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術後の鎮静.RASSについて.

ドクトル、久しぶりに開頭手術を行なった.術後、気管内挿管のまま帰室したので、鎮静をしっかりするように看護師さんに指示された.


RASS(Richmond Agitation-Sedation Scale)は、

術後・ICUでの鎮静レベルを客観的に評価するための指標としてよく使われる.


「深すぎず・浅すぎず」をコントロールするための世界標準スケールと思っていい.

RASSの基本構造(+4 〜 −5)


0が覚醒・落ち着いている状態

プラスが「興奮」

マイナスが「鎮静」


興奮状態

スコア状態

+4好戦的・危険行動あり

+3強い興奮、チューブ引っ張る

+2落ち着きなし、頻回に動く

+1やや不安・そわそわ


0は興奮も鎮静もない状態.正常状態.


鎮静されている状態

スコア状態

-1眠そうだが呼べばすぐ覚醒

-2軽い鎮静、呼べば開眼

-3声かけで動くが開眼せず

-4強い刺激でわずかに反応

-5全く反応なし


術後管理での「狙いどころ」


多くの術後・人工呼吸管理では:

 RASS -1 〜 -2 が理想

 理由:苦痛が少ない

 呼吸抑制が少ない

 せん妄リスクが低い

 神経評価が可能(←脳外科的にも重要)

 昔みたいに-4〜-5までガンガン眠らせるのは今は避ける傾向らしい.


深鎮静の問題点(RASS -4以下)

 人工呼吸器離脱遅れる

 ICUせん妄増える

 肺炎リスク↑

 循環抑制

 神経評価不能


「眠らせすぎは害」とはいうが、これが近年の集中治療の大きな流れらしい.

術後夜間に挿管チューブを自己抜管されても困るのだが.-2、−3くらいなら、その心配はあまりないのだろうか?呼吸器をしっかり使う場合には、一晩だけなら、-4,-5でもやむ終えないと考えるのが集中治療医やICUの看護師さんの立場、なのだろうか?


薬剤とRASSの関係

 薬剤特徴

 プロポフォール   調整しやすいが呼吸抑制

 デクスメデトミジン RASS -1〜-2向き(理想的)

 ミダゾラム     深くなりやすく、せん妄多い


挿管チューブが入って、呼吸器をつけているような場合はやはりプロポフォールを使ってしっかり眠らせた方が良いのだろうか?

最近はデクスメデトミジン(プレセデックス)推しなのも、呼吸抑制が少なく、しかもRASSコントロールしやすいから、なのだろうか?


実際の評価の仕方(簡単)

 ① 普通に声かけ

→ 反応あれば 0〜-3 を判定


② 反応なければ強刺激(肩叩くなど)

→ -4か-5


 痛み刺激を乱用しないのがポイント

 脳外科的視点で特に重要な点


 深鎮静=神経所見取れない

 浅鎮静=早期異常発見可能


だからRASS管理は術後脳管理そのものとも言えるというが、

プロポフォールとか、ミダゾラム、デクスメデトミジンは、脳圧や、循環に対する影響はどうなっているのだろうか?


いろんな問題が、絡むのでむづかしい.


AIに、RASSと自己抜管のリスクについて聞いてみた.

 RASS -2〜-3で自己抜管は大丈夫か?

 現場感覚としては:

   RASS -2:ほぼ安全

   RASS -3:多くは問題なし

   RASS -1:せん妄あると危険

   RASS 0以上:自己抜管リスク高


つまり、-2〜-3ならチューブ抜かれることはかなり少ないと言うことらしい.

「多少は患者さん、ゴソゴソするくらいは多めにみて良いのだろうか?」


自己抜管の多くは

 浅すぎる鎮静

 せん妄(特にミダゾラム後)

 痛みコントロール不足

が絡んでいる.単に「覚醒している」よりせん妄で興奮している方が危険という見解である.


一晩だけ-4〜-5はアリか?

これも現実的には:

 術直後・重症呼吸不全・ICPコントロール目的なら普通にやる

 集中治療医も看護師も「永続的深鎮静はダメ」「短時間ならOK」という感覚、らしい.


手術の翌日には朝から鎮静薬は皆スパッと綺麗にoffにして、午前中の遅い時間には、呼吸器もやめて、抜管できたら、理想なのだろうが・・・・・


この頃は、手術、あまりしないからな・・・・

特に全身麻酔の開頭術は・・・

この頃、と言うかここ数年は、慢性硬膜下血腫か急性水頭症の穿頭術ばかり、かもしれない・・・・・


30年前には、脳圧センサー入れて、体温を33度くらいまで冷やして、低体温療法、やっていたのに.呼吸器を使って、脳の循環と脳圧管理、お手のものだった、はずなのに.当時は、集中治療は、得意だと思っていたのに.


「一意専心」できないのも問題なのだろうかな・・・


病院の手元に、ICU Bookと言う本がある.


言い訳をするわけではないが、デクスメデトミジンが出たのは1999年らしい.

呼吸抑制のない、鎮静役として注目されたらしい.選択性の強い、α2刺激薬と言うことらしい.


その5年くらい後に、麻酔科の先生が、α2刺激薬が麻酔に使えると言うような院内講義をしていたように記憶している.


200μg/2mlのアンプルを、生理食塩水、48mlで薄めて、50ml、つまり、4μg/mlを

0.2から0.7μkg/時間で使うらしい.

24時以上使ってはいけないと、書いてある.

その理由は、興奮や、交感神経反跳現象が起こるからだと.クロニジントと同じことだと書いてあるが、そもそもクロニジンなんて薬を自分で使ったことはないのだけど・・・


RASSについてもICU Bookにはちゃんと載っている.

2003年に、JAMAに載った有名な論文があるらしい.


「へー、ちゃんとわかっている人にはわかっているもんだね」

(ドクトル、もう少しちゃんと勉強してください・・・・)とドクトルの独り言を聞いていた、ルシフェルや、海丸くんはそう思ったことでしょう.

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