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アルファベットか象形文字か?


表題は、遺伝子情報の簡便さと、タンパク質の膨大な多様性を対比したたとえである.


前回の話の続きである.運搬RNAがどうやって、20個のアミノ酸を識別するか?という話である.


遺伝子の情報は、4x4x4=64通り

それを縮重させたり、開始と、終了の情報を特別に入れたりで、20種類のアミノ酸の情報を決める.


しかし、実際に、どの運搬RNAが、どのアミノ酸を運ぶのか?


「結局、tRNAの立体構造?」ドクトル.

「そう言われてみれば、酵素の反応とか、結局はタンパク質の立体構造だな・・・」とルシフェルも同意する.


「それじゃ、まるで、アルファベットを使っておいて、重要な情報のやりとりは、象形文字でやります、って言ってるようなものですよね・・」海丸くんはいつもながら、鋭い.


ここでまた一同、お得意の、「うーん・・・」である.


「情報のやりとりは、できるだけ簡便に、デジタル的にする.情報の認識の誤りがすくない?アナログ的、画像的にすると、なんとなく正しいことはわかるが、間違えやすいとか・・・・・」海丸くんが続けると、


「遺伝情報は、塩基4つだから、デジタルみたいに1か0ではないけどね.しかし、赤・青・緑で全ての色を表現する、のと、似てはいる.だからデジタル的な情報処理?」ドクトルの意見である.


「ここでまた、遺伝子が先か、タンパク質が、先か、っている問いに逆戻りですね・・・

そもそも生命は、気の遠くなるような、時間を費やして、遺伝子やら、タンパク質やら、いろんなものを使いこなして、進化してきたのだから、理屈で、どっちが先で、なんてこと言えないのでしょうかね」静香はやや認識論的な悲観論に陥りそうである.


「エネルギーを消費してでも秩序を作り出すのが生命の本質であるとしたなら・・」と言い、少し間を置いてから続ける.


「その秩序形成に用いる、エネルギーは必要最小限であるべきという方向性で進化したのが生物である、と考えると、エネルギー効率的に最もパーフォーマンスが良いのが今の形として残った・・・・」ドクトルがもまた哲学的に総括しようとした.


「それを言ったらキリがないから、今はわかっていることわからないことを整理して、先人たちはどう解決したか、という問題に戻るべきだろうな.だから、運搬RNAはどうやって担当のアミノ酸を認識するか!この問題を立ち帰って、これを中心に考えてみてはどうだろう.」


年長ルシフェルが議論が変な方向に向きそうなのを修正した.この辺が彼のすごいところなのだろう、さすが、最高神!


「考えてみれば、DNAの複製も、RNAに転写するのも、皆タンパク質でできた酵素の働きですものね、遺伝子が先か、酵素が先か、なんて考えてもキリがない.化学の方法は、なんでそうか?というより、実際はそうだ、ということを証明して積み重ねることですものね」と、静香の言うことが科学の方法論と哲学の違いということになるのかもしれない.


「あ、今思いついたのですが、文字がデジタル的がいいか、象形文字がいいかという話.広く正確に情報を広めたいとしたら・・・・

デジタルの情報なら、ノイズが少ないから遠くに、そして広く情報を広めることができる.その点、タンパクじゃダメだ.象形文字も読める人が限られているから広がらない.増せない・・・・本質はそういうことですね.」ドクトルの意見である.


皆、「確かに・・・・」と静かに頷いた.


一神教の普及は広く、その狭義は統一的に語られる

多神教は、狭く、カオス的に語られる.


一神教の普及と、アルファベットの開発が同じ時期、同じ東エーゲ海あたりでできたとする、本村凌二先生の説が、ここでも納得される.


図書室のドアが開いて、

「よお、久しぶりだな、海丸、鎧の具合はどうだ?この前、龍になったんだってな、アテナに聞いたぜ」


「あ、おかげさまで、なかなかいい感じでした、銃撃戦ではなかったですがね・・・」


おお、ヘパ社長が別館に久しぶりに来た.アテナと四天王もいる.なんと今日は、会社の作業着を着ている.


会社とは、「オリンポス工業株式会社」作業着は、その中央最先端技術研究所で皆が来ていたユニフォームである.


「お頭、また、なんか面白そうなこと議論してますね、俺らも混ぜてくだせえ」


ヘパの言うお頭は、最高神、ルシフェル=ゼウスのことである.

彼がいうと、山賊の頭領の印象である.


「おうよ、ヘパ、おめえ、また例の、DNAロボット、いじくって、どうこうしようって企んでるな」


どこかの金持ちの家に盗みに入る相談のようだ.

「雲霧仁左衛門の如し.」と心の中でドクトルは思った.(個人の印象です)


「へい、お見通しで・・・」


ヘパイストスがいうのは、静香の言うように、DNAが、先か、タンパクが先か、という問題を、DNAロボット、「螺龍」で再現できないか、ということらしい.


「アテナや、弟子どもと色々議論してな、もうちょっと、タンパク質の酵素を絡めて、螺龍の動きを細かく調節するようにできねえかな、ってことなんだ.そうすることで、いろんな、視覚実験とか、イメージトレーニングもできるしな.しかし、そう言ったこと、実際の仕組みがどうなっているか、を知らないと、嘘になってしまうから.教えてもらいに今日は、皆を連れてきたわけさ」


「ヘパの親方、今の問題はですね、運搬RNAがどうやって,20種類のアミノ酸を認識するかって話なんですよ・・・」


「それは、アミノアシルtRNA合成酵素の働き、なんじゃないの?」

アテナがいきなり本質的なことを提示してきた!


「アミノアシルtRNA合成酵素?」海丸くんは復唱するのみ.

「それは一体どういう・・・・」静香


「じゃ、そこから、色々勉強してみましょうか」

とドクトルが方向を示したところで、今日は終わり.


続きはまた今度.

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