苦情の嵐、「モンスター」の襲撃
「キーンコーンカーンコン」
授業終了の鐘が鳴った.子供たちは起立、礼もしないでぞろぞろ教室を出て行く
「なんやね、結局は惚気か、あほちゃうの」(生徒A)
「なんで授業で先生の家のこと聞かんとあかんの、ねえ」(生徒B)
「これまでの授業も、あまり大したのなかったですが、その中でも今日の授業は最低でしたね」(メガネ、きらり、と引き上げて秀才の海丸くん)
「ん、まに、だいたい、生徒舐め腐っとんのか、あんな授業しくさりおってからに、せやから、学校、もうあかんのちゃう、ちゅうて、みんなゆうとるんや」(不良C)
子供たちの評判は全然ダメな授業であった.宿題のレポートを提出した生徒は一人もいなかった.親御さんからの苦情が多く学校に寄せられたことは言うまでもない.
なかには直接、学校に怒鳴り込んで来るお母さんもいた.
「ちょっとセンセ、うちの子に聞きましてんけど、あの、先生、ちょっとほんまに困りますねんけど、あんなこと言いはったらー」関西の人の言葉には勢いがあるが内容がない.なんとなく言いたいことを雰囲気で伝えるが語彙が貧弱である.
「授業ちゃんとしてくれはらへんってうちのこ、いいますのよ、奥さんの惚気話とか児童虐待とか、恐竜の話とか、何、考えてはりますの、もうちょっとちゃんとしてださい」実際とちょっと違った理解をする.奥さんの話の中で恐竜やら、児童虐待やら、惚気の話をしたつもりだが.だから並列ではないのだ、これみんな奥さんの話、と思っても言い返せない.おっしゃる通り、学校の授業でする話でない、と思う.
「先生、ちゃんとしてはらへんと、うちの子の将来台無しですは、どないやって、責任とらはるつもりですのん」(長細い<の字が、上に書いてある.音楽符号のクレッセンドのつもりである)バーンと.机を叩く.だんだんと声が大きくなって、そのうちものにあたる.
「はい、はい、あの申し訳ございません、はい、もうちょっと考えて・・・」
魔界の者どもの首領のはずのルシフェルが、それ以上のモンスター・ペアレンツにたじたじとなった.背中は冷や汗でびっしょり濡れている.おしっこをちびらなかったのは不幸中の幸いである.
遠くで風のような鈴のような音が聞こえる.耳を澄ますと子供の声のように聞こえる.
「ルシフェルのお父さん」
「お父さん、起きて」
「ルシフェルのお父さん、朝だよ、起きて」
「お父さん、ぐっすりだね、朝だよ起きて」
「お父さんぐっすりだね、なかなか起きないね」
「じゃみんな、あれをやるよ」
「わかった、あれだね、みんな、い、せい、ので、だよ」
「い、せい、ので」雪割草たちが、一斉に叫ぶ
「起きろーーー」じりじりじり、枕元の目覚まし時計が鳴るのが同時だった.
ガバと起き上がった、ルシフェルがいう「は、夢だったかー、よかったー」としみじみいう.
「それにしても怖い夢だったな」なんとルシフェルは先生になった夢を見たらしい
「お父さん、夢でよかったね」
「お父さん怖い夢見たの」
「今日はいい天気だよ」
「お父さん、おはよう」
雪割たちが優しく話しかけてくれる.
「ふー夢でよかった!」と夢から覚めてこんなに安堵したことがこれまでにあっただろうか.とにかく、怖い夢だった.
「人間の先生、頑張れよ!」
自分は完敗だったくせに、ささやかなエールを送るルシフェルだった.
それ以来、ルシフェルは、家庭のことについては固く口を閉ざすことになった.
(学校はどないしまひょ.普通の人の子供も入れる設定にしまひょか?精霊の子供たちは標準語、でまあそんなに文句言わへん.人間のこどもが皆大阪弁で、人間やのに、親はモンスター、ちょっとおもろない?著者が、編集者やAIと色々打ち合わせのようである)




