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友たちが集う、牢獄の中

「それでなに!ゼウス、おめえ、鉄の短剣見つかって、没収されたってか!」


ベルゼブルは、呆れたという顔であるが、話す声は楽しそうである.


「こらまた、無謀というか、間抜けというか・・・・」とベルゼブルが完全にバカにしたようにいうと、

「そんな言い方しなくてもいいじゃないか・・・」ゼウスはちょっとむすっとした.


真剣な顔に戻ったベルゼブルがいうには、

「おめえな、それは本当、政治犯の中でも反乱罪で、下手したら終身禁錮に当たるかもしれない・・・」


「いやいや、ヘラスのわけえの、鉄の武器を持ち込んだとなったら、どうかすると、内乱罪か、外患誘致の罪に問われるかもしれない・・・」

法律に詳しいのは、ベリアルである.ベルゼブルの親友の一人である.


製鉄の技術は、小アジアの強国、ヒッタイトの門外不出の技術である.そして、彼の国の者どもは密かに、鉄の武器を近隣諸国に持ち込んで内乱を起こそうとする.そして、各国の不平分子は、喜んでその仲介をする.

 

現行の(日本の)刑法では、内乱罪は首謀者死刑、外患誘致になると、有罪となった時の刑は、死刑以外にない.


「王様のソロモンはそうでもないのだが、ユダヤの神と、その代理のミカエルは、知識とか、技術を毛嫌いする.・・・・・」


「どういうこと?」


「国家の安定を脅かすからね・・・」ベルゼブルがいうことは正しいかもしれない.


しかし、統治側の原因も大きいのではないかとゼウスはちょっと思った.


(皆が幸せになるように、豊かになるために力を尽くすのがなぜできない、敵がいるから、敵に知恵と力を与えないように、知恵と力、自分も持たないことに決め込んだら、進歩はあるまい、一生不便なままだ、腹を減らしたままだ.民から搾取する、王様とその取り巻きはいいかもしれない、でもますます民は飢えて貧しくなる・・)


「種籾をくださいといっても、お祈りが足りないと言われる.雨が少ない、畑がひあがる、川から用水路を引きたい、そうか、それではまだまだ祈る必要がある.赤子に飲ませる乳が出ない.神にお願いすれば、このカナンの地、川という川に蜜と乳が流れるはずだ、それもお前たちの祈りが足りない、あるいは誠の心で祈っていないからだ.とにかく皆には祈りの心が足りない.早急に神殿を完成させるべし・・・」


ベルゼブルの不満である.彼はとうとうと体制批判、というかミカエル批判を続ける.


「川なんて、ヨルダン川、ゼウスもエルサレムに来る途中に見たろ、ずっと谷の底まで流れていて、水を飲んでみな、なんと塩っ辛いこと!その川を何百メートル、引き上げて、水を運んで、畑に撒けってか?そんなことしたらあの塩水で、せっかくの麦が全部枯れてしまう」


「それにね、くわは、できたら、木製、まあ許されるのはせいぜい、青銅・・・」


青銅の鍬、木よりはいいかもしれないが、すぐに曲がってしまうし、その割にめちゃくちゃ高価だ.鉄の鍬は、キレが良くて、しかも安く大量にできると聞く.作る技術さえ、あれば、という話である.


「木の鍬で、一丁の畑耕すのに何日かかるかってんだ!自分がやらない奴に限って無理なことさせるんだ」


誰かがいうが、声の主は特定できない.おそらくここに来る前は、農作業をしていたのだろう.


「ミカエルの言い分はね、鉄は危ないってんだよね」飄々としているのは、アシュタルテ、これも農耕に深く関わる神である.(うん、女性か?男の身なりをしているが、綺麗な顔をしている.声も高い)


「貧しさは、親をして、子供を犠牲に捧げざるを得なくする・・・」

モーロックというやや年配の神がボソリという.彼は子供を犠牲に捧げざるを得ない、母親たちの涙を全て受け入れるという役目を負わされている.


「悪いのは、貧しさなのにな」


「ソロモンの王様は、そこらへんどうお考えなんでしょうね?」ゼウスは、先日、ソロモンと、テレパシーで会話を交わしている.それほどわからずやではない印象だったが・・・


「ミカエルが王様に渡した、指輪、我々、72人の産土うぶすなの神々をいいようにこきつかえ・・・」


どうかすると、反乱を起こしうる、古来からいる土地ごとの神々を管理しつつ、国家と宗教の統一を図るという意味で、ミカエルの政策は、正しいのかもしれないが・・・・


「もお、寝ようか、明日、またこき使われるからな・・・」誰がいうともなしに議論は終わり、皆が次の日の過酷な労働に備えて眠りについた.



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