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ギリシャの「輪廻転生」思想


別館の昼ごはんどきの皆の会話である.


遺伝情報と同じように、記憶も、子供や、孫に伝えられたらいいという話から、ヘルメスの息子の、アイタリデースの話になった.


アイタリデースはアルゴノウトの一人で、ヘルメスの息子である.


彼は父ヘルメスから、死後も消えない記憶力を授かったといわれている.このおかげでアイタリデースは生前から記憶力に優れ、生まれ変わった後もその記憶を持ち続けた.しかしそれだけでなく死後に経験したことや、生まれ変わったときのことも覚えているという.


トローイア人のエウポルボスに転生したときに、そのことを人々に話した.

さらにその後も、ヘルモティモス、ピュロスを経て、


ピタゴラスに転生したという.


「ギリシャの人たちにも輪廻転生の思想があるというのは、正直驚きですね.その元祖は、誰ということになっていますか?」ドクトルは、ルシフェルに聞いてみた.


「ギリシャの哲学者で、輪廻転生を最初に説いたのはピタゴラスと言われているかな.他にはプラトンもそれらしいことを書いているらしいね.」


Greek: μετεμψύχωσις

ギリシャの言葉に、「メテムプシコーシス」という言葉があって、英語ではそのまま、metempsychosisというらしい.英和辞典にも載っている.


「死後に霊魂が、他の人体、あるいは動物体にうつること」

 日本語では、輪廻転生/魂の移住


「魂を他の体に移すのは、プシコポンポス・ヘルメスの仕事、ということですか?」

ドクトルがルシフェルに向いて話すと、彼は「さあな、どうだい、ヘルメス?」

と直接本人に振った.


「親父、俺、そういうこと考えたことなかったすよ.でも色々とスパイの働きして、メモなんかなしで記憶しないとダメで、つっても俺らは文字なんかができる前から記憶をしないとダメだったわけだから、それこそ、ソクラテスが文字を拒否する前から、文字そのものがなかったってことになりますが.とにかく、頭の中に覚え込むしかなかったわけでさあね.」


「ヘルメスさんの子供さん、皆、あなたの能力を強く受け継いでいますよね


透明になるとか

牛を盗むためのテクニックとか

・・・・・・」


「そうなんだよな.あとは記憶だな.これらの俺の能力と言われているのが、人で発揮されるとしたら、俺の息子たちが、ということでアルゴーの仲間に加わったってことでねえの.しかし、俺とか、息子のアイタリデースが、輪廻転生なんて考えを唱えたことはないはずだから、ピタゴラスあたりが言い出しっぺでねえの?奴らは、転生した友達が牛だったりすると困るからって、肉食厳禁なんだよな.神々で肉食厳禁とかいう話は聞かねえからな.むしろ肉の生贄捧げないと、神託教えません、願いを聞きません、ご加護与えませんてのが多いからな.思想としてまとめたのは、やっぱりピタゴラスかね?

東洋の思想の輪廻転生も、そうだよね.仏教とか・・・・・」


「ウパニシャッド哲学は、輪廻転生から、解脱する方法を模索すると参考書には書いてありますね、バラモンとか?」

静香が倫理社会の教科書を図書室から持ってきていう.

「インドでは、何に生まれ変わるかわらない、転生はなんとか逃れたいってことなのでしょうか?」


「玄武さん、どうなんですか?」ドクトルが牛肉が禁忌のインド出身の神に聞いてみた.

「そもそも私が、ギリシャに修行に来てから長いですしね、戒律は守っていますが、そもそも私も神々の端くれで、不死なので、輪廻転生、むしろ管理する側なのでしょうか?それは、ヘルメスさんと同じ、なんじゃないですか?死ななければ、転生する必要もない.寿命の限られた、人間だけが、転生して、輪廻の無限ループの中で苦しむことになるということでしょうか?」


(無限ループからの離脱・解脱は、インド哲学のキーワードかもしれないな・・・)


[ギリシャとか、ピタゴラスとか輪廻を唱えたという記載はありませんね、でも転生という言葉はある・・・」海丸くんもその参考書を手に取ってみてみた.


倫理社会の教科書、ピタゴラスについて書かれている部分である.


肉体は魂の牢獄ソーマ・セーマで、これはピタゴラス学派の言葉であるとされている.彼らの考えでは、人間は肉体を持つから、死は免れないが、魂は不滅で、他の生物に転生していくと考え、その魂の浄化のために厳しい禁欲的な生活を送っていた.そして、魂も音楽も数学も、さらに宇宙さえも「数」によって調和を保ち、秩序建てられていると考え、教団では厳しい修行とともに、数学が永遠なるものに関わる学問として尊ばれた.


さらに、プラトンが、パイドンの中でソクラテスの哲学を「死の訓練」としていること、


ギリシャの思想では死とは霊魂が肉体から離脱することであり、

霊魂の機能である知的思索は肉体にしばしば歪められている、

そこで人間は思索に徹して肉体に囚われない魂の浄化と解放に努めなければならない、これが死の訓練であり、哲学であった・・・


と書かれている.


「要するに、霊魂が、肉体を離れた時のために、魂を磨くことが、彼らの目標だった、ということなのかな・・・」ドクトルはまだ理解が難しいらしい.


「ブッタの教えも、結局は魂を鍛えることで、無限ループから解脱しましょう、と言っている、ということなんでしょうかね・・」静香は納得はしていない、が無理矢理この辺りで結論にしたいと思っているらしい.


ピタゴラスは紀元前6世紀、ブッダは、紀元前5世紀から4世紀の人.


思想的な交流が、あったとは思えない.それとも、仲介する誰かがいたとしたら・・・


ヤスパースは、紀元前8から2世紀を人類の思想史上の「枢軸時代」としている.


中国では、孔子、老子、墨家などの百家争鳴

インド、ウパニシャド哲学、ブッタ


イランのゾロアスター

パレスチナではイザヤ、エレミアといった預言者が現れ、


ギリシャのホメロスの叙事詩、「イリアス」、「オデッセイア」、ヘシオドスの「神統記」は紀元前7世紀に書かれたらしい.

その後に続いて、自然哲学者たちである.、タレス、ピタゴラス、ヘラクレイトス、エンペドクレス、デモクリトス、

ソクラテス、プラトン、アリストテレスもそうか、


同時多発的な、思想的な発展を推し進める巨人が出た時代である.

何が、人の思想を発展させたのか?人の知的機能を発展せしめる、大きな力が働いていたとでも?


「人類の思想史上の大いなる謎、ですね」ドクトルは少し興奮気味に話していた.




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