病魔の試練③「おかえり、愛ちゃん」
病院の玄関前で皆でお出迎えである.ママとパパが並んで歩いている.愛ちゃんはパパに抱っこされていた.
ドクトルに、鬼丸、はるな、キューピー、海丸、そして、けんちゃん、アテナと、四天王、もちろんアルテミスと、ヘラ様もいる.
愛ちゃんは、パパに言って抱っこから下ろしてもらった.
ゆっくり立った.初めはよちよちと.だんだんと足取りはしっかりして来た.入院する前と比べると良くなっている.ふらふらと転びそうな感じがなくなっている.手を伸ばして、こっちに駆け寄ってくる.
「危ない」と皆手を伸ばして抱き上げようと近寄る.転ばない、しっかりした足取りで愛ちゃんは近づいてくる.
ドクトルと、鬼丸が、両手を前に、こっちにおいでという仕草をする.はるなに付き添われて、健ちゃんは愛ちゃんの方をずっと見ている.愛ちゃんの歩みはどんどん早くなる.
愛ちゃんが向かった先は、ドクトルではない、もちろん鬼丸でもない.愛ちゃんは健ちゃんに駆け寄って抱きついた.
「にいちゃん・・・」幼い兄妹が抱き合った.
皆が見守った.
「おかえり」と健ちゃんがいう
雪割草たちも皆がそれぞれに祝福する.
「愛ちゃんおめでとう」「おめでとう」
「元気になってよかったね」
「また遊べるね」
「またあそびましょう」
次に愛ちゃんが近づいたのは、誰だと思う?ドクトルではない、鬼丸でもない、ヘラやアルテミスでもない.
愛ちゃんが次に抱きついたのは、なんと海丸くんだった.
「うみたん、ドッスン、してくれた、あいちゃんしってる.うみたん、ドッスンしてくれてありがと」
海丸はよくわからなかった.「?」
「僕なんかしたっけ?」
その時、ペルセポネも帰省中だった.海丸くんに耳打ちした.
「誰かさんが、愛ちゃん、いくなって叫んで、その時、うち(冥界)の宮殿が揺れて、柱は折れるし、天井は落ちるし、城壁は崩れるしで、大変だったんだから」
どうやらそれは冥界で起こった大地震のことらしい.海丸くんは、確かに、地震の神、ポセイドンの自慢の息子だった.
海丸くんはちょっと恥ずかしくなった.その後はずっと黙ったままだった.
愛ちゃんはニコニコ笑って海丸くんを見ている.




