍋淑郎上席研究員に続き26人目(米国籍を含む).生理学・医学賞は18年の京都大学の本庶佑特別教授に続き6人目となる.24年に平和賞を日本原水爆被害者団体協議会が受賞しており、日本のノーベル賞受賞は2年連続となる.
坂口先生の発見は、1型糖尿病やら、IPEX、移植やら、腫瘍免疫の研究にも重要らしい.
「そうか、私が学生の頃も免疫学の授業あったのですが、Roittという先生が書いた免疫学の本、おそらく1991年より前なのです.制御性T細胞という言葉はなかったですから.それにしてもこの前の日曜日、たまたま勉強していたのが、1型糖尿病だったのは、なんかの虫の知らせでしょうかね.あと、IPEXも興味のある病気だから、今度の勉強会のテーマは自己免疫疾患を色々取り上げましょうか」
「それはお手柔らかに頼むぜ.」と診療所長でもあるルシフェル先生である.
テレビのインタビューで、坂口先生の座右の言葉は、
「一つ、一つ」だって、いいこと言いますよね.静香が台所から居間に来ていた.半導体の工場、細かい作業の一つ一つ、いい加減にしたら全部台無しですからね.
埃ひとつでもダメになっちゃうし.
「一つ、ひとつ、僕にはムヅカシイかもしれない.いろんな勉強あるから・・」
海丸くんはちょっと不安そうだ.
「だから、いろんな事、順番にひとつ一つ片付けばいいんだよ、お前ならできるよ」
ルシフェルが珍しく、励ますようなことを言ってくれた.
「そうですか、そうですよね、僕頑張ります、今度の自己免疫の病気、僕も参加していいですか?よくわからないかもしれないのだけど、将来の励みにしたいから」
「もちろん!」ルシフェルとドクトルはいう.
「ただしな、海丸、足元をちゃんと見据えてな.今日の数学とか国語とかの宿題はちゃんとやらないと、一足飛びにノーベル賞の研究はねえんだから、そのことはちゃんと覚えておけよ!」
おお、あのルシフェルが・・・皆は思った.しかし、最高神である彼の本当の姿を知っている、海丸くんは、肝に銘じた.
そもそもおじさんがこんなのは今に始まった事ではない.
なんで最高神のゼウスが、悪い子みたいに見せかけて自分のことをわざわざ、
「サタン」だの、
「魔王」だの、
「地獄の堕天使のルシフェル」だのというようになったのか?
このことを知るには、そろそろ神々と巨人の戦争、「ティタノマキア」について語らないとダメなのだが、今日のところはやめておこう.次回、お楽しみに、ということで.
「あんな親父でもいいとこあるんだよ.時々いいこと言うだろ?でもね、うちの親父のいいとこ、みーんな、私がとってきちゃったけどね」
なんとアテナと、四天王がいた.
「きてたんだ」
「ああ、なんか人間の世界、今週面白いことあるんだろ?」ノーベル賞受賞者の発表は、物理学賞、化学賞、文学賞、平和賞と続く.神々も注目しているらしい.
目の前の問題を一つ一つ、地道に片付け、自分のするべき道筋一歩一歩進む、これしかない、と若者が学んだ.そんな、いつもと変わりのない、ゆうげ時である.




