レアアース
海丸くんと、静香が、一生懸命、元素の周期表を覚えているところである.
「水平リーベ(H He Li Be)、僕の船(B C N O F Ne)、なな曲がり(Na Mg Al Si P S)、シップス(Cl Ar)、クラークか(K Ca)」
予備校になると、鉄とかコバルトのところも覚えかたがあるみたいで、
「「K(閣下)ScBaRuMn」のように区切って、K, Ca, Sc, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, As, Se・・・」
「閣下、スコッチ暴露マン、鉄のコルトに、どうえんが陰る、明日は、千秋楽・・・」
ああでもない、こうでもないとみんなが元素の周期表を一生懸命覚えようとしている時、
テレビでは、ニュースで日本の南鳥島近海で、海底の泥から、レアアースを回収する実験が進行中であると、報じていた.
レアアースは現在中国が、採掘量、生産量が、最多であるらしい.
「レアアースってそもそもなんなんですかね?」海丸くんの質問である.
待ってましたとばかりに静香の講義である.
「レアアースはね・・・・」
レアアースは、希土類元素(きどるいげんそ、英: rare-earth elements・REE)とも呼ばれる.31鉱種あるレアメタルの中の1鉱種で、スカンジウム 21Sc、イットリウム 39Yの2元素と、ランタン 57La からルテチウム 71Lu までの15元素の計17元素の総称である(元素記号の左下は原子番号).周期表の位置では、第3族のうちアクチノイドを除く第4周期から第6周期までの元素を包含する.
「それで、どのような、利点、というかな何が、大事なのでしょうか?」海丸くんの質問は続く.
「それはね、Wikipediaによるとね・・・」静香が続ける.
「希土類元素は蓄電池や発光ダイオード、磁石などのエレクトロニクス製品の性能向上に必要不可欠な材料で、希土類元素、特にランタノイドは電子配置が通常の元素とは異なるために物理的に特異な性質を示す.水素吸蔵合金、二次電池原料、光学ガラス、強力な希土類磁石、蛍光体、研磨材などの材料となる。マグネシウム合金に微量添加することで機械的特性を向上する・・・」ということである.
「レアアースって何がそんなにすごいの?」海丸くんの質問.
「ざっくり言うと、電池を高性能にする、LEDを光らせる、超強力磁石を作る、半導体や光学材料を支える
特に有名なのが:
ネオジム(Nd) → 超強力ネオジム磁石
サマリウム(Sm) → 耐熱磁石
ユウロピウム(Eu) → 赤色蛍光体
テルビウム(Tb) → 緑色蛍光体
・・・・・・・・・
つまり、スマホも、電気自動車も、MRIも、ハードディスクもみんなランタノイドの子どもみたいなもんなんだよ」アテナの講義である.
物理や化学のことにはあまり口を出さない、ドクトルがボソリといった.
「私、小学生の時、親父が、ランタノイドの元素の覚え方を一生懸命、話していたことがありました・・・」
なんと、ドクトルのお父さんは、ドクトルはよく、「ランタノイド」をまだ小学生のドクトルに覚え込ませようとしていた.
希土類元素はランタノイドと呼ばれる.書き出してみようか、
57Laランタン
58Ceセリウム
59Prプラセオジム
60Ndネオジム
61Pmプロメチウム
62Smサマリウム
63Euユウロピウム
64Gdガドリニウム
65Tbテルビウム
66Dyジスプロシウム
67Hoホルミウム
68Erエルビウム
69Tmツリウム
70Ybイッテルビウム
71Luルテチウム
「ランセ、プランド、プム、すむ、エウ、がど、テブ、ジス、ホ、エル、つむ、ユーブ、ル」
なんかこんな感じだったと思います.
「何、ドクトル、それって、電子工学の、英才教育じゃない・・・・」アテナが驚く.
ドクトルのお父さんは、電気会社の半導体研究所一筋の人だった.理学部の化学科を出て、物理化学の研究をしてきたらしい.電子研究所といったか、半導体研究所と言ったか・・・当時、オランダにある、ヨーロッパ最奥手の電機メーカーと、日本で有数の、電気会社が合同で出資して、作った会社らしい.ドクトルが子供の頃、お父さんは、なんと、オランダにも留学?出張?をしているらしい.
当時は、今でいうところの「半導体」というのは、
集積回路、IC:integrated circuit
大規模集積回路 LSI;large scale integration
と呼ばれていた.どのくらいの機能があるものかわからない.1x2cmほどのLSIを会社から持ち帰って、色々と自慢していた.
当時、大阪の小中学生、エレクトロニクスの制作、日本橋という、電子部品のパーツ、トランジスタやらコンデンサやらを売ってる街に、行き、ラジオやら、いろんな電気回路を組み立てるのが流行りであった.だから家には、ハンダゴテ、が普通にあった.ドクトル自室のカーペットを焦がしたことがある.
「ラジオの製作」はそんな電気オタクの購読書であり、ラジオの制作から入って、そのうち、「HAM」を買い始めて、電話級アマチュア無線技師、あるいは2級、1級のアマチア無線技師、というのが、彼ら中ではエリートコースである.(アマチュア無線、今では電話級、電信級は無くなったらしい.そもそもモールス信号はいつの間にか廃止されたらしい.これは雑談)
ドクトルは、やや傍観者的であったから、電話級アマチュア無線で止まり.抵抗やら、トランジスタ、コンデンサがどう働くかは知らなかった.同級生たち、自分で電気回路の設計までしていた.
会社から持ち帰った、LSI、
「学校には持ってくなよ、企業秘密だから・・・」と親父はいうのだが、
そんな言いつけが、守れようはずがなかった.
ドクトルが学校にもっていき、電気回路オタクの仲間に見せびらかした.
「おおすげー・・・」
何が、すげーのかすら当時はわからなかった.
わずか、数ミリ四方の、LSIの中心部に、少年の限りない夢が詰まっていたのだろうか?皆でその小さな部品を、飽きもしないで眺めていた.




