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鍛冶屋と二重螺旋③ 「動く!遺伝子モデル」


「それじゃ、アテナよ、ドクトルと、静香さんを、研究所に案内してやんな」


町工場の見窄らしい入り口から建物の中に入る.

地下の階段を、降りると、自動ドアがある.地下にどれくらい下がっただろうか

・・・・・

そこに開けたのは、超近代的な、研究施設だ!

トヨタ自動車にもこんな立派な研究施設はないのではないかと思われる.テスラの工場もここまでは最新ではあるまい.


「研究所のカンファランスルームに案内するよ」会社の作業着を着たアテナが案内してくれる.


「ねえ、アテナ、って普段、遊びまわって、あちこち食べ歩きしてるだけかと思ったら、普段はここにもきてるってこと?」海丸くんが今更ながら驚いて、アテナの日常について質問してみた.

「まあ、私たちには寿命がないから、あと流れる時間が、人の時間とちょっと違ってるみたいだね.その辺の理屈は親父に聞いてみな、私まだそこまで理解できてないんだ」アテナの答えである.


皆が、ルシフェルの方を見るのだが・・・・

「え、俺?俺にもわかんねえさ、最高神の仕事をしつつ、可愛い女の子のお尻を追いかけ回して、さらに女房のヘラのご機嫌取りして、なお、別館に行って、はるなと静香とドクトルの相手して、愛ちゃんと健ちゃんの子守りもして、ほんとに俺たちの時間ってどういう風に流れてんだろな・・・・」

 

まあ、深追いはしないことにするか.数千年どころか数万年を生きている神々の時間は、数千年が、人間の一瞬みたいな意味かもしれない.それを引き伸ばすとあのようになるのか?逆に1秒が人間の何マン分の一くらいに圧縮されているのか・・・・・

あるいは次元そのものが人間が生きる、3次元ではない、多次元の世界だから、なんとなく流れる時間が、何通りもあるのか、いずれ考察してみることにしよう.


「海丸の依頼だが、DNA、どんなモデルにしたい?俺たちも実は、遺伝子モデル型のロボットを開発してみるか、って話が持ち上がっててな」社長のヘパイストスの話である.


「これはね、ほんとに企業秘密レベルなんだけど、空を飛べて、水の中でも移動できて、しかも温度の変化に強い、自立、自走、自己増殖機能を持った、合体型のロボットってなると、いろんな技術を総合的に取り入れないとダメなんだよね、ただし、このロボットの動き、完全に厳重な私たちの制御の元に置かないと、とんでもないことになってしまう、問題はそこなんだよね・・・」アテナが言うことは、なんか、頼んだことの、何倍、いや、何十倍、いやもっと、大きな話になっている、と海丸くんはちょっと引いた.


「動きのある、遺伝子ロボットモデルとなると、原子のモデルを、それぞれの形態と大きさに合わせて、結合のための突起、電荷に応じた、それぞれの親和性、も考慮すべきだと言うことになりますね」多聞天玄武の意見である.話し方が高貴な方のようだ.インド出身の、アメリカのIT企業のCEOの貫禄だが、それは彼の知性が表に出さないようにしている.


「あと動力の問題もあるね、ドロン型のプロペラ駆動にするか、あるいはもっと他の動力を考えるか、あるいは動力は内臓を諦めて、周りから、水や風を流すなり、磁場とか電場を発生させるなり、で、動かすか?」とは、広目天白虎である.


「いっそのことモデルは、仮想現実だけにしとかない?勉強のためだったらそれで十分じゃないかと思うんだけど、実際のロボットはまだ無理じゃないかい」増長天朱雀!あの乱暴者、会社ではなんかちゃんとした意見が言えるのか・・・


「大体、原子のモデルを各要素ごとにどうやって他と結合させるか、動力をどうするか、大きさは現実の原子の何倍のスケールにするか、と言った問題も今後検討の余地があるね.あまりに大きくしすぎると、実験のスペースも取れないなんてことにもなるし、ワーキングスペースが、それこそ広大な土地を用いないとダメになる、それに動きを下から見てモニターすることもできないってことになるだろ.結局、バーチャルリアリティと何が違うのってことになるよね.労力だけが莫大になるだけで・・・」

持国天青龍.彼も職場では、専門性を遺憾なくはっきりしているようだ.


流石、ヘパイストス、堅実な性格は、部下や弟子の教育にも遺憾無く発揮されていると言うことか.


「あたし、この前21世紀の東京の電気屋とか、おもちゃ屋でドローンっていう小さい、あれはなんだろ、ロボットみたいなもんかな、その重さがね一つが100g以上あると、外で飛ばすときに免許ってのが必要になるらしい.100g以下は家の中で遊ぶのが基本で免許とか届けとかいらないらしい.各元素というかエレメントの大きさは炭素原子で、100g以下で設計してみようか・・・」開発部長的な立場のアテナが意見を述べる.


皆の話を聞いていた、静香はこれまでに経験したことがないくらいに感動している.


「くわっこいい!」

と皆の議論を聞いていて思った.

手をあげて、立ち上がって、ヘパイストスに申し出た.


「社長、お願いがあります.私をここで働かせてください!給料は無くてもいいです、インターンみたいなのでも、見習いでもいいです、ここで働いて、勉強したいです!」


「うーん、静香、それはまだ早いかもな」

ヘパイストスの意見はこうである.

「おめえ、人間の世界の学校行きたいんじゃなかったか?それ終わってからにしないか?俺の鍛冶場にちょくちょく、俺らのやってる仕事は見にきていいから、まずは、目の前の勉強だ!」


ヘパイストスの意見にはブレがない.


静香もその辺の物分かりはすごくいい子なので、「わかりました、一生懸命勉強します!」と皆の前で宣言していた.


いよいよ、原子結合型、動く遺伝子モデルロボットの開発、試作が始まった.





 

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