聖なる火を守る一族
ペルシャの高原でゼウスが巡り会ったのは、のちに「拝火教」とも呼ばれる、
ゾロアスター教を創始したと言われる、ゾロアスター、その人・・・・
ではなくて、何代か前の一族の長が、まだ若者の頃のはなし、としよう.
時代考証が例によっておかしなことになるから.
ソロモン王が紀元前10世紀の頃、ギリシャのいわゆる暗黒時代、製鉄技術とともに、旧勢力を倒したゼウス一族が、力を蓄えようと、近隣の諸勢力を味方につけようとしたいた時代・・・
そしてゾロアスターは、紀元前7世紀頃の人ということになっている.
ソロモンとエルサレムであってきた、ゼウスがその足で、ペルシャを旅するのだが、そこで砂漠から噴き出す、火を大切に守る一族と巡り会う.あまり深くもかんがえないで、うっかりその火を消してしまった、ゼウスは、一族の若者に大目玉を喰らうことになる、というのが前々回の話のあらすじである.
「うん、火がついたのなら、文句はねえ、おめえ、うちくるか?旅で疲れてるだろ・・・」
こう言って、ゾロアスターは、ゼウスと2頭のラクダを、家に案内してくれた.
あちこちで、火が燃え上がっている.
神社で手を洗う場所の雰囲気である.チョロチョロと燃える感じではなく、激しく噴出するガスが、そのまま燃焼している形である.
だから砂漠の中の岩の家、それほど寒くはない.
「火は、家の中を温める役割もあるの、かな・・・・」ゼウスは恐る恐る聞いてみた.
「おめえ・・・」ゾロアスター少年は(まだ、18歳未満のようだから、一応少年としておこう)ゼウスをちょっと怖い顔で睨みつけた.
「ヒェ、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
「なんで謝る必要があるっぺ?おめえ、いいことに気がついてじゃねえか、っと褒めてやろと思ってたぜ」
「はあ、そうでしたか・・・・」
育ちがいいゼウスは、身内以外の人からしかられる経験があまりないから、結構、怖い顔で何か言われるとこたえるのだ.
「おめえのいう通り、神様の火は、悪霊を封印して、俺たちを守ってくれるだけでねえ・・・」
「まず、料理.肉とか、麦からとった粉を焼く、ミルクを煮て温める、野菜も煮ると食べやすくなる.」
「それに暖房、砂漠の夜も、冬も、部屋が暖かい」
若者は火のご利益を色々と並べる.
「あとは狼、その他の危ない獣から人のことを守ってくれる.」
それとな、ヒッタイトって知ってるか?あいつらは、火を使って、鉄っていう、新しい金具で鋭い刃物とか農具を作るって話だ.こっちも金属加工、できないわけではないけどな.
それと、陶器、レンガ、皆火を使って加工すると、いい具合になる.形も好きな形に整えられるしな・・・・・・
あと、祭りの時には火の周りに皆集まるし
しかし、誰かが亡くなった時には、死んだ体は汚れたものとして、神聖な火は用いない、つまり、火葬にはしない、土葬か、鳥葬という形で葬ったらしい.
神様の火で亡くなった人を丁重に葬るという発想は、かなり新しい考えなんだろうか?
「俺ら、人にとって、火はすごくだでえーじなもんんだ.だから、何よりも火を大事に拝む・・・それがおら達一族の、昔からの習わしだ」
「そして、火の神様は、人としていいことと悪いことの区別を教えてくださる・・・」
「?」
・・・・・・・
「世の中一切、善と悪の争いだ.
そして、おら達の、火の神様・・・・・」
少年は、その名を口にするのは恐れ多いというふうに、一瞬、目を閉じて、合掌してからおもぬろに口にする.
「アフラ・マズダは正義の神様だ!」
火のことを語る、若者の口調とその眼差しは誇らしげであった.
ゼウスにとっては、世の中、善と悪の絶えざる争いという思想は新鮮かつ衝撃的であった.その辺のブレが少ないのは、ソロモンや、ベルゼブルよりも、むしろ、ミカエル?
ゼウスの心はひさしぶりに乱れた、かもしれない.
その夜、なかなか眠れない、ゼウスは、心の中で、
「善と悪、善と悪、光と闇・・・」と繰り返し唱えていた.
「どっちが正しいか・・・・わたしには、まだ、わからん」
そう、考え直したあと、いつの間にかゼウスは深い眠りについていた.




