表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/140

症候学①「5大症候はこれだ!まずは意識障害から」

症候学①「5大症候はこれだ!」

医療で大事な、5大症候があるとしたら、以下だと思う.

ドクトルが独断で選んだものである.


1.意識障害

2.胸痛・胸部苦悶、呼吸障害

3.腹痛

4.発熱

5.全身の皮疹


と書いてみて、果たして5.がそうだろうか?と思ってしまう.

2を分けるか、


それでは以下のものを5大症候とした.


1.意識障害

2.胸痛・胸部苦悶

3.呼吸障害

4.腹痛・腹部膨満

5.発熱


「おお、これで大体の重症疾患、外傷の対応が可能ではないか・・」

ドクトルがルシフェルに聞いてみた.


「うーん、まあいいんでねえの・・・・」

あまり関心がないらしい.


この前に並べた、症候を書き出してみましょう.教科書の順に・・・



発熱

発疹、皮膚色素沈着

黄疸

腹痛

悪心・嘔吐

食欲不振

胸焼け、ゲップ

吃逆しゃっくり?しゃっくりをきたす疾患なんでそんなに色々はない気がするが・・・

口渇?

嚥下困難

便秘

下痢

吐血

下血

肝腫大

脾腫

リンパ節腫大

浮腫

腹部膨隆

くも状血管腫・手掌紅斑

腹水

甲状腺腫

肥満

るいそう

バチ指・チアノーゼ

Raynaud症状

胸水

貧血

出血傾向

胸痛・胸部圧迫感

呼吸困難

いびき

異常呼吸

動悸

咳・痰

喘鳴

喀血・血痰

血尿

乏尿・無尿

多尿

脱水

排尿障害

四肢痛

関節痛

腰痛・背痛

意識障害

失神

頭痛

痙攣

運動麻痺

めまい・耳鳴り

成長障害


なんと52項目である.並列で、それぞれをチェックするのは現実的でない.上記の5大症候は、他の症状を様々な組み合わせてきたしうるから、より包括的な鑑別診断が可能になると思うのだが.


「下血があっても、別に腹痛がないことってなくはないか?」ルシフェルの指摘である.

「確かに私も潰瘍性大腸炎で頻回の下血を起こしたことがありますが・・・渋りはあっても、腹痛まで行かないことがあるのは事実です.そして貧血で、ヘモグロビンが、6g/dlくらいになって初めて近所の開業医のところにかかったら、

こんなになるまでほっといて、お前はそれでも医学生か、と説教されましたけど・・・」


「それに肝硬変なんて、腹痛はねえだろ、腹水で腹部が腫れるのは、末期だろうし」

ルシフェルはこういうツッコミがものすごく鋭く容赦ない.


「もちろん、これらの症状は、相互排他的ではありませんから、腹痛が起こって、意識障害もある、っていうこともあるでしょうから・・・」


「そもそも意識障害の患者、腹いてえ、なんて言わないんじゃねえ?」またまたルシフェルの鋭い返しである.


「おっしゃることはいちいちごもっとも・・・」

確かにご指摘の通りです.です、とルシフェルのいうことに賛同するしかない.


「重症のくも膜下出血で、意識障害があって、急性肺浮腫で、ARDSみたいになる患

者もいるし、肝硬変がこじれりゃ、意識障害にもなるしな・・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「私があげた、5大症候から順に教科書を見ていきます」

ドクトルは自分で描いたストーリーをなんとか前に進めようとする.


まず意識障害・・・

なんと、半ページ、だけ.しかも書いたのが、あの、中田力先生だ.新潟大学特任教授とあるから間違いない.


あの、というのはこの先生、新潟では知らぬものはいないほどの有名人だ.悪い意味ではない.ドクター・トムとして、新潟日報に小説が連載された方である.3T-MRIを引っ提げて、カリフォルニアから帰国して、脳の機能解析を新潟で始めた人である.


まず、意識の定義である.さらりと3行ほどにまとめている.


「意識とは、覚醒した個が、自己(self)と外界(surroundings)との関係を認識している状態、言い換えれば今していることが自分でわかっている状態をいう.」


定義に続いて、

「唯物論の立場を取る医学において、意識の根源は賦活された大脳皮質の活動と定義され、したがって、正常な意識を維持するためには、賦活される大脳皮質とその賦活を維持する網様体賦活系(reticular activation system :RAS)の正常な活動が不可欠とされる」


意識障害の程度による分類を、


昏睡 coma:覚醒が全く得られなくなった状態.


昏迷 stupor :深い刺激にたいする回避行動などの反応が見られる状態.


傾眠傾向 drawsiness,somnolence:刺激により、、大脳皮質機能も確認出来るが、自分自身で覚醒を維持できない状態.


錯乱状態 confusional state:覚醒が維持されて、大脳皮質機能も確認出来るが、正常な認識力に欠けている状態.


植物状態 vegetative state:網様体賦活系が正常に働いているにもかかわらず、大脳皮質による情報処理能力が認められない状態が慢性的に継続した場合.


Japan coma scaleや、Glasgow coma scaleに関する記載が一切ない!


病態生理 

障害部位は大脳皮質の広範囲な障害、または

RASの障害


原因疾患は

大脳皮質の障害は、代謝、薬物、感染

後者は、腫瘍、外傷、虚血による脳幹障害


鑑別疾患は、具体的には書かれていない.

疾患の各論は別の場所で、とのことだった.


国試対策のあんちょこ、あるいは、研修医に対するサービスとしての標語

AIUEOCHIPSなんて、記載は一切ないのは、さすがというべきでしょう.

折角だから書き出してみようか、これが原因疾患隣うる、病気をリストアップするのには大事かもしれないが.


A (Alcohol)         急性中毒、ウィルニッケ脳症

I (Insulin)         低血糖(真っ先に疑うべき!)、高血糖

U (Uremia)         尿毒症

E (Endocrine/Encephalopathy) 内分泌疾患、電解質異常、肝性脳症

O (Oxygen/Opiate)   低酸素血症、薬物中毒,(一酸化炭素ちゅ毒も?)

T (Trauma/Temperature) 頭部外傷、熱中症、低体温

I (Infection)      髄膜炎、脳炎、敗血症、肺炎、腎盂腎炎

P (Psychogenic)      心因性

S (Stroke/Seizure)    脳卒中、てんかん重積


アメリカの研修医向けの教科書にワシントン・マニュアルというのがある.自分が持っている本は、ずいぶん昔の販だが、今でも皆、研修医の先生、買う本なのかな?


救急できた意識障害の患者に何をするか?


とりあえず、

ブドウ糖、

ビタミンB1,

麻薬拮抗薬のナロキソン


を注射しとけば、大事な、低血糖、ウェルニッケ脳症、麻薬中毒はカバーできるでしょう、ということらしい.


いかにもアメリカ的かもしれない・・・・

しかし、麻薬中毒かどうかは既往とか、縮瞳傾向とかでわかるし、ベンゾジアゼピンの時は、ナロキソンは効かないだろうし、ビタミンB1不足、なんとなくアルコールばっかり飲んでいて、ちゃんとご飯食べなくて一人暮らしで・・・という患者のイメージみたいなのがあるし.低血糖なんかは、血糖チェックは数秒でできることなのだから、検査してからでも遅くないのでは、と思う.注射を詰めている時間より、早くわかることだと思うが、と余計なことをいろいろ考えてしまう.


中田先生流にいえば、

大脳の広範囲な機能障害をきたしうるもの、

脳幹の網様隊賦活系を圧迫するとかその機能障害をきたす病変の有無を探して、その原因に対する治療をしなさい、ということになるか.


でっかい脳出血やら、慢性硬膜下血腫、大脳半球の大部分を占める、髄膜腫、内頸動脈、脳底動脈の閉塞、これは、CT、MRI/MRAを撮ったらわかる.


「しかしなあ・・・」ドクトルはいう.続けていう.

「低血糖、血糖20〜30mg/dl代でも、意識障害がなくて、一見ラクナ梗塞みたいな、麻痺と、構音障害、なんて例が結構あって、MRIの所見をまとめたことがあるんだけど、そうなると、もうわけがわかりませんね・・・・」


「結局は、意識障害という症候だけでなく、他の症状、検査結果も合わせて、総合的に診断に至り、原因に応じた治療をしないとダメだ、ってことだな」ルシフェル大先生の総括であった.






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ