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「悲劇の誕生」

ニーチェは、ギリシャの悲劇をどのように見ていたか、今日は、彼の著書、

「悲劇の誕生」


を皆で読みながら、ギリシャ悲劇の意味を紐解いていこうということになった.


海丸くんが、まず前書きについて、原稿用紙、一枚にまとめてみた.


普仏戦争に服役した、ニーチェは、戦地でかかった、病気も回復に向かい、

「悲劇は音楽の精髄から誕生したのだ」という結論に至る.

音楽はわかるが、悲劇が、精緻かつ明瞭なギリシャで生まれたのは不思議な気がする.悲劇、ペシミズムと呼び変えてもよい、この「思想」は、社会が、衰退に差し掛かった時に生まれるものではないかという批判がある.インドにおいてはそうかもしれないが、現代ヨーロッパにおいては、それは必ずしも当たらない.戦慄的、過酷、邪悪なもののに対する知的偏愛、むしろこういう絶望的な事柄に対する、打ちまかしてやれ、と言った自分から好敵手を探して、自分を切磋琢磨するような意味があるのではないか、と思うに至った.陶酔、恍惚、乱痴気騒ぎの怪異なデオニソスなものが生まれた背景が最盛期のギリシャである一方、衰退に向かい始めた、時に、ソクラテテスが知恵が最も尊いと唱えたことは象徴的かもしれない.エピクロスの快楽主義は、悩めるものの用心ではないかと切って捨てている.さらに、科学については、恐怖・逃避に過ぎないのではないかと批判している.


「後期ギリシャ的な明瞭さ」は、夕焼けに過ぎないのではないか.


とも述べています.


「うーん、まずまずまとまっているかもしれないが・・・」ルシフェルの好評である.


悲劇は音楽の精髄から、という時に、なんで音楽が出てくる?そして音楽に対する説明が意向に全くない気がする.


「ペシミズム≒悲劇と言いたいことはわかる.

精緻かつ、明瞭なギリシャの思想の中でなんでデオニソス的なも、つまり怪異な現象がなんで生まれたか?それが音楽とどう関係しているかということが分かりませんね・・」


改めて皆で見てみたが、

「まあそれは後から本文を読んでみてください、ということなのだろうか・・・」

静香の意見である.彼女はあまり読んでいないから、海丸くんの短いまとめが頼りだったのだが・・・・


「彼がその序文で言いたかった要点は、悲劇の誕生が、ギリシャの最盛期に生まれて、知恵が最も尊いと言ったソクラテス主義は、ある程度ギリシャが落ち目になってから、生まれたということみたいです」海丸くんの説明である.


「さらに、快楽主義、エピキュリアンってことですね、これは、不安に駆られたやつの用心にすぎない時って捨てていいます.完全否定なんでしょうかね・・・」


「科学に対しても厳しい、目を向けてますね、ペシミズムに対する、逃避と恐怖の表れで、正当防衛とまで行っている・・・科学批判ですか?」


「あの、ギリシャの衰退期に、明るさを増したというところ、前に太宰治の右大臣実朝という作品の中で、読んだことがあります」愛ちゃんと健ちゃんのママの意見である.


平家は明るい、明るさは滅びの姿であろうか、人も家も、暗いうちはまだ滅亡はせぬ

と言いつつ、明るく、透明な、実朝自身は滅亡への道を突き進み、頼朝の開いた幕府、源氏の三代はあえなく滅びたという話・・・・


「ペシミズム、困難、悲しみ、巨大な敵、それに立ち向かう意思が大事ってことなんでしょうけど、それが、最盛期のギリシャでは常に行われていたから、悲劇が誕生した・・・」


「巨大な敵、上等、ここで打ち負かすのが、心意気・・・みたいな?」静香がいうと


「あ、僕これ読んだことがある、シラノド・ベンジュラーク、敵に打ち込みに行く時、江戸っ子のフランス文学の偉い先生、羽飾りだというところに、こころいきだ!と読み仮名をふったりしていた・・・」


「フランスの当時、王様は敵から目立つように、チャラチャラと目立つ羽飾りをしていた.それが、それが、高貴な者の務めであると主張するように・・・羽飾りは、まさに心意気の象徴でしょうね」ママが解説と、まとめをしてくれた.


「色々、面白い話になりそうですが、巨匠の書いた本、なかなか、さっと読んで、すぐに理解ってことはむづかしいですね、ゆっくり読み進めていくことにしましょう」

ドクトルがいうと、皆同意した.別館の図書室、はるなのお父さんの本棚にはニーチェの全集があるし、ドクトルも、家から、岩波文庫の青表紙を持ってきたいた.みんなで回して読んでみましょう.


ただし、ボールペンで線を引かないでくださいね.線を引くときは、鉛筆でお願いしますよ.


これは別館で本を読むときの約束である.

この決まりについても、皆、「はーい」と同意した.






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