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内科の「症候学」について

お断りしておきたいのは、私は決して、内科の先生方に喧嘩を売ろうとしているわけではありません.あらかじめ・・・


朝倉書店、内科学 第11版

不思議な本である.


目次を見ると


1.内科学総論

2.老年医学

3.心身医学

4.症候学

・・・・・・・・


症候学、前書きもなんもなしに、4−1でいきなり、「発熱」ときた.


症候学とはどういうことで、具体的に症状から、疾患の鑑別疾患がこういう病気が考えられますという、症候学総論のような記載があって、各論として、いろんな症状、

例えば、

発熱

リンパ節腫張

息切れ、

動悸

胸部くもん

むくみ

血尿

腹痛

・・・・・

いろんな症候について、鑑別となる疾患を挙げると思うのだが・・・

初学者には何が何だか分からないのではないかと、学生の時の勉強はそこそこで、臨床経験、うん10年、しかも内科の医者ではないドクトルは思った.


学生の時にそれほど勉強したわけではないのだが、やはり、内科学は臨床医学の基本なのだからその辺の教育はしっかりしてもらいたい、と、これまた教育病院に教育担当医として勤務したことのない、医者の気楽さで思うのであった.


症候学、具体的にどんな症状が並んでいるのかな?


発熱

発疹、皮膚色素沈着

黄疸

腹痛

悪心・嘔吐

食欲不振

胸焼け、ゲップ

吃逆しゃっくり?しゃっくりをきたす疾患なんでそんなに色々はない気がするが・・・

口渇?

嚥下困難

便秘

下痢

吐血

下血

肝腫大

脾腫

リンパ節腫大

浮腫

腹部膨隆

くも状血管腫・手掌紅斑

腹水

甲状腺腫

肥満

るいそう

バチ指・チアノーゼ

Raynaud症状

胸水

貧血

出血傾向

胸痛・胸部圧迫感

呼吸困難

いびき

異常呼吸

動悸

咳・痰

喘鳴

喀血・血痰

血尿

乏尿・無尿

多尿

脱水

排尿障害

四肢痛

関節痛

腰痛・背痛

意識障害

失神

頭痛

痙攣

運動麻痺

めまい・耳鳴り

成長障害


・・・・・・・・・・

違和感の理由はおそらく、総論なしで症候の各論を論じるからだと思う.

心筋梗塞では、血尿はおこらないだろうし、

耳鳴り、めまいを論じるのであれば、なんで難聴について言及しない、目次に明記しないのか、の問題がありそうだ.


どうせ、臓器別疾患の横割りの悪習に毒されている日本の医学教育、いっそのこと、各臓器別疾患を論じる時、その総論として考えうる症候学について論じればいいだけでないかという気がする.


中途半端な、症候学を教えるから、「意識障害」、即、「脳外科医を呼べ!」

という内科医が、失神と、てんかん、の区別が付かないで、大動脈弁狭窄を見落としたりするという失態をしてしまうのだ.


教育の不備、意識消失は「脳外科疾患」という誤った教育のおかげというか、それなりの経験をさせてもらってはきたが・・・


三度のAVblockで意識消失して、派手に転んで顔面打撲で、脳外科で初診した人がいた.即、循環器科に相談して一時pacingである.


HOCMの患者、なんで、意識消失した患者のこと相談する先が脳外科?訳がわからん.この患者には当座、ベータブロッカー使うということは、実際に患者見て、循環器専門でもなんでもない、脳外科の医者が知っていることなんだから(このことを初期研修医の先生に話したら、感心された.「先生よく知ってますねー!」褒められているのかバカにされているのかわからん・・).


救急室から呼ばれた例では、「意識消失の女性、頭部CTで下垂体に腫瘤があります」とのことで脳外科の自分が呼ばれた.三次救命施設である.CTで見られる下垂体腫瘤はラトケ嚢胞らしい.出血はない.視力視野の障害はないらしい.血糖やら、電解質の異常もなさそうだった.患者さんを診察した時には、意識障害は良くなっていて、患者さんは話ができる.


なんでも、

「お風呂に入っている時でした、外出バサッと、音がして(屋根から雪が落ちる音らしい)すぐ、なんかあったかい煙が、風呂場に吹き込んできて、それからなんか訳がわからなくなってしまいました・・・・」


雪の多い地域で、冬のこと・・・

その患者さんのおうちは、湯沸かしの煙突が外にあったらしい.

おや?と思って血液ガス分析をした.一酸化炭素も測れる装置だった.

一酸化炭素中毒のようだった.救急科で麻酔科の部長先生、副院長だったが、

「高気圧酸素治療やった方がいいのでしょうかね・・・」と聞くとそれは議論があるとのことだった.

「それより、ここで一酸化炭素、調べようと思ったのは、誰、ですか?」

当直の研修の先生は、私の方を指した.

「さすがです・・・・」と麻酔科の先生には褒められた.なんか照れ臭かった.


「なんか自慢話みたいで申し訳ありません」とドクトルがいう.その後また症候学のことについて文句、不平不満が続く.


せめて、脳のCT,MRIを見て、出血やら腫瘍やら、主幹動脈の閉塞・狭窄がなかったら、血糖とか、代謝とか、電解質異常とか、薬物とか毒とか、てんかんとか、肝臓・アンモニアの異常を考えてみたらどうなんだ.アンモニアが高くて、腹部のCTで肝臓が低吸収で、腹水でも溜まってたら.もう一度頭のMRIのT1見て、大脳基底核の高信号を確認したらどうでしょうか(肝性脳症のMRI所見は教科書に載っていると思うのだが)・・・・

しかも、頭痛に発熱・・・内科の多くの先生は、「脳外科の先生、診断をお願いします・・」とくる.脳外科の医者からすれば本来は「はあ?」である.診断を外科の医者にお願いっておかしくない?

髄膜炎を遠巻きに恐れているということなのだろうが.

ウイルス性髄膜炎は完全に内科、小児科の見るべき病気だろうし、

側頭動脈炎、環軸椎の偽痛風いわゆるcrown dens症候群・・・・

インフルエンザで熱が出ても頭、痛くなるだろうに.


自分らのやってること、咳が出て、痰が黄色い膿性で、熱が出ているから、呼吸器外科医を呼べ、と言ってるのと同じだということに気がつくべきでしょう.


不思議な経験をしたことがある.

医者になって、5年目くらいの時、「意識障害の患者さんがいます」と救急室に呼ばれたことがあった.

1990年台の半ば頃である.病院にいたかもしれないし、病院のすぐ向かいの社宅で寝ていたかもしれない.まだ、ポケットベルが使われていた.部屋には、ダイヤルの電話があった.携帯電話は、まだ持っている人はいなかったのではないだろうか.すぐに救急室に行って患者さんを診察する.平成の米騒動とか、兵庫淡路の大地震があり、数ヶ月後に、地下鉄サリン事件があった頃である.その前だか後だかは忘れた.


確かに、III -100程度の意識障害である.

おや、縮瞳?両方とも瞳孔が、1.5mmくらいだな・・・

脳幹梗塞?すでに頭部CTは取られていて、出血はなかった.

それにしても、手足に痛み刺激を与えても、両上下肢の進展、つまり徐脳姿勢ではないな・・・

患者の近くによると、なんか匂う?(いい臭い’ではないから、「臭う」か)

「あれ、先生、この方、農薬のんでませんか・・・・」

学年が二つばかり上の内科の当直の先生は、「あ、そうですね・・・」とすぐに

胃管を挿入したら、白い液が、どろどろと出てきた.どうやら農薬中毒らしかった.


その後は常勤の内科の先生が引き継いで治療してくれたらしい.結果がどうなったのかはわからない.


今ではすぐにAIに聞けるから、どういうもの変わるのだが.

なんでも白くて刺激臭があって、縮瞳するもの・・・・


有機リン系農薬(有力)


特に:

フェニトロチオン(スミチオン)

マラチオン

ジクロルボス(DDVP)

あたりでしょうかとのことだった.

根拠は、

縮瞳:決定的

意識障害:中枢性ACh過剰

刺激臭:(ニンニク様?ではなかった気がする)・溶剤臭

白濁:乳剤(emulsion)製剤

→ 水で薄めると白く濁る

1990年代の農村部・家庭での自殺企図として非常に典型です。


参考:否定的なもの

パラコート

青緑色が多い

縮瞳は目立たない


カーバメート

縮瞳はあるが、臭いが弱いことが多い・・・・・


なんだったのだろうか、もうちょっとちゃんと勉強しとけばよかった.


その後しばらくして、東京でいわゆる、地下鉄サリン事件が起きた.近くで患者の多く運ばれてくる聖路加病院の先生は、患者の症状からピンときたらしい.サリン中毒だとしたら、コリン性のクライシスだと.すると硫酸アトロピンと、PAM ?ということで治療したらしい.酸素マスクが使えるチャペルに多くの患者を収容したという.後輩の先生が当時ここで研修をしていて、颯爽と、救急車から降りる映像が残っている.


 私が勤務していたのは、田舎の農協の経営する病院である.平成の米騒動でタイ米が入ってきたのはこの病院にいる頃だ.地域には農業、漁業の従事者が多い.海沿いの温泉街のサービス業の人も多い街だった.当直の先生やら、事務のおじさんが、10時を過ぎると病院の事務所で、酒を飲んで宴会を始めるところだった.当時は病院での飲酒は今ほど厳しく言われない時だった.

 ある時、脳外科の上司二人と、飲み会の時に呼ばれて、脳出血の手術をしたことがある.一番上の部長は、当時流行ったニコチンガムで禁煙中、しかしタバコも吸っていたからニコチン中毒で、具合が悪い.真ん中の先生はグテングテンに酔っ払っている.結局手術は酒もタバコもやらない自分が主にした、と思った.でもこんなこと話ししたり、書いたりしていいのかな・・・


「昔の話として聞いてください・・・・」


ドクトルは、ちょっと照れたようにルシフェルに告白した.


「いや、おめえ、そいう言う話は、ちゃんと何かに残した方がいいと思う」

ルシフェルも書いた方がいいと言ってくれるから、書き残しておいた.


「あれ、なんの話でしたっけ・・・」とドクトル.

「うー?内科の教科書の症候学、これでいいのかって話でねえの?」


続きはまた次回にでも.



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