夜空の星座②「カリストとアルカス.クマになった母子」
カリストはニュンペーの一人で美しい乙女だった.
カリストとは、「最も美しい」という意味らしいが、この枕詞は本来、アルテミスに冠される言葉だったらしい.彼女はアルテミスに仕えていたからかもしれない.
ゼウスが彼女に恋をした.当然、正妻のヘラ様は大激怒である.
「あの子の美しさを全て奪ってやるわ!」
と女の嫉妬とか、美しさを競う、ライバル心の炎をメラメラと燃え上がらせ、とうとう、カリストのことを熊にしてしまった.
ところで、
ギリシャにクマはいたのだろうか?今もいるのだろうか?
いるとしたら、何熊?
ギリシャに生息するクマは、ヒグマの一種らしい.
日本の北海道知床半島よりもだいぶ南だが.
ヨーロッパは、バルカン半島から、アナトリアまで、熊といえばヒグマの種類がいるらしい.日本は北海道にはヒグマはいるのだが、ツキノワグマはいない.本州はツキノワグマがいるが、ヒグマはいない.なんで?ヨーロッパのクマとトルコのクマ、どこを通ってきたのだろうか、素朴な疑問である.
脱線しました.
カリストは、クマの姿で森の中を彷徨っていた.ゼウスとの間に息子が一人いた.
アルカスという.立派な若者に育っていたという.
あるとき、彼は森の中で一頭の熊に出会った.自分の母親であることはもちろんわからない.
アルカスが、今にもクマに弓矢を射ようとしたか、槍でつこうとした時、父であるゼウスが現れた.
「アルカス、それはお前の母親だ」
「え、お母さん・・・」
幼い頃に生き別れた母親との再会であった.
「アルカス、ずっとお母さんと一緒にいたいか?」
「もちろん!」
「お前の母を人の姿に戻すことはできない.お前がクマの姿になるので良いか?」
「構いません!」
ゼウスは、親子のクマを、天にあげ、星座とした.
それに納得がいかないのは、カリストを熊に変えたヘラ様である.
ヘラは、オリンポスの前政権の海の神である、おじさんのオケアノスとその奥さんのテテュスに訴えた.
「私は納得がいきません、なんで、カルストの親子が、星座となったのか!」
「せめて、オケアノス様、あなたのお力で、あのクマの親子が、海に沈まないようにしてくださいまし」
オケアノスはちょっと困った顔をした
「そうすることになんの意味が・・・」
温厚で知られる、オケアノスは、ティタノマキアでも、クロノスに与しなかったという.
そのかれも、ヘラの頼みは断りずらかった、ということなのだろうか.しかし、オリンポスの最高会議の場では、神々は、天球図を背にしている.北北西に背中を向けたヘラ様には、北の空の星座は見えない.オケアノスのささやかな皮肉なのかもしれない.
こうして、大熊座と小熊座は北極星の周りをぐるぐる回り、永遠に海に沈むことがなくなったという.




