ルシフェルの診察室③「鉄の代謝について.定期的な医学の勉強会にて」
ドクトルと、ルシフェルは定期的に医学の最新の知識を勉強をしている.
今日は鉄の吸収、排泄に関する勉強である.
本で読んだ知識は人に話したり、講義したりすると、身につくというのは、経験上学んだ.
「慢性炎症で貧血になるのはなんでなんだ?」ルシフェルは聞く.
今日は鉄、とか貧血、という大まかなテーマを与えられてきたので、ドクトルは勉強してきたばかりの知識をは発表する.
「慢性炎症では、肝臓でできる、hepcidinという物質が、鉄の吸収と排泄を調節するようです.」
細胞内に蓄積された鉄を放出するのは、ferroportinというタンパクらしい.
細胞内の鉄を排泄する役割を担う、唯一のタンパク質が、Ferroportinと言いますが、hepcidinは、これを抑制する働きがあります.
hepcidinは,鉄の血中濃度が高い時に、肝臓から分泌されて、腸管での鉄吸収を抑制します.
さらに、ferroportinの分解を促進することで、細胞内の鉄の血中への放出を抑制します.
他にhepcidinの放出が促進されるのは、鉄の濃度が高い時のほかに、慢性炎症状態でも起こります.慢性炎症の時にIL-6の上昇が、hepcidinの分泌増加に関与するようです.それにより、ferroportinを介した、鉄の細胞内からの排泄が、減り、結果として細胞内に鉄が蓄積するようです.
血清の鉄が下がった時、hepcidinの肝臓からの放出は減少します.それにより、細胞内からのferroportinを介した、鉄の放出が促進されます.これによって、骨髄に吸収される、鉄が増えて、赤血球の合成の原料を供給するようです.
「じゃ、慢性炎症のときに、ferritinは高いのに、Feが低いっていうのは、どう意味があるんだ?」ルシフェルが質問をする.
「細胞内、組織内に蓄積される鉄分はフェリチンの形で貯蔵されます.フェリチンは、細胞内から、容易に血中に放出されるので、採血でも、定量が可能です.」
フェリチンに結合した、第一鉄が、ferroportinを介して、細胞外に放出されて、その後、セルロプラスミンやら、ヘパエスチンの働きで第二鉄に変わり、トランスフェリンと結合して、血中を流れるとあります.
「血中のフェリチンはどこからくるんだ?」ルシフェルは鋭い質問をしてくる.
「さすがですね、よくわからないみたいですよ.フェリチンは細胞内で作られるタンパクですから、血中に遊離してくるのは、細胞が壊れて遊離してくる、ということなのでしょうかね.」
「後、よくわからないのだが、炎症があるときに、なんで、hepcidinの産生が増加して、あえて、鉄の細胞内からの放出やら、腸管からの吸収を抑える必要があるのだろう?」
「生体の炎症反応は、本来、細菌等の感染性微生物に対抗することを想定されていると思います、それは異論はないですね」
「まあそうだろうな.細菌に対抗するするための免疫が暴走するから自己免疫疾患があるのだもんな」
「そう、細菌に対抗するための免疫システムは、細菌も使う可能性のある、鉄を奪うことで、敵の補給路を断ち、兵糧攻めにして、さらに、鉄本来の危険性、つまり活性酸素の量を減らす、という目的もあるからではないでしょうかね」
「なるほど、体の仕組みも、奥が深いね」
「だから、自己免疫の薬、慢性炎症の薬は、炎症性の貧血にも聞く可能性があるなんてことを研究しているグループもあるみたいですね.Hepcidinは、サイトカインでは、IL-6により産生が増える、TNFαではあまり上がらない.じゃ、アクテムラは貧血に効くかもしれないし、ヒュミラやら、レミケードはあまり貧血には効かないということかな?リウマチ専門の先生に聞いてみないとわかりませんが・・・」
「ますます、医学は奥が深いね」感心すること仕切りなルシフェルだった.
人間に知恵のみを分け与えただけのことはある.自分が知識を得るのにも貪欲らしい.




