表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/140

静香、挙動不審!

この前の、お好み焼きパーティー.


「あれ、そういえば、静香がいないね」健ちゃんが気がついた.

「あれ、そうだね、どっか行ったのかな?」と海丸君である.

彼と静香は、今や、勉強友達、色々と自分の知っていることを教え合う仲である.


ある時は海丸君が静香の先生であり、

またある時は、静香が、海丸君の先生である.


今回は、あんまり楽しくて・・・・

美味しくて・・・・・

他のみんなは、別館の重要人物がいないことに気が付かなかった.

海丸君もいつの間にか静香がいないことを忘れていた.


しかし、ヘルメスは見逃さない.


「ほお、今日は、皆、お好み焼きって大阪の料理を作るのか・・・・俺も、食いてえな・・・・、おや、静香、どうしたんだ、あいつ、いつもは、こういう時は、率先して色々支度の手伝い、するだろうに・・・」


アテナと、四天王がテレビの中のお好み焼きを、舐めそうに見ている時、静香はこそこそ、はるなに小声で囁いている.

「出かけてくる、図書館とか、本屋とか、色々いくところがある、昼ごはんは食べてくるから自分の分はいらない」と伝えていた.


「ごめんね・・」と片手を顔の前に立てて、少し頭を下げて、強く目をつぶって、無言で詫びている.片方の肩に少し重たそうなバックを持っている.


はるなは事情がわかっているらしい.

「あ、あのことね、いいよ、今日は、私とヘスティアおばさんでなんとかしとく、ドクトルも手伝ってくれるみたいだから・・・」


「ごめんね・・・」静香は今度は小さな声で言って、出かけていった.


(う?なんか怪しい、静香がコソコソ出かけていく、はるなは事情を知っている・・・・)


ハーデスの兜を被った、ヘルメスは姿を消して、静香のことを尾行した.


え、なんか、徹底的な監視社会で、怖くない?別館てそう言うとこなの・・・

とか、

やだ、それに、ヘルメスって泥棒だけじゃなくて、ストーカーもするの?幻滅ー

とか思われる読者が多いかもしれないが.


いやいや、それはなかなか説明がむづかしいのだが・・・

それにそんな監視しているとか、ストーカーとかヘルメスに失礼じゃないですかい?


そもそも、ゼウスはじめ、オリンポスの神々、この世の中で知らないと言うことは、ない.この世で起こる全ての事象をつまびらかに把握しているのだ.

だから知っている.静香が何をしようとしているのかも、本当は知っているはずなのだが・・・・


要するにこう言うことだと理解いただこう.


つまり、

神々は我々人間の行い、考え、運命、その他全てのことを御照覧あそあそばしているのだ.だから、悪い行いをしたときには、罰が与えられるし、いい行いをしようとしているときには、御加護が与えられるし、いい行いの結果、何かを成し遂げたときには、神々の地位に引き上げてくれるなり、ご褒美に特別な力を与えられるなり、報いが必ず、ある、と言う建前になっている.あるいは、いいことをしようとして、例え失敗して命を落としたとしても、星座に引き上げてくれるとかなどの恩賞を下さる、それが神々である.しかし、全ての神々、同時にそれができるか、と言うと、無理である.人間の動き、神々に制御可能なのはほんの一部分である.見ていないところで間違った動きをすることもしばしばなのだから・・・


神々が、正しい行いを、御照覧、あそばすが、それは記録として残すという以上の意味はなくて、結果については全てその行いをなす人に任されている.つまり、神の御加護と言っても、実質的な、介入能力は神々には、無い、と言って良い.


つまり、人の運命、神々にも変えられない.ヒトは自由意志に従って自由に行動する、いいこと悪いことに関わらず、それが、神が人を作った時のスペックらしい.


「正しく行いをするのも、間違った行いをするのも、それは人が自分で判断して決めるからだ」と言ったと、「天使はなんで堕落したか?」と言う本には書かれていた.

いや違うか、ミルトンの「失楽園」だったかもしれない.


ちょっと探してみる.あ、今は見つけられない、でもまた本の中探しとく.


ここはヘルメスの目で、静香の行動を追ってみる.


まず静香が向かった先・・・・・


おや?東京駅、丸の内北口か・・・・・・

駅を出たところで、右の方、すぐの信号を渡って大きなビルに入っていった.ビルに入ってすぐ右手に本屋があった.「丸善書店か・・・」


エスカレーターを上がった先には?受験参考書のコーナーである.


「受験参考書?日本には、大学に入るときに、テストに合格したやつだけが、通って学問ができると言う、掟があるらしいが」


その辺のこと、古代ギリシャの世界で生まれ育ったヘルメスには今ひとつ、理解し難いのだが

「しかし、まあ考えてみれば、勉強する意欲がある奴が、何人もいて、そんで、勉強のために収容できる学生の数は、その全部を収容できない、となったら、勉強の試験をして、どいつが一番.効率的に勉強できるか、つまり、学力ってやつか、それを測って、できるやつから、勉強の許可を与えるってのは、ある意味すごく公平なことだわな・・・」


常々、彼は、現代社会のこのシステムには感心していたけのだが.


しかし、いろんな本を読んで、さらに、いろんな対策をして、そのためだけの勉強をすると言う理不尽も感じていた.


問題は、せっかく、いわゆる、入学試験で、いい成績を上げて、学校に入れたとしても、勉強するために学校に入ったと言うことを忘れてしまうらしい.目的がその学校に入ることにすり替わってしまったことで、なんでその学校に入りたかったかと言う、当初の学校に入る目的がなんだったかを忘れて、勉強しなくなってしまうと言う現象が起こるらしい.


「まあ、考えてみれば、可哀想な話だな・・・」


「おっと、俺がやってたのは静香が何をしようとしているかを調べることだった、調査調査・・・・」


静香は、赤みが買ったオレンジ色の本が、たくさん並んでいるコーナーにやってきた.それらの本の背表紙には、大学の名前と、理系とか、文系とか書かれている.


「赤本」と言うらしい.


静香が取った本、には

「東京大学理系 過去何年分」とか書かれている.


「ふーん、東京大学、聞くところによると、この国で最初にできた、大学らしいが・・・」


「海丸にでも頼まれたのかな?ちょっとまだ早いんじゃないかな、海丸は確かまだ、人間の子供で言うと、中学生くらいなんじゃないっけ?」


「健ちゃん?もっと若いしな・・・・」


「ドクトル?あいつは、もう大学出て、仕事してるしな、でも時々、あいつ、仕事辞めて、大学入り直ししてえ、なんて言ってるから、ドクトルの使いかな?」


ヘルメスの推測は止まるところを知らない.


静香はその「赤本」を何冊か買って本屋から出てきた.次に向かう先、おや、今度は神田で山手線を降りて、中央線に乗り換えたぞ・・・・

尾行を続ける.静香は、御茶ノ水駅で降りて、坂道の方を降っていった.川の向こうには立派な大学病院が並んでいる.国立の大学はなんだか名前が変わったらしいが、「お、看板も変わってるね、仕事が早いね日本人は・・・・」


情報収集が仕事のヘルメスは、感心して、大学病院の方を見ているうちに静香はどんどん坂を降りていき、ヘルメスは見失いそうになった.


「おっと、いけねえ・・・」と尾行を続ける.


静香が入っていったのは大学受験予備校というところである.かなり受験生の間では人気らしい.高校生だとか、高校を決まった年限で卒業して、その後で、受験のための勉強を教えてくれるところらしいのだが・・・・


そこに入って、パンフレットを何冊か持って静香はすぐに出てきた.


次に彼女が向かったさき・・・・


御茶ノ水駅の北の川にかかった橋を渡って、20分ほど、とぼとぼ歩いて、彼女がたどり着いたのは、なんと

「東京大学」である.


赤門を通り過ぎてさらに先に東京大学の正門がある.

その門を静香はなんと平気で通り、どんどん中に入っていく.正面には、テレビでよく出てくる建物がある.安田講堂というらしい.


その右手の建物に静香は入っていった.受付の人とちょっと一悶着あったらしいが、免許証だかなんにか、身分を証明するものを見せたら通してくれたらしい.そこは、


東大図書館!


国立大学の図書館は、基本的に国民の財産だから、その蔵書は国民に解放されるべきであるという、法律が30年ほど前にできたらしい.20年くらい前?だから、国立大学図書館は基本国民はフリーパスのはずなのだが、なんか受付の人がネチネチいうことはあるらしい.(新潟大学の図書館はそんなことなかったけどな、紙一枚書いて、受付の人には一途渡したら通してくれた.前に行ったとき東大の図書館は色々文句言われた.確か、どんな本探してるんだとかなんとか聞かれたらしい.今もそうかは実は著者は知らない.学外の人は、あらかじめこういう本を探しているということで来館の予約をすると、悶着なしに入館できるらしい)


静香は総合図書館を一回りしただけで、何も本を見ないで、そのまま出てきた.本当か、どんな分野の本がどこにあるかを見るためだけに入ったらしい.


図書館を出て、また大学の正門を通って、左の方に曲がってお茶の水の駅から電車に乗って、別館に戻っていった.


「ただいま・・・」長く歩いたからちょっと疲れた.

お好み焼きパーテーは盛大だったらしい.片付けはすでに終わっていた.

静香が戻ると、健ちゃんと、海丸くんと愛ちゃんが寄ってきた.

「ねえねえ、今日ね、みんなでお好み焼き作ってね・・・・」

「おじさんがね、モダン焼き、ひっくり返して、失敗して、誰も、食べないから、おじさん自分お全部食べてね・・・」

「愛ちゃんも、おのこみやき、ひっくりかえした、ルチフェルの父ちゃんより上手にできた・・・」

 「へえ、偉かったね、美味しかった?」

「うん!」子供達みんながいう.


「残念、静香も食べたかったな・・・」


「今度またやろ」けんちゃんがいう.

「こんどね、しずかのおのこみやき、あいちゃんが作ってあげる」あいちゃんが静香の顔を見上げながらいう.


ニコニコしながら静香は聞いていた.昼間歩き回った疲れはいつの間にか忘れていた.


その夜、皆に静かから重大発表、というか、決意表明があった.

今日は、長くなってしまったので、また今度それについて、話をしましょう.







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ