表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/240

女とは、装いによって気持ちが変わるもの・・・

女とは、装いによって気持ちが変わるもの

って、知らんけど・・・・


レト様が来られたと聞いて、ママが急いで挨拶に来た.

愛ちゃんを出産する時にアルテミスには随分と世話になった、というか、あれだけ楽な、お産があるだろうか、というくらい楽なお産、だったから.


「アルテミスさん、みんなお母さんが教えてくれた、って言ってましたよ・・・」

「それは・・・違います・・・・」

レトさんは、ボソボソと小さい声で話す.

「あの子、私に気を遣ってそう言ってくれますが・・・本当は、私がアポロンを産む時、あの子が取り上げてくれたから、私もすごく楽をさせてもらったのです・・・」


消え入るような声である.アルテミスの助産術は、彼女の天性のものらしい.


いつの間にか、アルテミスとアポロンも客間に来て、レト様の隣でお茶を飲んでいる.


「まあ、あなたたち、いつの間に・・・・・」


「今日は、お母様を人間の世界にご案内しようと思いまして・・・」アルテミスもいつもボソボソ話すが、お母さんと同じ、ようなさらに小声でひそひそと話をする.


「お父さん、一緒に行きますか?」アルテミスが一応父親も誘ってみた.

「いいですよ・・・・」ルシフェル?


あの男がこんな話し方をするのは初めてきいた.


「ああ、この子、レトと話するときは、こんな感じなんだよ」おばば様によるとそうらしい.


「それでは、どうしましょう?原宿というおしゃれな街にでも行ってみましょうか?」アポロンである.


「賛成ですは・・・」アルテミス

「皆で出かけるのは久しぶりだね・・・ねえ、母さん」ルシフェルである.


なんか、こお、お上品で仲のいい家族みたいで、もうなんか訳がわからん.

とにかく、レト様は、家族、全員を優しく包み、話し方まで自分と同じように変えてしまう、

そんな女性なのである.


結局、愛ちゃんと、健ちゃん、ママ、レト様に、アポロンとアルテミス、おばば様とルシフェル、はるなと、静香で、表参道から、原宿を散歩しましょうということになった.


珍しい顔ぶれである.ドクトルはちょっと遠慮した.おしゃれな場所は私は場違いですという感じだろうか?


山手線で、渋谷まで行った.薬剤師会館の前を通って、青山大学の前を通って、青山通りに出た.子供の城は、閉館したらしい.

愛ちゃんと健ちゃんは、「なーんだ、残念!」

閉館は2015年だからかなり前か.ドクトルは青山通り通った時にまだあったらしい.


表参道をずっと歩いて、原宿駅近くの、おしゃれなカフェが並ぶ通り.

外に椅子とテーブルが並んでいるお店に入って、皆でお茶を飲んだり、甘いものを食べた後、ブティックに入ってみた.


「あなた、この服どうかしら・・・」レト様がルシフェルに聞いてみる.

「うん、お母さんが着るとなんでも似合うよ・・・」デレデレのゼウス=ルシフェルである.


「あ、でも白い服は・・・」アルテミスが、何やら心配している.

「ゼウスのやつ、何にも知らないみたいだね・・・」おばば様は半ば諦めた感じで囁く.


真っ黒の装いを、真っ白な、装いに変えた、レト様は試着室から出てきた.


明るい日差しが、店の中に差し込んだその時である.

彼女の体は、白い服本来の白さ以上に、明るい光をはなちだした


「おーほほほ!」


いきなりレト様が試着の服を着て、踊り出しそうになった!


「あ、まずい!」アルテミスと、アポロンが、慌てて、レト様を暗い店内に、連れ戻して、元の黒い服を着せた.


レト様は黒い服に戻ると、またいつものボソボソと小声の話し方に戻った.


しばらく何軒か洋服屋を梯子して、原宿駅の近くに来たとき、


何やら騒ぎが起こっているようである.

乱暴ものの若い男が、女の子をいじめているようである.やれやれ、とアポロンとルシフェルと、アルテミスが男を抑えに向かおうとした時.レト様に、そういうことで、あのならず者を制圧に参りますが、と言おうとして、振り向いたら、レト様はもういない、あれ、とまた道路の方を見ると、なんとレト様がゆっくり、乱暴者の方に近づいている.


「あ、やばい!母さん、やめて・・」アポロンとアルテミスが叫ぶ

「レト、やめな!」おばば様も鋭い声を上げた.


黒衣のレトは若い男に少しずつ近づいていく.

男は何事かと思う.黒い服のおばさんが近づいてくる.最初は下を見ていたおばさん、だんだんと顔を上げて、こちらを睨みつけてきた.


黒の服がだんだん明るい色に変わってきたように見えた.

そして、白い明るいドレスが、光を放ち始めた、と思うと


「おめえな!いいわけーもんが、女子をいじめるたあ、何事だ!」


あれ、誰の声?


大声の主はレト様だった.

ほんの数秒のうちに彼女はその大男の乱暴ものを殴り倒して、後ろ手に腕をねじり上げていた.


(レト様がアポロンを出産するとき、ヘラは、光が当たらない場所で、と厳命した意味が、分かった気がした・・・・)


おばば様は「あちゃー」という顔で空を見上げている

愛ちゃんと健ちゃんとママはあっけに取られている

ルシフェルも何が何だかわからない.

そのうちに警察の人が来て、その男をどっかに連れて行った.


原宿駅の向こうには、

右手に、神宮の森が、全ての光を吸い込むように鬱蒼とたたずみ、そして、

その左手には、現代の権力を象徴する、国立放送の建物が、全ての光を放散するように聳え立っていた.








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ