スーパーにお使い!
愛ちゃんと、健ちゃん、ママとはるなに頼まれてお使いである.
ただし、海丸君と、ドクトルの付き添いありで.
最初、はるなはドクトルにお使いを頼んだのだが、健ちゃんと愛ちゃんは、ドクトルがスーパーに行く、と聞いて、
「じゃ、僕たちもいく!」とお使いに志願して出たというわけである.
なんのことはない、ママや、静香と一緒に行っても、あまり、試食コーナーであちこちつまみ食いできないからだ.ドクトルと一緒だとそれが、思う存分できるというわけである.
別館の子供たちは、ポセイドンのおとシャンが、魚をたくさん届けてくれるのと、はるながママや、たまにくるヘスティアのおばさんが料理が上手なことから、好き嫌いが、ない.なんとあいちゃんはお刺身も食べられるし、この前は鰤しゃぶも「美味しい」と言いながら、大人たちよりもたくさん食べたくらいである.
別館の料理が美味しいのと、もう一つ好き嫌いのない理由、それは、ドクトルと行く、スーパーの試食が理由である.
スーパーのつまみ食いは一種の食育の一環になっているということなのだろう.
ドクトルが、ボソボソ何か言いながら、はるなに言われたものをどんどんカゴに入れていく.何もメモを見たりはしない.彼に言わせれば、「メモなんかなくても全部覚えてますよ」
彼の頭のいいところは、そういうことは大体覚えていることだ.まあ、ちょくちょく、忘れるものもあるのだが.
大体、はるなに頼まれたのをカゴに入れると、試食のおばちゃんたちに呼び止められるままに、試食をして回る.子供たちは、それについて回るということである..
この前の鰤しゃぶも、スーパーの試食で、「美味しい!」ということで、はるなに頼み込んで、夜のメニューにしてもらったのだ.
「ねえ、ドクトル、今日もぶりシャブ、あるかなー」と健ちゃん、
「ぶりシャブあるかな・・・」とあいちゃんもお刺身コーナーの辺りをうろうろする.
「あ、あった!」この前とはちょっと離れた場所、ポン酢のコーナーの近くで、鰤しゃぶの試食である.
小皿に乗せられた、鰤しゃぶにポン酢がかかっている.
「どうですか・・・」
この前のお刺身売り場と同じおばさんでなくてよかった.3人の子供を連れた、おじさん、大体、2、3回味見をしないと、わからないみたいである.子供たちも、大体、お皿を三つか、四つ、それぞれ、食べる.しかも、店が売り込んでいる、商品は、大体、買わない.しかしこのお客たち(買わないけどお客?)、でもあまりに美味しそうな食べ方なので、相手をしているという感じである.おばちゃんたちのモチベーションにもなろうというものである.
お店のおばちゃんは、黙って小皿を出してくれるし、なくなったら補充してくれるのは、この子供達の食べっぷりがいいからなのだ.
多分買わないのだけど、こんないい食べっぷりを見せられたら、おばちゃんも、
「お、ちびっ子たちいい食べっぷりだね、もう一個いくかい?」となってしまう.
「うん!」
ちびっ子たちが、元気よくおかわりを要求する.
「やっぱ、このスーパーのブリシャブは天下一品だね、あいちゃん!」
「うん、ブリチャブ、てんかイッピ、ねえ、ドクトル・・・」
おや、この子達、自分のお父さんのこと、ドクトルなんで呼ぶのだろうか・・・
愛ちゃんと、健ちゃんのお父さんは他にいることを、地域の人はあまり知らない.
次に呼び止められたのは、ソーセージの試食である.本場ドイツの地名の商品らしい.一本まるまるは出せない.そりゃそうだ.どうしても細切れなのだ.それが小皿にのっけられて、爪楊枝がついている.前には爪楊枝と小皿を捨ててくださいという、ビニールの袋がぶら下げてある.
「ねえ、ドクトル、なんで試食のソーセージ、あんなに小出しなのに、すごく美味しいと感じるのでしょうかね・・・」海丸君もスーパーの試食コーナーの魔力に完全に魅せられてしまっている.
「確かにね・・・・」そういう売り込み方のマニュアルが、あるのかもしれませんね・・・・
最近では、冷凍食品業界花盛りで、昔からあった、ミートボールとか、ハンバーグとか餃子だけでなく、いろんなのが試食できる.
その日は、5箇所くらい試食して、帰るのが遅くなって、別館についてからはるなに叱られたのはドクトルである.
「もお、いっつも寄り道して・・・・」さらに、頼んだマヨネーズを忘れている.
「それに、マヨネーズも、っていったでしょ、また忘れて!ほんと、ドクトルっていつもこうなんだから・・・・」
なんだ、ドクトル、俺はメモなんか見なくても記憶は完璧と言いながら、忘れてんのかい.
愛ちゃんと、健ちゃんも共犯なのに、ママとはるなに、今日、試食した冷凍食品のこと色々と感想を述べて、
「ママ、今度あれ買ってみて」と別館おメニューに反映させているのであった.




