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症候学③「呼吸困難」

呼吸が苦しい、という訴えは多いかもしれない.


 呼吸は通常何の不快や苦痛を感じることなく無意識下で自動的に行われている.しかし、

 呼吸器疾患

 循環器疾患

 神経筋疾患

 貧血

などの患者ではしばしば、労作に伴って、あるいは安静時においてさえも呼吸に伴う不安、不快、苦痛を、「息苦しさ」、「息切れ」として訴える.


 健常者でも、鼻閉、発熱があると、

 妊婦でも、息苦しさを感じるし、

 不安や緊張によっても呼吸が強く意識されることがあるし、

 激しい運動をすれば身体に異常がなくても、

 誰でも、「息苦しさ」を感じる.


病的なものと想定される時に症候学上の「呼吸困難」と称する.


呼吸困難度分類として、修正MRC(medical research council)スケールを用いる.


ドクトルが選んだ、5大症候のなかの「呼吸困難」から詳しく教科書を読んでみる.


まず、呼吸困難の起こり方が重要らしい.


突然発症の呼吸困難をきたしうる疾患.

気胸、

肺動脈塞栓、

急性心筋梗塞、急性冠動脈症候群といったところか?

あとは、異物誤嚥、

刺激ガスの吸引、

と記載がある.


青酸カリ中毒とかどうなるのだろう?休息に呼吸障害が起こって呼吸の苦しさなんて感じないうちに死んでしまうのだろうか?幸い、自分は青酸カリ中毒の患者さんを見たことはない.


急性心筋梗塞で僧帽弁乳頭筋が断裂した場合、どうなるのだろう?僧帽弁逸脱みたいになると、手術以外に救命する方法があるのだろうか?カテーテル操作で、僧帽弁置換ができると救命できるのだろうか?ECMOみたいな、体外循環、呼吸の代替えが即できるところだと助けることができるのか?などと考えてしまう.院内発症で、心臓外科、循環器内科で積極的な治療のできないところではむづかしいか?


急性増悪の呼吸困難、急性重症肺炎、急性間質性肺炎、ARDS、急性肺水腫、アナフィラキシーと言ったところだろうか?


随伴する症状として、

喘鳴:気管支喘息発作、アナフィラキシーや感染の伴う、喉頭浮腫、喉頭痙攣

痰のない咳を伴う場合:気胸、急性間質性肺炎、急性胸膜炎

胸痛を伴う場合:気胸、急性胸膜炎、急性肺動脈血栓塞栓症、急性冠動脈症候群

発熱を伴う場合:急性重症肺炎、急性間質性肺炎、急性胸膜炎、肺梗塞

喀血を伴う場合:悪性腫瘍、気管支拡張症、結核、び慢性肺疾患に伴う肺出血・・


身体所見

呼吸のパターン

Kussmaul呼吸は深く、早い呼吸は糖尿病性ケトアシドーシス

Cheyne-Stokes呼吸は広範囲な大脳の障害?綺麗な、強くなったり弱くなったりの呼吸パタン.

浅くて弱い呼吸は、麻薬や、ベンゾジアゼピン中毒、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群や、ALS・・・・


聴診所見

喘鳴、wheezeは呼気呼気に強い、気道の狭窄音.喘息やら、COPD

stridorは,吸気>呼気で見られる、上気道の狭窄音.喉頭浮腫、アナフィラキシーや、挿管ューブを抜管したあと、特にステロイドを使わないで抜管した後など・・・


検査は、

パルスオキシメーターで酸素飽和度見る、

動脈血液ガス分析、

一般採血で、CBC(complete blood count)、血液生化学、凝固系、

腫瘍マーカー


喀痰検査、細菌グラム染色・培養


胸部レントゲン、胸部CT

必要に応じて気管支内視鏡、

心臓エコー、心臓カテーテル検査

・・・・・・・


「内科の教科書の記載は大体こんなところですね」ドクトルはいう.

「実際に呼吸困難の患者の診断とか治療、どうやってた?」


それほど多くない経験、大体は当直の時に、出くわして、そして専門の先生に全面的にお任せが多かったのですが・・と前置きして、


「自分の経験ですと・・・・」


若い男でいきなり呼吸が苦しいと言ってくるのは「自然気胸」と相場が決まっている.顔を顰めて息が苦しい、と訴えて、特に痩せ型の男の人が呼吸が苦しいと言ってきた時には、まず胸の音を左右で聞いて、どっちかの呼吸音が弱ければ、まず間違いない.胸部レントゲンとCTで確認か.


「胸腔ドレナージ、私は医者になって2年目、東北地方の日赤病院で、心臓血管外科の先生、同級生で外科に行った先生、さらに彼のオーべんの外科の先生、周りを4人くらいの先生に囲まれて、それこそ手取り足取りでもないですけど、懇切丁寧に教えてもらいました、あそこまで豪華なメンバーで教えてもらえるなんて、他の病院ではついぞなかったことですね・・・」


「それからは、他の病院で、整形外科の先生に教えてあげたり、しましたね.」

「ほお、それはいい経験だね」


「土曜日に脳外科の外来診療をしていて、2週間くらい前に、下痢とか胃腸炎の症状があって、受診の前の日頃から、手足の力が入りにくいし、なんか呼吸が苦しい、といって旦那さんに連れられて、こられた、30代くらいの女性がいました.確かに筋力低下・・・構音障害はない.呼吸は浅い?

ギラン・バレー症候群?ゴルゴ13じゃないですが・・・

そこは脳外科単科の病院だったので、近隣の神経内科のしっかりしている病院に片っ端から当たることにしました.断られたら、ガンマーグロブリン大量療法とか、ステロイドのパルス?じゃなくて、血漿交換か、無理無理・・と考えながら.でも最初に問い合わせをした病院で、転送OKをもらってよかったです.治療はうまくいったみたいで、無事に退院されて、お礼の手紙を旦那さんからいただきました.治療をしたわけでもないのに、感謝されるのもなんか悪い気がしないのですが・・・」


「あとは、脳外科、重症の呼吸障害になる人多いのですね、例えば、くも膜下出血で、あとは誤嚥性肺炎で、ARDSになってしまう、そういった患者さん、挿管して、呼吸器の使い方、3年目くらいで結構自分が担当で任されて、ある程度自信持ってできるようになったりはしましたが・・・でも呼吸器、どんどん新しい機械が出て、換気法とかも新しいのができてきて、よくわからなくなってしまったかもしれません.」


それとなんの前触れもなしに、上気道の狭窄、あれは何が原因なのでしょうと思うことは多いですが、一人、抗凝固薬を飲んでいる人で、転倒して、首を痛めた後に、stiridorが出て、窒息しそうな方がいました.CTを見ますと、頚椎前の筋層なんでしょうか、いわゆる、retropharyngeal spaceですか、そこに分厚い血腫ができて、気道狭窄が起こった方がいました.気管内挿管の後、結局気管切開が必要になった人はいましたが・・・・


いろんな病態があるものですね・・・・


「呼吸障害で、気管内挿管チューブを交換する時・・・手際良く交換できたらいいのですが、チューブを抜いて、喉頭展開して、よく見えない時は本当に焦りますよね.アンビューで換気しても、だんだんと徐脈になってきたりしたら・・・・他にベテランの先生がいて助かった(私も、患者さんも・・)ことが、何度かあったと思います」



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