鍛冶屋と二重螺旋④「遺伝子の気持ちになって・・・」
開発会議の議論が白熱しているころ.
時計を見ると、午前11時半、
海丸くんのお腹が「ぐー」となった.
「みんな、お腹空いたでしょ?」とアテナ.
「そういえば・・・」と言ったと同時に、ドクトルのお腹も「ぐー」となった.
「まあ、そうだな・・・・会議をすると腹減るしな、じゃ、アテナみんなを社員食堂に案内してやんな」ヘパ社長はアテナに指示して、午前中の会議はこれで終わりになった.
静香、海丸くん、ドクトル、ルシフェルを伴って、アテナが社員食堂に案内してくれた.時々、羽を生やして、飛んでどっかに行く職員もいる.
「あ、あれ、ほら空飛ぶ翼のついたシリーズ、皆、ヘパの親方の発明だから.移動用の翼、靴についたタイプ、頭につけるヘルメットタイプ、今飛んでったやつみたいに、背中につけるタイプあるのさ.なんせ広いからね、仕事の時間が惜しいやつは移動の時に、飛ぶのさ.」アテナの説明である.
「廊下、歩くほどにはぶつからないんだけどね、ジャなんで飛行機同士の衝突ってことが起こりうるんだろうね・・・・」
確かに.平面だったら、平行出ない、直線は必ず交わるが、三次元だと・・・
飛行機はなんでぶつかるんだろうか?
「ぶつかるなぶつかるな、と知らずにお互いに引き寄せられて、ぶつかるんだろうかね・・・」静香の意見である
「まあ、うちは飛んでるやつ同士でぶつかることはあまりないけどね.」
見るもの聞くもの、珍しい.アテナが詳しく説明してくれるので、食堂にはすぐ着いたような気がした.
自動ドアの左に厨房と受け渡しの窓口がある.
白い割烹着と、帽子とマスク食堂のおばちゃん、目がニコニコ笑って、こっちを見ている.
「え、ヘスティアおばさん!!」
まあ予想はできたけど.もう一人、なんか背格好、体型が見たことあるような・・・・
「みんな、いらっしゃい、何にします?」
「え、はるな?いつの間に・・・・」
「まあ、忙しそうな時な、社員の腹もすきやすいから、うちも忙しくなるのさ、そんな時は、はるなに手伝いに来てもらってるんだよ」
「メニュー、サンプルケースの、なんでも好きなの選んでいいわよ」
「おー!」とルシフェルと、海丸くんとドクトルがいつもは、アテナと四天王がするように、サンプルケースに顔を押し付けるようにみる.
「まあ俺は、煮込みカツ定食かな・・」ルシフェルの選択.
「僕は、日替わり定食、いろんな食材を食べるため」
「私は、チャーハン、ラーメンセット!」と言うのはなんとドクトルだが・・・・
「ドクトル、炭水化物ばっかじゃない?お医者さんがそれすると説得力が・・・・」はるなが心配している.
「まあ、私はタバコも酒もしないし、食生活くらいは、欲望の赴くままにしたいのですよ.それに自分の体の責任は自分で取りますしね」医者の部養生というのだろうか・・・
「でもそのお腹・・・・」アテナも心配してくれる.そういえば、アテナも四天王もあれだけ食べて、全然お腹出てこないね、なんでだろ.
そら、神々、色々超能力があるから、エネルギー使うでしょ.基礎代謝が全然違うと思う.
「それもそうね、じゃ私も、ラーメンチャーハン!」おやおや、医者が、皆に悪い健康指導をしているぞ・・・・
みんなで仲良く、1箇所に集まって、別館グループが食事である.食事中に、また遺伝子の話をする.
海丸くんが、勉強したての知識を整理する.
「遺伝子.原料のアデニンと、チミンと、グアニンと、シトシン・・・DNAを合成するときの材料って、どうなってるのでしょうかね?PCRでDNAのコピーを増やす時には、材料に何入れるのでしたっけ?リボース、DNAの時には、デオキシリボースですよね、それに、塩基がくっついて、さらに5末端には、リン酸がくっついて・・・ヌクレオシドっていうのでしたっけ?アデノシン三リン酸、みたいな・・・」
「お、結構勉強しましたね、その通り、だったと思うけど、私も詳しいこと習った記憶があるのだけど・・・・」ドクトルである.
「なんだ、ドクトル、あやふやだな.ヌクレオシド、というのは、リン酸が着いてないので、5糖類と窒素塩基がくっついたの.これにリン酸がついたのがヌクレオチドっていう、みたいだぜ」ルシフェルがドクトルの上の立場を見せつけようとするが、スマホでカンニングしている.
「だからアデノシン三リン酸っていうのは、ヌクレオチド、なんだろうか?」結局身についていない知識はボロが出る.
「生物の参考書には、ヌクレオチド三リン酸を材料として打ち込むとある.それぞれは、アデニン、チミン、グアニン、ウラシルという窒素塩基がくっついている・・・」海丸くんは最近読み始めて、出かける時にはカバンに入れて持ってくる本を取り出して、早速調べる.
「PCR,って、今まで勉強したことがないからよくわからないけど、これも、開発したマリスって先生、ノーベル賞取ったんですよね.」静香もなんとなく知っている.
この先生、はちゃめちゃな人生だったらしい.それが本になっている.
「私の、この、姉の形見の生物IIの教科書・・・」ドクトルが取り出した.1977年初版である.「これにはPCRは載ってないね・・、マリス博士が開発したのが1983年か」
それより、
「え、ドクトル、お姉さん、亡くなったの?」
「高校の時?」
「うー、いやー、死んでないよ、大阪で元気にしてるよ・・・」
「なーんだ」一同ほっとするが、この男、身内の不幸とか、平気で茶化すとんでもない外道、かもしれない.奥さんのこと、知り合いの山姥、なんていうし・・・
昼ごはんが終わってから、食堂でお茶を飲んだり、ちょっとのんびりしてから、また会議室で開発会議の続きである.
海丸くんのPCRに関する知識の発表である.
「DNAの複製には、プライマーという、目的とする遺伝子のコピーのみじかいのと、A ,T ,C ,Gの着いたヌクレオチドを大量にと、ポリメラーゼという酵素をぶち込む必要があるらしい.あっためると、二本鎖のDNAが分かれて、冷却する時に、また2本鎖になる.この時に、DNA、が長いとなかなかくっつかないが、短いDNAはすぐにくっつく.プライマーをたくさん入れておいたら、そこからまた新しい、DNAがどんどん出来上がるという仕組みらしい.サーマルサイクラーという、温度を上げたり下げたりする、機械が必要らしい.」
「じゃ、DNAのモデル作る時、プライマーになるちょっと長めの配列と、ポリメラーゼと、単品のヌクレオチドの模型をまず作って、見ることにしようか、原子に分けてっていうと、収拾がつかなくなりそうだし・・・・」アテナが、重合形、DNAモデルロボットの最小単位について提案する.




