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お前こそが、私たちの光「ルシフェル!」


ソロモン王の行列が神殿建設現場に到着した.すぐそばを侍従長のミカエルがつきしがたい、文武の百官が随行する.


巨石を運びながら、ゼウスは、王様の心の中に話しかけてみた.


「王様、いらっしゃい、どうです、私の働き具合・・・真面目にしてるでしょ・・」

「ゼウスよ、そのほう、獄卒たちとはうまくやっておるのか?それが朕は心配であった・・・」

「へい、ご覧の通りで、お役人様がた、皆さんよくしてくれやす・・・」

「ふん、小癪な・・・」


「へへへ・・・」


ソロモンの心の中に話しかけるとき、ゼウスはわざと人足の言葉になっているらしい.


現場を一望できるところに設けられた、玉座に座り、ソロモンは作業の様子をしばらく眺めていた.


時々、ミカエルが何やら耳打ちする.

まだ建築現場のゼウスは、ミカエルには目をつけられている様子はない.


ミカエルのもとに現場の看守の責任者の一人が報告に向かう.


「あの、ヘラスの若者、なかなか使えまする・・・」とでも言ったのだろうか.


ミカエルの鋭い視線が、ゼウスに向けられた.

痛みを伴うような鋭い視線を、感じてゼウスはそちらに目をやると、ミカエルがこちらを睨んでいる.


ソロモンの王様は、ミカエルの、ゼウスに向けられた、敵意の眼差しを外らせようと、侍従長に話しかけた.


「侍従長、工事はことのほか、捗っておるようだな・・・」

「御意!」ミカエルは、答えるが、まだ、鋭い視線は、ゼウスの方に送り続けている.

警戒が必要なのは、鉄の短刀を王城にしれっと持ち込んだ、ギリシャの若者だけではない.


他に、ここには、

ベルゼブルというパレスチナの問題児

アシュタルテ

モーロック

ベリアル

・・・・

なんと72柱もの土地の神々が、日々の作業に従事している.

ユダヤの国そのもの、一人の神が民族統合の象徴であり、信仰の要である、という国家原理そのものを危うくしてしまう、古来からの神々・・・


「そのような危険なこと、どうぞおやめください」とミカエルは何度か

進言をしたにも関わらずである.


王の圧政、否、侍従長であり、最高神祇官である私の圧政からの解放ということになると、油断はならん!


ミカエルは周囲に油断のない視線を送り続けていた.


そして、「ヨベル」という若者が工事現場に紛れ込んでいるらしい.このものの名前、「角笛」というのは隠れ蓑で、本来は「解放」という意味である.


ヨベルの年、解放の角笛が高らかに吹き鳴らされたとき、何が起こるか・・・ミカエルの背筋に冷たい予感が走った.


「杞憂であれば良いが・・・・」


一瞬、神殿の近くの空が暗くなったように見えた.

次の瞬間、翼の生えた、異形の者どもが一斉にミカエルに向けて襲いかかった.


ミカエルは、空高くとび上がったとみると、その姿はどこかにかき消えてしまった.


ミカエルに飛びかかったのは、ベルゼブル、アシュタルテ、ベリアルらに率いられた、堕天使の軍団であった.


彼らよりもさらに高く飛び立った、ミカエルは、七色に輝き、剣と盾を持ち、堕天使の軍勢と対峙している.


「ふー・・・・」とため息混じりの小さく、声を出してソロモンは、その手の指輪を、高々と掲げて、叫ぶ


「天の霊、地の霊、水の霊・・・・闇よりいでて、我に従え・・・・・」


堕天使の軍団は、空中でその動きを止めてしまった.金縛りの形である.


「う・・・・動けない・・・・」


石を運ぶ作業をしていた、ゼウスは一体何事が起こったのか理解できない

ヨベルは、解放の時は今だと知り、角笛を高らかに吹き鳴らす.


しかし、72の精霊を想いのままに制御する、ソロモンの指輪の力に抗うことはできない.

「ゼウス、お前の力を俺たちにくれ・・・・翼の生えた、七色の天使となって・・・・」


「え、でも私は、天使の姿になるなんて・・・・」

「お前にもできる、精霊の声を聞いてみろ、天の霊、空の霊、水の霊、全てを呼び寄せるのだ、ゼウス、急げ・・・・」


「だめだ、私にはできない・・・・」


ならば、私たち、72の精霊の力、全てお前に預ける、皆良いか・・・・」


72柱の精霊が、その霊力の全てを、ゼウスに放った時・・・・・


ゼウスの周りには、天地水の精霊が悉く渦を巻いて集まり、からの体を覆い、

巻き上がる、渦の中から、七色に輝く、大天使が姿を現した


「おお、あれこそが、大天使 ルシフェル!私たちの光、私たちの希望!」


ベルゼバルたちの呪縛は解け、ルシフェルに先導された、精霊の群れは、ミカエルの軍勢に襲いかかった.


ソロモンの王様はここで、再度指輪を掲げて、いった

「天の霊、地の霊、水の霊、我に従いて、闇に帰れ・・・・」


ソロモンは、ゼウスの方に一瞬目をやった.


「ゼウス、ヘラスの神の子よ、あとは委ねる・・・・」


そして、小さく囁いた.


「よろしく、精霊の王たるべし・・・・・・・任せたぞ、友よ!」


ソロモンはその指からリングを取り外して、なんと、飲み込んでしまったのだ.


ミカエルが思わず叫んだ、「ソロモン!何をする・・・」


何かが弾けて、あたりは一瞬、閃光に覆われた.眩い光が消えて、皆が目を開けることができるようになった.


天使の姿のベルゼバルやアシュタルテの姿は、また元の人足の姿に戻っていた.

天使の姿のミカエルも元の憂鬱そうな、侍従長の姿に戻っていた.


神と民族の板挟みになった、ユダヤの王、ソロモンは、72柱の悪霊の魔力を封印し、神との争いを避けた.


しかし、その後、神と民はソロモンを見放した.

この賢王亡き後、イスラエルは分裂し、ユダヤの民は、数千年の苦難を歩むこととなった.





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