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政治犯、ゼウス


「王様、あなたの指輪、全ての草木、鳥や獣、人のこころ・・・・

その指輪はあの侍従長のミカエルからお借りになられたと町で聞きました.

こうやって私と話ししている声は奴にまる聞こえでないのですか?」


「ヘラスの神の子よ、意外であろう?なぜ、ミカエルには、精霊の声、人の心の声が、聞こえないのか、と.それがミカエルという男の本質よ.」


続けてソロモン王の心の声はいう.


「あやつには、人の心が・・・わからん.人の心の声を聞く気などさらにない.ましてや草木や、獣、世に住む虐げられた精霊の声など、全く聞く耳を持たぬ!」


「虐げられた、精霊の声!」ゼウスにも思い当たることがある.森羅万象に宿る、精霊たち、その声は悦びに満ち溢れたものばかりでないことを.彼らも時には嘆き、悲しみに慟哭し、呪い、怒る・・・


「え!それじゃなんで、王様にわざわざ、精霊の声を聞かせて、政治を動かそうとなさるので・・・・」


「そう、奴には、人、獣、鳥、虫、自然現象、風やあめ、地震に波・・・全てに宿る精霊の声、全てわしに聞かせて、わしに裁かせて、全ての責任をわしになすりつける魂胆だ.」


「それは、いったいなんで・・・・」ゼウスの疑問である.ギリシャの国、クレタ島では、日々の生活、これ、精霊たちとの会話で成り立っているといって良い.花と語らい、獣と笑い合い、そよ風の歌声を聞き、大地の怒りに肝を冷やす・・・・


「それは、我らの民族、唯一の神、ユダヤの神の栄光のためだ」


「ユダヤの神・・・・・栄光・・・・」


「ユダヤの神も、万物に宿る、精霊があることは認める.しかし、その精霊は神の作った被造物、ユダヤの民が信じる神は、ただ一つ、そして、それ以外の精霊は神々ではあり得ない・・・・我らの神は、精霊を多くの神々として信じることを難く禁じられた・・・神はただ一つ、そして、それ以外の神々は、神には向かう、堕天使、悪鬼羅刹のみ!」


「では、王よ、精霊の声が聞こえる、あなたが、なぜ、多くの神を認めない側のものどもを、重く用いなさる?」


「我が、ユダヤの神は、父祖の神、そして、我らは、その父祖の神に民族の救済の全てを委ねている.神の契約・・・・これが我らユダヤの民の、義というものかもしれん・・・」


「ユダヤの民は、森羅万象全てに宿る、神々を、神と認めてはならぬと神との契約で決めたのだ!よって、神はたった一つの存在.普遍的な概念といって良いかもしれない.形を持たぬ.声は聞こえぬ.姿も見えぬ.自然の精霊は、全てこの普遍的な概念である、我らの神が作った、被造物、決して神にはなれぬ・・・


その方の生まれし、ヘラスの国、森羅万象に神が宿ると考える.インド然り、エジプト、そして、はるか、東の果ての国.皆、多くの神々がすみたもう国.しかし我が民の神はそれを許さぬ.ミカエルは我ら民族の教義と、義の、まあいってみれば、番人じゃよ.だから、あの通り、見るからに堅物じゃ、冗談が通じない奴は、相手をしていて疲れる・・・・」


心の中でそう語ると、ソロモンの口元は少し緩んだように見えた.


ミカエルは、王の口元が笑ったことを見逃さなかった.


「全てを統べたマウ、我らの王よ、このものの裁きは、私めに、一任いただけますれば幸いでございまする・・・」


「侍従長よ、良きに計らえ・・・・・ただし、このもの、其方の手に負えるかの・・・・」


(王様・・・)

(ヘラスの神の子よ、ミカエルと、知恵比べをしてみい.なかなか面白い実物になろうて・・・・)


心の声で、そう言い残すと、王は宮殿の奥深くに引きこもられてしまわれた.


侍従長、ミカエルの意向を重く用いた、宰相の判決が下された.


ヘラスの国、ウラノスの子ゼウス、その方、不正な蓄財により、たみを扇動し、あまつさえ、武器を集め、王城に対して叛逆を企てたるの段、許しがたし.

きっつく、お仕置き申しおくべきものなり


ソロモン 御名御璽


ゼウスには、建設中の神殿において、強制労働を無期限で行うようにという刑罰が課された.

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