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意識障害には違いないが・・・



昔々、ドクトルが、小さな町の病院で当直していた時である.朝方、自動車の自損事故らしい.シートベルトはおそらくしていなかった.意識レベルが、III-100らしい、「脳挫傷疑い」ということで、収容の依頼があった.

情報はそれだけである.


30代、女性.

確かに意識レベル、III-100,だが、四肢の動きに左右差はない.瞳孔不同もない.

血圧が60/40、脈拍は100/分を超えていたと思う.

動脈血ガスを含めて、採血をしようと、鼠径動脈に触れると、頼りない脈、触れるのだが弱い、そして頻脈である.なんとなく「メリハリのない」脈、の感じ?顔が紫色?のように見えた.


頭から胸腹部のCTを取ったら、

頭部はなんともない.

腹部もなんともない、

胸部は?心嚢に何か溜まっている.ただの液ではなくて血液のようだ.検査技師さん、心臓のエコーをしてくれた、やはり心嚢に溜まっているのは血液らしい.

なんのことはない、胸部打撲、心臓に裂け目ができて、心嚢に血液が漏れ出して、心タンポナーデを起こしたということらしい.


心臓血管外科の手術ができる病院、西に行くにしても東に行くにしても30分から1時間かかるのだが・・・・


その病院に勤める前の病院、結構、心臓血管外科が一生懸命というか、有名な病院だった.当直時間帯だったから、当直の先生に収容依頼の電話をしたら、整形外科に行った同級生だった.すぐに心臓外科の先生に受け入れ可能か聞いてくれた.

すぐに受け入れOKとの返事をもらって、院長には患者転送について行くから当直をやってくれと電話を看護師さんに連絡をしてもらって、いいとも悪いとも聞く前に、救急車に乗って、高速道路使ってで30分くらい?その病院に患者を転送した.


すぐに開胸手術をしてくれたらしい.


2週間後くらいして.ニコニコ笑った美人さんが、診察に訪れた.

「どなた?」と思ったら、例のタンポナーデの患者さんだった.顔色もいい、全く後遺障害がなく、良くなったらしい.心臓外科の先生の手術記録が添付されていた.心嚢を開くと、一部心臓に裂け目があって、タココンブ?で埋めて、出血を止めて、心嚢を閉じて閉胸して終わりだったそうな.


脳のMRIを念のために撮ってみたら、なんともなくてよかった.ショックだったから、脳の循環が悪くなると、異常が出たかもしれない.


今から考えると、短時間であれだけ動けたな、と思う.今あの動きができるか・・・

心許ない.


「医者も年取ったらダメだね」ドクトルは自嘲気味に話していた.

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