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因縁の対決、「序章」

この宿敵は、強敵ともではない.


ゼウスと、ミカエルの関係である.


お互いに心から嫌いあっているという意味で.または、

お互い敵に対する、尊敬の気持ちが皆無であるという意味で.


2頭のラクダと一緒にソロモンの行列を見物していた、ゼウス.

ラクダのおしゃべりをソロモンに盗聴されてしまった.

そして、まずいことに、ゼウスはそれに気が付いて、自らの心の声を消してしまった.全ての草木と獣、鳥たち、人々の心の声を聞くことができる、ソロモンにとって、心の声が聞こえないものは、かえって目立ってしまう、ということなのだろう.


槍と盾を持った、近衛兵の集団が、ゼウスの周りに集まり、王宮の中に拉致していった.


ここで、ゼウスが、雷をばちばち言わせ、ライオンのクレタと同じように近衛兵とか、王宮内の文武百官のものたらを制圧していたら・・・・

神話も、人の歴史も全く違った形になった可能性がある.

キリスト教は生まれなかった可能性があるし、ユダヤ教は先細りになっただろうし、すると、7世紀のイスラム教の誕生はなかっただろう.するとその後の世界の歴史は全く違う形になっていただろう.もちろん、「歴史のifはいいっこなし」という原則をわかった上での話である.


ゼウスは若者ながら、「大人の対応」をした.

つまり、相手に火傷や、怪我をさせないための最大限の配慮をした.


そのことが、ゼウスとソロモンと、その配下の者たちとの、長い戦いの原因になった、と言えるのではないだろうか.ここでも、「もしも・・・」を言いっこなしということがわかった上で.


ソロモン王の宮殿.ゼウスは、玉座の前に引き据えられた.両手は後ろ手に縛られている.


周りをぐるりと屈強そうな、近衛兵が取り囲んでいる.なかなか逃げるのは大変そうな状況である.


王様の右手には、ユダヤ教の法衣を纏った、侍従長が、控えている.

左手には、文官の最高位のものだろうか?宰相とかそういうのだろうか?


しかしゼウスが見渡した限りでは、この中にソロモン王は別格として、右手にいる性格の悪そうな、侍従長が一番権力がありそうであった.


彼が、威厳を正して、ゼウスに向かっていうには


「その方は、どこから来て、これからどこに行こうとしている.その方の荷物を改めさせてもらった.各地の財宝、真珠に、サファイヤ、翡翠に、琥珀、なんとダイヤまである.金銀の貨幣、青銅の飾り物・・・そして、中に鉄製の、短刀が見つかった!その方、これで何をしようとしていたか?」


「それは、私が、行商で、アンブロシアを売った、対価として得たものです.あくまでもご信用でございます.あとは、とった獣の、肉を料理することくらいでしょうか・・・」


「あと、その方が大量に持っておった、油、何に使うつもりであったか?王様が建設中の神の神殿、杉の木でできるのを知り、火をかけに来たか?」


ソロモン王はずっと、ゼウスの方を見ているが、一言も発しない.かといって、ゼウスの心の声を聞いているわけでもなさそうだ.


不審者尋問は、主に侍従長のミカエルによって行われた.


ゼウスは、ここで思い切って、ソロモン王の心の中に直接話しかけてみることにした.


(王様、王様・・・・・)

はっとしたソロモンは、あたりを見渡した.宮殿内には、いろんな動物が飼われている.この玉座の間にいるだけです上野鳥と、犬と猫、トカゲ?カメに、ワニ・・・・


いろんな動物が飼われている.

王様は一つずつ、確認する.

(今私に話しかけたのはお前か・・・・)(違うよ・・・・)という感じである.


王様は正面に轢き据えられた若者を見た.


(お前か?私の心の中に話しかけたのは・・・)

(そう、王様、私は、ゼウス、ヘラスの国の、神、クロノスの息子です.今は訳があって、父に追われるみですが・・・)


「なんと!その方、ヘラスの国の神の神子だともうすか!」

(あ、王様、声がでかい・・・この侍従長の、なんとかってやつ、信頼できますかね・・・)

(う?ミカエルか?あのものが、私に精霊の声を聞く指輪を授けてくれた.腹黒いところもあるのは否定できぬが私は信頼しておる家臣の一人だ・・・)


(ソロモンの王様、あっしらの声、あのミカエルの大将には聞こえてますかね・・・)


(いや、私の心の声は、臣下には聞こえないようになっている・・・)






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