広島vs大阪、「お好み焼き」仁義なき戦い!
アテナと四天王が、テレビの画面に釘付けである.
食べ歩きの番組でお好み焼きの特集である.5人とも、例によって、テレビの画面を舐めそうなくらいの近さである.
「あなたたち、そんなに近づいても匂いはしないでしょうに・・・」ドクトルが呆れていう.
アテナがいつものように聞いてくる.
「ねえねえ、ドクトル、あれなに?美味しそうなんだけど・・・」
「ああ、お好み焼きか、大阪風か、広島風どっちかな?関東地方はお祭りの時のお好み焼きというと大体、広島風が多いけどな・・・」
「おう、ドクトル、大阪と広島でお好み焼きが違うんか?」朱雀が、いつものようにくってかかるような話し方で聞いてくる.喧嘩腰に見えるだけで悪気やら敵意はない.
「まあ、似ているといえば似てるし、全く別、だと言っても言えなくもない、でもね、私、大阪で20歳まで過ごしたので、お好み焼きは大阪風しか知らないんですよね.土曜の昼、おやつがわりにホットプレート引っ張り出して、自分で作ってましたよ・・・」
「え、本当か?ドクトル、作れるのか?」アテナと四天王の視線が一斉にドクトルに注がれる.
「あ、いや、でも.もうずっと作ってないですし・・・」
「ほお、なかなか面白そうな料理だね・・・」たまたま別館に来ていたヘスティアおばさんも興味を示した.
「じゃ、今日のお昼ご飯は、お好み焼きにしてみましょう!」皆のやりとりを聞いていた、はるなが即決である.
「ドクトル、材料はなにがあればいい?今あるのは、キャベツに、小麦粉(薄力粉)に卵に・・・」はるなが聞いてくる、記憶は結構曖昧だが、以下のものがあると楽しさ倍増である.
豚のバラ肉とか、イカとか、エビとか、とろろ芋、天かすとかあると味のアクセントがつく.焼きそばの上からたらして、作るのをモダン焼きというのだが、焼きそばがあればできる.あとは、青のりに、鰹節、お好み焼きソースに、紅生姜、マヨネーズ・・・・豚バラ肉は、ベーコンでもいいし、そう言った肉系統がない時、冷蔵庫にチーズがあればそれを入れても結構美味しかった.とろろ芋は、かなり凝った時のみでもいい.焼き方でしっとり感は出せると思う.
材料と、鉄板、ボウル、必要な機材を集めて、昼ごはんは大阪風お好み焼きのパーティである.
ホットプレートはドクトルの家にもあったので持ってきた.はるなの家にも二つか三つあるはずだ.
ここで説明しよう.
お好み焼き、大阪風と、広島風の違いである.
まず、大阪風
キャベツとか天かすを、水と卵で、溶いた小麦粉に全部混ぜて、ホットプレートの上で炒めた、豚バラ肉やら、焼きそばの上に流し込む.
大体キャベツ等の固形成分が真ん中に雑に集まる.そして、周りの垂れてきた小麦粉とか卵のどろり成分をヘラでキャベツ等の固形成分のあつまる、真ん中に寄せて、形を整えて、厚みを均一にすると、食感が良くなる.
片面が焼けた頃を見計らって、2本のヘラで、鉄板と、お好み焼きの間を剥離して、そこにヘラを差し込んで、えい、とひっくり返して、上を焼く.焼き加減は、なんとなくである.何度で何分という基準はない.しかしひっくり返した時に、ネタが、べとり、と周りに落ちたりしたら、失敗ということになるのだろう.まとめてひっくり返せれば、大成功である.
裏が焼けたことを見計らって、上に、お好み焼きソース、青のり、鰹節を振りかけて、お好みでマヨネーズをかけて、出来上がりである.
次は広島風、と言いたいところだが、
ドクトルには広島風お好み焼きを語る資格は、実は、ない.
自分では作ったことがないから.
広島風は、まず、なにも入っていない、水で溶いた小麦粉を薄く、広げて両面を焼く.クレープの感じかもしれない.
その皮の上にキャベツを乗せて、蒸し焼きにする感じか?バラ肉等は、最初に鉄板で炒めておくのだろうか?焼きそばもあらかじめ炒めて、後から焼き上がった生地に挟み込んで焼くのかもしれない.
今日は、大阪風のお好み焼き、みんなで焼いてみようということになった.
じゃ、私が作ってみますから、いいですかよくみてて・・・・
ドクトルが一つ焼いてみた.
ホットプレートに油を引いて、ネタを垂らした.
「ここが、一番重要なのですが・・・」
2本のヘラでひっくり返す時、アテナと四天王、いつの間にかきていた、愛ちゃんと、健ちゃん、ルシフェルと、デメテル、ヘスティアのおばさんたちが、「固唾を飲んで見守る」
「いや、そんなにみんなにみられてたら、緊張して、手が震えてしまいますよ・・・」と言いながら、ドクトルは、「は!」と気合をかけて、綺麗に裏返して見せた.
お好み焼きソースはヘラで均等に表面に塗って、青のりと鰹節をまぶす.マヨネーズはお好みで...
出来上がりは、まず、アテナが試食した.
「う、美味しい!」というと、四天王がわれ先に、お好み焼きに群がる.
アマゾンのピラニアの如しである.
あっという間に最初にできたお好み焼きは消滅していた.
パーティー用の、紙のお皿には、お好み焼きソースと、マヨネーズと青のりの残りが少し、その存在の痕跡として残っているのみである.そのソースも青龍が、皿ごと舐めて綺麗に消えてしまった.
「ああ、ああ、そんな食べ方しなくても、まだたくさんできますよ、さあ、みなさん、じゃんじゃん焼いて、食べましょー!」
「わーい!」と、そこからは皆で、こねて、焼いて、ぬって思い想いのお好み焼きを作って、食べて、楽しんだ.
愛ちゃんと健ちゃんも、ひっくり返しに挑戦してみた.愛ちゃんはママが手を添えて、健ちゃんははるなが手を添えてやってみる.
ここでもみんなが注目である.
ホットプレートに触らないように気をつけて・・・・
「せえ、の、で」ぽん!
大成功!!皆、拍手喝采である.
「よーし、ここで、俺がいっちょ、モダン焼きを作ってやろう」
ここに来てルシフェルがいつもの知ったかぶりを発揮した.
「おじさん、できるの?」海丸くんが心配そうに聞いた.
「俺を誰だと思ってるのだ!オリンポスの最高神で、全知全能のゼウスだぜ、こんなのチョチョイの・・・・」
彼の作ったモダン焼き、焼きそばがちょっと焦げたみたいである.半分、ネタが、傍にこぼれてしまった.
「よーし、いよいよ、ひっくり返すぜ・・・」
べちゃ!崩れてしまったので、真ん中で裂けたような歪な形になってしまった.
「あーあ、親父しっかりしてくれよ」アテナに言われた.
「あちゃ!」海丸くんは予想していたが、天を仰ぎ、顔を片手で覆う.
「オーマイガー」の表情である.
「お好み焼きは、見た目じゃねえ、うまけりゃいいのさ・・・」と負け惜しみの堕天使の首領である.このルシフェル作のモダン焼きは、誰も食べてくれないので、彼が一人で責任を取って食べた.
皆先を争って、焼いて、食べて大阪風お好み焼きを満喫である.
「これはいいね、お客が来た時にも使える.」
とヘスティアおばさん、とはるなの別館メニューがまた一つ、増えた.




